SPECIAL TOPIC2021.03.31

教育

危機に立ち向かった2020年。― 学びを止めないために学園が取り組んだこと

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  • 京都芸術大学 広報課

新型コロナウイルス感染症拡大という未曾有の危機が訪れた2020年。学生が、教職員が、学びを止めないためにさまざまな工夫と努力を重ね、一つひとつの壁を乗り越えてきた一年でした。

春からのその取り組みの一端を、ごく一部とはなりますが、広報課が取材させていただいた中で見聞きしたことを踏まえ、振り返りたいと思います。

 

2020年 春

新入生の有志11名が完全リモートで制作『ぼくらのみらい』


2020年春、新型コロナウイルス感染症の拡大により入学式が中止となりました。そして前期授業がすべてオンラインとなる中、入学した新入生11名が「自分たちにできることはないか?」と声を掛け合い、一度も出会うことなくリモートで「アマビエ」をテーマとしたアニメーション『ぼくらのみらい』を制作しました。

新型コロナウイルスの終息、そして普段の日々へ少しでも早く戻りたいという願いを込めた作品です。

舞台は「ある大きな病」により衰退した未来のとある街。「感染症が流行する前のきれいな街をもう一度」と、ある姉弟がアマビエを呼び寄せタイムスリップする物語です。姉弟はアマビエとともに人々の意識をより良い方向へと導き、平和な未来へと変えていきます。

集まった新入生11名は、美術工芸、マンガ、キャラクターデザイン、情報デザイン、環境デザイン、映画、舞台芸術学科など、様々な学科の学生たち。学ぶ分野はそれぞれ違いますが「表現したい」という思いでつながった彼らは、各専門性を活かしながら、かつ専門性を超えて、各自の自宅で企画・制作を行い、わずか3週間で完成に至りました。


企画した舞台芸術学科の学生は「この作品を通して、少しでもはやくこの事態が収まり普段の日々に戻れることを願っております。1年生ですが、各々が持っている最大限の力を振り絞った現在の最高傑作です。この4年間で多くの事を学び、これを超える作品をこれからも作っていきたいと思っています。」と語ります。

 

4月に入学した新入生の有志11名が、完全リモートでアニメーション作品『ぼくらのみらい』を制作
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/647

 

2020年 夏

いちばん静かな卒業式。「通信教育課程 学位授与式・卒業式」


2020年3月に行われる予定だった通信教育課程の卒業式は「延期」となりましたが、夏になっても状況は好転せず、結果「オンライン」での開催となりました。式辞を述べるために演壇に立った尾池和夫学長の前には、約700名分の席が広がります。本来なら、今年3月に開催されていた式典で、修了生・卒業生の皆さんが列席されていたはずの席です。

日本全国、18歳から90代までが学ぶ、通信教育課程。
月に一度(あるいは二度)のスクーリング授業では、4月にはZOOMを活用した授業がスタートしていました。洋画コースの、とある授業担当の先生は、今年定年を迎えた方。そして画面の向こうに見えるのは、お若い方もいますがその多くはシニアの方々です。先生方が極めて短い期間で「ZOOMってなに?」から試行錯誤をして、新たな芸術教育のカタチを実践していたその姿に感動しました。

Zoomによる授業の様子。
オンラインでの添削指導。



2020年8月10日、延期となっていた「卒業式」は「オンライン」での開催となりました。開式宣言につづいて、式辞を述べるために演壇に立った尾池和夫学長の前には、約700名分の席が広がります。本来なら、今年3月に開催されていた式典で、修了生・卒業生の皆さんが列席されていたはずの席です。

新型コロナウイルス感染拡大というかつてない状況下で、本学初のライブ配信のみによる挙行となった卒業式。動画には映らない関係者の想いも込めて、紹介させていただきました。


いちばん静かな卒業式。― 2019年度 京都造形芸術大学 通信教育課程 卒業式のご報告
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/677

 

