1年生が学科の垣根なく学び合い、「学ぶ土台」を育むプログラムとして開催されてきた「マンデイプロジェクト※」。しかし、今年度は新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、プロジェクトは中止となりました。そこで立ち上がったのが、昨年のマンデイプロジェクトを経験した2年生たち。今年度は、2年生が中心となりオンラインで4日間の「ONDAY WORKSHOP」が開催されることとなりました。
>>プロジェクト立ち上げの様子はこちらから
僕らの学びを、1年生へ - 2年生によるONDAY WORKSHOP
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/683
※マンデイプロジェクト
毎週月曜に開講される「マンデイプロジェクト」は、学科を超え「学ぶ土台」を育むプログラム。講義ではなくワークショップ型の授業形式で、創造的なものの見方や考え方を身につけます。前期のワークショップ授業を終え、9月には約2週間で “ねぶた” を制作する名物プログラムも。
https://www.kyoto-art.ac.jp/art/special/monday/
マンデイのない夏を、想像できなくて。
今回は、4日間のプロジェクトを無事に終えた2年生と1年生にお話を伺いました。
2年生の環境デザイン学科の番匠さんは、昨年のマンデイプロジェクトを受けてLA(ラーニングアシスタント)になりたいと決意した学生のひとり。「夏に制作したねぶたのときのLAさんの存在が印象的で……。今でも相談に乗ってもらったりする尊敬する先輩です。ぼくもそういう存在に憧れがあって、LAに挑戦しました。でも他の授業がどんどんオンラインになっていくなかで、マンデイはなくなるんだろうなってどこかで思っていました。そうするとこの夏、ぼくはどう過ごすんだろう。ねぶたがなくなったら、夏のイメージがわかなくなったんです」。
そんな時、全体のプログラムを企画するFA(ファシリテーター)の講師たちからLAに呼びかけがありました。
「僕たち2年生がどうしたいか、書き出してみてって言われたんです。みんなができる、望みが叶うのはどういう方法か。それを考えて、動き出したのが4日間のオンラインワークショップ【ONDAY WORKSHOP】でした」。
とはいえ、オンラインのワークショップにどれくらいの1年生が集まるかわからない状況。学校で直接呼びかけることもできないため、参加にむけた説明会として、オンライン茶話会を開催するなど、声掛けも手探りの状態からはじまりました。にわかに動きはじめた2年生の様子は、SNSを通じて1年生に伝わっていきました。
「インスタグラムのアカウントからDMで直接連絡がありました。まだ友だちもできてなかったし、顔見知りの人が増えたらいいなと思って参加しました」と、1年生。
今回開催されたオンラインワークショップは、4日間でテーマが4つ。56人の1年生が集まり、“ルーム”と呼ばれる4つのグループにわかれてONDAY WORKSHOPがはじまりました。
まずは、オンラインでの“はじめまして”から。
第1回目のワークショップのテーマは「55%」。会話で伝わる情報が「見た目が55%を占める」という、メラビアンの法則から考えられたプログラムです。
オンラインのはじめまして。が増えつつあるなかで、人の印象を考えるワークショップです。
まず、全員が名前を伏せた状態で、パソコンにうつしだされた見た目を頼りに、その人の名前や人となり、趣味や高校時代の部活を想像していきます。
さらに、みんなからもらった見た目だけの印象をまとめ、その人格になりきって嘘の自己紹介をしていきます。
プロダクトデザイン学科2年生の南さんはワークショップのねらいについて、先入観を考え直すことにあると教えてくれました。「交流の第一歩は自己紹介からはじまります。相手の情報を知ることで、先入観を持ってしまって、見失うものがあるのでは?という問いからこのワークショップが考えられました。嘘をついた自己紹介も、その元になった情報は“自分”でもあるんですよね。自己紹介っていったいなんだろうという疑問を1年生に抱いてもらえたかなと思います」。
続いて第2回目は「なんでの日」。日常にあふれる「なんで?」に気づくプログラムです。
まずはウォーミングアップとして、身の回りにあふれるなんで?を話し合います。続いて、自宅からフィールドワークに出かけて、疑問に感じた場所や物事をシェアします。最後は写真を見返しながら「なんで?」の理由をみんなで話し合います。
