京都・瓜生山キャンパスの展覧会場ギャルリ・オーブにて、環境デザイン学科の設計演習課題の模型展が開催されています。
過去に例をみない、1年生から3年生まで、総勢160名の模型がずらっと並ぶさまは圧巻です。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で前期授業がオンラインとなったことで、課題設定を見直すことが求められました。
一年生であれば例年、自分のサイズに合わせたひとりがけの「私の椅子」を制作。実寸サイズで作ることで人間のスケール感を知り、椅子に必要な強度や構造を理解したり、初歩的な空間構想力を養成することを目的とした授業でしたが、オンラインではなかなかそのような制作はできません。
そこでオンライン向けの課題に変え、入学したばかりの初学者の一年生にどのような教育指導をすべきか、試行錯誤がなされました。
結果、教員曰く「その成果には目をみはるものがあった」とのこと。
この特異な状況下において、環境デザイン学科ではどのような教育がなされ、学生はそれにどう応えたのか、その成果をご覧ください。
開催のごあいさつ
このたび、ギャルリ・オーブにおいて、環境デザイン学科1~3回生の設計演習課題の模型展を開催することになりました。
1回生の前期後半課題と、2,3回生の後期前半課題の、今回は模型に特化しての展示となりました。
1回生の課題はこのコロナ禍で急遽変更して完全オンラインで行ったものですが、その成果には目をみはるものがあり、是非ともオンライン設計教育の一つの成果としてみなさまにご覧いただきたく思ったものです。
2回生課題は4~5人のチームごとで集合住宅を設計するというもので、ミーティングのあり方(特に現況下では開催の方法も含め工夫が必要)、チームビルディングの方法も問われるものであり、就活において企業側の関心を惹く内容のようです。
3回生課題は3つあります。同時期に3課題が出され、学生は自身の興味に応じて一つを選びます。環境デザイン学科では、3回生においてもまだ、建築・インテリア・ランドスケープのどれを学生自身が自分の専門とするかを決める必要はなく、課題において試行錯誤できます。
今回、このように学科の各学年の特徴を示す内容を、模型を一望するという方法にて展示する機会に恵まれたことは、学生たちのみならず、学科教職員にとっても意義深いものと考えます。是非みなさまがたにもご高覧いただき、ご批評いただけましたら幸いです。
環境デザイン学科 学科長 小野暁彦
1年 前期後半「デザイン基礎Ⅳ AB」
「『白の家』のとなりのいえ」を設計するにあたって試しておきたいいくつかの事柄
課題趣旨 ※一部抜粋。
篠原一男設計の「白の家」の南側の敷地に住宅を設計する。
1週目:「白の家」模型+敷地模型、巨匠の住宅リサーチ
2週目:「住宅の似顔絵」、「立体構成住宅」
3週目:「きっかけシリーズ1」(モノリス、山、穴、階段、のいずれかが敷地にドーンと存在するところから始めてそれを利用しながらなんとか住める場所にしていく。それを各自2種類やってみる)
4週目:「単位空間の寄せ集め」
5・6・7週目:「きっかけシリーズ2 最小限住居の軸組」(施主が増沢洵の「最小限住宅」[あるいは9坪ハウス]の骨組を引き取ってしまったので、それを使って、それじゃ狭いから倍ぐらいの床面積にしてみる)
2年 後期前半「環境デザインⅢ」
「わたしたちがほんとに住みたい集合住宅」
課題趣旨 ※一部抜粋。
現存する良質な低層集合住宅街区(北大路高野住宅)を参照項としながら、その街区を敷地と想定して、今後わたしたちがほんとに住みたい集合住宅環境とはどのようなものなのかを構想する。この課題はチーム・グループ課題であり、建築系・インテリア系・ランドスケープ系、すべての領域を包括した提案を求めるものである。
3年 後期前半「環境計画Ⅲ」
まちのロビー/ラウンジとしての宿泊複合施設
課題趣旨
京都市内某所に宿泊複合施設を計画します。
Ian Schrager が「LOBBY SOCIALIZING」を唱えてNYやLondonの Ace hotel を計画したことを皮切りに、近年東京のNui、京都のLENやKumagusukuなど、海外や遠方から来る観光客/宿泊者だけでなく、その街に住む人々の普段使いにもなる場所を含む宿泊施設が増えています。宿泊客が朝食を食べたり寛ぐ横で、地元のリモートワーカーがSOHOとしてノートPCに向き合っていたり、仕事帰りに友人と一杯引っ掛けに来たり、両者が意識せずに入り混じる場所として機能し、街を賑やかにする一端を担っています。
そのような宿泊者だけでなく、その街に住む人々のラウンジともなる場所を含む、宿泊複合施設を計画してください。
新星こども園
課題趣旨 ※一部抜粋。
待機児童問題をきっかけに、公園内への保育園設置が可能となる法改正(都市公園法改正2017.06.15施行)がなされた。そこでこの課題では、葵公園の中にこども園の敷地を設定する。
ランドスケープと建築・構造を一体のものとして考え、さらにその外側に広がる都市につなげる視点を持ち、「まちのインフラとしての保育施設」(新建築 2017年7月号)を設計してほしい。
HIGASHINOYAMA HOUSE ~「ニワ」をめぐる物語~
課題趣旨 ※一部抜粋。
今、「ニワ」が面白い。
膠着状態にある住宅デザインの地平を切り拓くのは、「ニワ」かもしれないと思っている。もちろんここで言う「ニワ」とは、住宅の周囲に取り残されたわずかな植栽が施された外部だけを指すのではない。外と内をつなぐグラデーションの中に様々な生活の場面が展開される、生きた空間としての「ニワ」である。
「ニワ」をキーワードに、6つの住まいが織りなす集合住宅を提案してほしい。
環境デザイン学科 学生作品模型展 2020
期間 | 11月19日(水)~11月24日(火) |
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時間 | 10:00~18:00 |
場所 | ギャルリ・オーブ |
内容 | 環境デザイン学科1~3年生の設計演習課題の模型展 |
※今回は学内展示のため、本学の学生・教職員のみがご覧いただけます。
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