私たちがひらく、あたらしい道筋。SOU・SOU×京都芸術大学「季節と出会うてぬぐい」


年間100本を超える、社会実装プロジェクト。
例えば、SOU・SOUとの「てぬぐい制作・販売プロジェクト」もオンラインで進められました。てぬぐいの制作依頼や、工場見学のアポイント、生産管理や在庫管理、営業や広報などのすべてを自分たちで行ったと言います。そして本来は対面で店頭販売をするところ、今年はオンラインショップを開設し、販売することとなるなど、さまざまな苦労を乗り越えてのプロジェクトとなりました。


私たちがひらく、あたらしい道筋 ― SOU・SOU×京都芸術大学「季節と出会うてぬぐい」オンラインショップオープン!
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/676


その他のプロジェクトも前期はすべてオンライン。会えない日々が続きます。フコクアトリウム空間プロデュース、くまのがっこうアイスリンク、南座の一文字看板制作、京大病院ホスピタルアートなど、学生は総じて「実際に現地視察に行けなかったり、ミーティングも対面で行えなかったりと、多くの困難があった」と話します。

後期になり、ようやく対面での制作が始まりましたが、もちろん注意が必要です。密を避けるため、学生が一気に集うのではなく、数名ずつがシフトを組み、入れ替わり制で制作を進めたのだとか。

フコクアトリウム空間プロデュース
京大病院ホスピタルアート


11月、「コロナ禍」での学びの様子についてNHKから取材が入り、プロジェクトに参加する学生10名ほどに話を伺いました。春から一人暮らしを始めたある一年生は、前期はオンラインが続き、友だちもいない状態で四条河原町などにでかけても、かえって孤独を感じたそう。そんな中、フコクアトリウムのプロジェクトに参加し、みんなと共同作業に取り組むことで、大学で学ぶ喜びを感じたそう。「ちょっと不安だったけど、みんな明るくフレンドリーで、すぐに仲良くなりました」と話します。


明るい未来への「星の道しるべ」 ― フコクアトリウム空間プロデュースプロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/733

心の距離が縮まる空間 “愛す Link” ― 「くまのがっこうアイスリンク」空間デザインプロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/730

新春を彩る大看板! ― 京都・南座「一文字看板」制作プロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/750

闘う命と生きつづけるアート。― 京大病院ホスピタルアートプロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/793

 

映画学科独自の「感染防止のためのガイドライン」


制作自体が「3密」のかたまりという映画学科では、「どうすれば撮影をスタートできるか」を議論し、7月には映画学科独自のガイドラインを公表しました。「映画学科演習における感染防止のためのガイドライン」と題された文書では、教室や道具の使用をはじめ、学外での撮影において守るべきルールまで、こと細かに示されています。

学科長は「ただ厳しく縛りつけるのではなく、それをバネに飛躍してもらうことを求めるガイドラインなのです」と語ります。


僕らは「コロナの奇跡」を信じる。― 映画学科が独自のガイドラインを策定した理由。
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/679

(撮影:高橋保世)

2020年度につくられたのは、論文や脚本を除くと、4年生の卒業制作全12作品、3年生の中編4作品、2年生の短編5作品。なかでも、「配給・宣伝までを見すえた企画をもとに映画をつくる」をテーマにした2年生Bゼミでは、ハードルの高い学外ロケを勇断し、冒頭の一本を完成させました。

フィルムの向こうにドラマはつづく。 ― 映画学科2年生 短編制作ゼミ作品『浮かぶかたつむり』
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/773


また、卒業展ではネット上の新たなスタジオを開設し作品を公開。瓜生山キャンパス高原校舎に実在する A・B・C スタジオに次いで、学生たちの新たな実験と活動の場として「D STUDIO」と名付けられました。

開設から一週間ほどで合計1万件を超えるアクセスがあり、卒業制作作品のオンライン鑑賞や作品への多くのコメントを受け、作品配信を2月末まで延長。卒業生との対談や作品についてのトークイベントなども行われました。


映画学科、ネット上のスタジオ「D STUDIO」
https://www.takahara-dst.com/

 