このプログラムは、なんで?と思う立ち位置から、「物事の原点を見つめる」ことを体験。通り過ぎてしまうような日常を、新鮮な眼差しで見直してみる。どんな学びにも必要な視点を見つめなす時間となったようです。
第3回目は「スポットライト」と題したワークショップ。自分の人生や相手の人生に、違う角度からスポットライトを当てるプログラムです。まずはこれまでの自分の経験をライフチャートに書き起こし、ペアになった相手と内容を共有します。
そして相手の経験を客観的にパーソナルシートとしてイラストや言葉に書き起こし交換。書いてもらったパーソナルシートを背景にして、みんなにお披露目します。
自分の人生を他者に見てもらうことで、自分の「個性」を見直すのが今回のテーマ。まさか自分の人生のこんなところにスポットライトがあたるなんて!と、気付かされる1年生も多かったようです。
そしていよいよ最終回。「君に届けチャンピオンシップ」と、引き込まれるタイトルです。相手への伝え方を考え、コミュニケーションの原点に立ち帰るプログラム。内容は「ことわざの意味を自由に表現して伝える」というもの。お題として与えられたことわざを、チームに分かれてどう表現するか、1時間でつくり上げます。
1年生も、2年生も、大きく進んだ4日間。
空間演出デザイン学科2年生の中井さんは、最後のワークショップにぐっときたと話してくれました。「1年生自ら考えて、自ら話せるプログラムを!と考えていたのですが、先導してくれる子もいれば、フォロワーとして助言する子もいれば……。4回のワークショップで培われた力が発揮されていて、 “無駄じゃなかったね”ってLAのラインを裏で飛ばしながら、感動していました」。
2年生の南さんは「最初はすごく緊張して、手探りで進めていたけど、オンラインでもぐっとチームになる瞬間を感じられたんですよね。それが僕たちの場合は3回目のワークショップでした。絵が上手な子が現れたときに、そんな絵がかけるんだねー!なんて1年生同士で会話が広がったりして。そこがターニングポイントでルームの雰囲気がすごく変わったんですよね。最後には自発的に動いて考えてくれるようになって、1年生の変化を大きく感じられました」。
プロダクトデザイン学科2年生の藤井さんは「秋になって学校に行けることも増えたので、学校で1年生に会えると『わかる?』なんて声をかけたりしました。ようやく対面して話せたことも嬉しかったけど、やっぱり開催してよかったなって。繰り返しオンラインで打ち合わせしたり、ワークショップ終わった後にみんなで話し合ったりしていると、マンデイしてるな~って気持ちになりました」。
参加していた1年生は「授業で顔を合わせることもないまま季節だけが変わっていって。最初はすごく緊張してあまり誰も話せなかったんです。でも徐々に空気ができていって、和気あいあいと進んで行くようになりました。休み時間に先輩がBGMをかけてくれて、曲をきっかけにして話題がふくらんだり。先輩たちも楽しそうだったので、自分たちもとても嬉しかったです」。
これまでのワークショップを記録してきたTwitterには、最後にこんな言葉が残されています。
「参加してくれた1年生の方々、ありがとうございました。応募時の自分から、何か変わりましたか?この出会いがひとつの通過点になればと思います。ONDAYが終わっても、みなさんとご縁が続きますように」。
当初はマンデイプロジェクトを支えるメンバーとして集まった2年生でしたが、自分たちにできることをひとつひとつ選び取り、ONDAY WORKSHOPとして新しい形をつくり上げました。この特異な状況下において、学びを止めないという気持ちで、1年生とともに2年生も大きく進んだ4日間になったのではないでしょうか。
ONDAY WORKSHOP
対象 | 京都芸術大学 通学課程1年生 |
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WS開催日程 | 第1回 10/11 第2回 10/25 第3回 11/8 第4回 11/22 |
ONDAY WORKSHOP(twitter)
https://twitter.com/MONDAYPROJECT20
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