新しい展覧会の形。― 「辺獄への遡行」展と修士課程の展覧会。


芸大生にとって「展覧会」とはハレの場。しかし9月に入ってもいまだ不特定多数の鑑賞者が観られる状況にはありません。そこでもやはりオンラインでの新たな取り組みがなされました。AR・VR・ウェブ・リアルを錯綜させる新しい展覧会の形として、「辺獄への遡行」展がヤノベケンジ先生指導のもと開催され、話題に。


AR・VR・ウェブ・リアルを錯綜させる新しい展覧会の形 ― 「辺獄への遡行」展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/682

修士課程のSPURT展やHOP展は、「瓜生通信」のプラットフォームを活用したオンラインにて開催。イレギュラーなものとなりましたが、ページビューは月間2万をこえ、日本に帰国することができず、自国から遠隔で展覧会に出展した院生も含め、世界の方々に広くご覧いただくことができました。

Webでの展覧会開催という、時空を超えて世界に向けて発信する可能性を感じ、Webだからこそ可能となる作品表現も追求。修了展についてもギャルリ・オーヴでの展覧会とWeb上での展覧会の2本立てでの開催となりました。

 

Web HOP展 2020 ― 京都芸術大学大学院 芸術研究科芸術専攻 修士1年生 作品展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/724

WEB修了展 ― 京都芸術大学大学院 芸術研究科芸術専攻 修士2年生 作品展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/780

 

2020年 秋

僕らの学びを、1年生へ。2年生による「ONDAY WORKSHOP」


本学の特徴的なカリキュラムのひとつ「マンデイプロジェクト」。入学後の半年間、毎週月曜日に学科コース混合クラスで、ワークショップ型の授業形式でさまざまな課題に取り組み、創造的な「ものの見方や考え方」を身につけるというもの。

今年度は、そのような授業が開講できなかったことを受け、上級生たちが全4日間のオンラインワークショップを企画し、開催しました。

一年生の特徴的なカリキュラムのひとつ「マンデイプロジェクト」も今年度は中止に。そこでLA(ラーニング・アシスタント)を担当する予定だった上級生たちが「自分たちが一年生の頃に得た、かけがえのない時間を後輩たちにも少しでも味わってほしい」と全4日間のオンラインワークショップを開催。これからの学びの土台となる、多くの気づきを与えてくれる授業を展開してくれました。


「僕らも今年に入って、友人たちと出会うことはできていません。すごく会いたいし、一緒に大学に行きたいなぁって思っています。でも一年生は、僕らが経験したマンデイさえ受けられていない。ワークショップを受けたり、ねぶたをみんなで作ったり。あの時間があったから出会えた友人もいるし、先輩もいる。だから余計にこの状況がもどかしくて……。そこで、LAやアーカイヴのみんなと、オンラインで4日間のワークショップを開催することにしました」。


僕らの学びを、1年生へ ― 2年生によるONDAY WORKSHOPが開催!
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/683

学びを止めない、あきらめない。 ― 4日間のONDAY WORKSHOPレポート
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/765

 

学びを止めないために。「環境デザイン学科 学生作品模型展」


環境デザイン学科では、前期授業がオンラインとなったことで、課題設定を大幅に見直すことに。例年、入学して間もない一年生は、自分のサイズに合わせたひとりがけの「私の椅子」を制作。実寸サイズで作ることで人間のスケール感を知り、椅子に必要な強度や構造を理解することなどを目的とした授業。ところが、オンラインではなかなかそのような制作はできません。そこで、入学したばかりの初学者の一年生に、オンラインでどのような教育指導をすべきか、試行錯誤がなされました。結果、完成した模型群をみた教員曰く「その成果には目をみはるものがあった」とのこと。


学びを止めないために ― 環境デザイン学科 学生作品模型展 2020
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/728

 

オンライン学園祭「はじめまして。ひさしぶり。」


毎年9月に開催されている学園祭「大瓜生山祭」。例年は瓜生山キャンパスにて開催しており、その来場者数は約2万人を超えるなど、学園にとって最も大きなイベントのひとつです。しかし今年度は、オンラインにて開催することになり、2020年10月31日(土)~11月8日(日)まで、なんと「24時間×9日間=216時間」の構成で開催しました。

オンラインによる学園祭は、なんと「24時間x9日間=216時間」というオンラインの利点を生かしたものに。物理的な制限がある今だからこそ「学生同士や学生と教職員のみならず、今までなら出会うことが難しかったかもしれない学校とみなさんが出会うための場」というコンセプトでした。

 

24時間x9日間=216時間の学園祭 ― オンライン学園祭「はじめまして。ひさしぶり。」
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/711

 

2020年 冬

この大学が皆さんの砦になる。 ― 2020年度 京都芸術大学(通学課程)入学式


当初、2020年5月2日(土)に予定していた2020年度入学式は、当時の状況を踏まえ、開催中止になりました。2020年4月に入学した新入生の皆さんは、本学の入学式だけでなく、在学していた高等学校等の卒業式も中止となった方も多数いらっしゃるかと思います。

そのような状況も鑑み、新入生の新たな門出をお祝いしたく、感染症対策を充分に取ったうえで、1月6日(水)に入学式を挙行することとなりました。

新入生を代表して入学の辞を述べたのは、文芸表現学科の笠間真里愛さん。
「期待を胸にした大学生活は、オンラインという形から始まりました。仲間と初めて顔を合わせたのが画面越し。自宅で授業を受けるという今までにない日常でしたが、この辛い状況があったからこそ、学校に足を運び、仲間と同じ空間で勉強に励むことができることのありがたみを大いに感じたことと思います。残りの三年間、文章を書き、伝えるということを今よりも学ぶ姿勢を深め、吸収したすべてを自分の目指す道へと活かし、結果を残していきたいと思います。“芸術とは何か”ということを常に問い続け、卒業時には自分が思う“芸術”をもつことを目標とします」

この大学が皆さんの砦になる。 ― 2020年度 京都芸術大学(通学課程)入学式
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/753

 

非常時の日常の中で、共に成長する展覧会 ― KUA ANNUAL 2021「irregular reports:いびつな報告群と希望の兆し」


2020年12月のプレビュー展に続き、2021年2月23日(火・祝)から26日(金)まで、東京都美術館にて「第4回 学生選抜展 KUA ANNUAL 2021」を開催しました。出展作家は、本学通学部・大学院を含めた全学生から公募で選出。第一線で活躍するアーティストの育成を目指して2017年度にスタートし、今年で4回目を迎えます。

今年のテーマは「irregular reports いびつな報告群と希望の兆し」。
本展は、このコロナ禍において「いま、ここ」という状況下で若い芸術家が制作した作品を発表する場であり、16組の作家たちがそれぞれの作品を通じて、この数奇な一年を表現する、時代を映す鏡となる「報告」の集合として作品を発表しました。

2021年が明けてすぐに、再び緊急事態宣言が発出され、東京展は、入念な感染防止対策を行いながら実施されることになりました。華やかなレセプションは中止となりましたが、関係者を招待した内覧会が開かれ片岡真実(森美術館館長)を招いた講評会が行われました。

非常時の日常の中で、共に成長する展覧会 ― KUA ANNUAL 2021「irregular reports:いびつな報告群と希望の兆し」東京展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/795

 

キャンパスが美術館に!個性豊かな約750点もの作品を展示 ― 2020年度 京都芸術大学卒業展・大学院修了展


大学生活を過ごしたキャンパスそのものを“美術館”と見立て、学部4年間あるいは修士2年間の集大成である卒業制作や研究成果の発表の場「2020年度 卒業展・大学院修了展」。

新型コロナウイルス感染症対策を入念に講じ、蜜にならない来場者数を算出した上での事前予約制をとるなど、例年とは異なる形態での開催となりました。

(撮影:吉見崚)

テレビや新聞等、さまざまなメディアに取り上げられるなど、反響は大きく、感染症対策のため人数を制限した予約制での開催となりましたが、満席になった時間帯もあるほど。学生の皆さんの努力とご来場いただいた皆さまのご協力のおかげで無事にその会期を終えました。

このたび「学長特別賞」が新設され、2件が選出。こちらは、学長が全作品を見た後で自ら選定したもので、「個性に富む表現と長期にわたる地道な努力を高く評価された作品」に与えられます。


キャンパスが美術館に!個性豊かな約750点もの作品を展示 ― 2020年度 京都芸術大学卒業展・大学院修了展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/774

「学長賞」受賞作品紹介 ― 2020年度 京都芸術大学卒業展・大学院修了展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/790

「学長特別賞」受賞作品紹介 ― 2020年度 京都芸術大学卒業展・大学院修了展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/791

 

2021年 春

危機を乗り越え、迎えたこの日。― 2020年度 京都芸術大学 学位授与式・卒業式


2021年3月13日(土)京都・瓜生山キャンパスにて、通学課程および通信教育課程の学位授与式・卒業式が執り行われ、通学課程からは博士4名、修士69名、学士739名が、通信教育課程からは修士67名、学士600名がそれぞれ学位を授与されました。
今年度は感染症防止の観点から、通学課程は2部に分かれての実施となりました。

(撮影:高橋保世)

卒業・修了を迎えた皆さんのハレの場である「卒業展・大学院修了展」。今年度は、残念ながら通信教育課程はオンラインのみでの開催となり、通学課程は、新型コロナウイルス感染症対策を入念に講じ、密にならない来場者数を算出した上での事前予約制にて開催。

特に通学課程では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、前期はすべてオンライン授業となり、後期からようやく対面授業を開始。卒業制作に取り組む4年生、修士2年生の皆さんは、学内で制作に取り組むことのできる時間が少ない中、さまざまな困難を乗り越え、この展覧会にたどり着くことができたのだと思います。

会期中、さまざまな学生と話をしましたが、コロナ禍を言い訳にするのではなく、むしろ「このような状況だからこそできた」と話す学生も。

ある先生は、こう話します。

「『できないこと』から『できること』を発見してほしい。芸術の歴史は、さまざまな制約と、それを乗りこえる新しい発想の誕生の繰り返しだった」

そして迎えた「学位授与式・卒業式」。今年度は感染症防止の観点から、通学課程は2部に分かれての実施となりました。

危機を乗り越え、迎えたこの日。― 2020年度 京都芸術大学 学位授与式・卒業式のご報告
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/808

 

誤解を恐れずに言えば、ドラマよりもドラマチックな一年でした。そして、果たしてこのような状況がいつまで続くか誰にもわかりません。ただ一つ確かなのは、状況を嘆くのではなく、新たな学びの場を構築し、学びを止めないために個々人が「何ができるか」を考えねばならないということ。国が、大学が、ではなく、個のクリエイティビティが問われる時代、そんな画期に我々はいます。

 

京都芸術大学 開学30周年記念「瓜生山ねぶた」プロジェクト


大学30周年を記念し、新入生をお迎えするために制作された「ねぶた」が無事に完成し、2021年3月30日(火)の夕刻、点灯式を行いました。
藝術立国をテーマに4つの案から1つに絞られ、一年生34名とラーニングアシスタント3名が春休み期間中、制作に取り組みました。

「なんかいい」をキーワードにしたねぶたで、見た方がそれぞれの解釈で思いを巡らす美しい作品に仕上がりました。不思議な形態ですが、なんと中に入ることができるという、かなり高度なデザイン。担当教員も「これはちょっと難しすぎる」と頭を悩ませたそうで、学生たちも「果たして完成するのだろうか」と不安だったと言います。
一年生34名とラーニングアシスタント3名がチーム一丸となって、いくつもの壁を乗り越え、完成に至りました。
春から復活するマンデイプロジェクトと夏のねぶた制作。きっと彼らなら新入生たちを牽引してくれると思います。

 

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