SPECIAL TOPIC2021.03.13

危機を乗り越え、迎えたこの日。― 2020年度 京都芸術大学 学位授与式・卒業式のご報告

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  • 京都芸術大学 広報課

2021年3月13日(土)京都・瓜生山キャンパスにて、通学課程および通信教育課程の学位授与式・卒業式が執り行われ、通学課程からは博士4名、修士69名、学士739名が、通信教育課程からは修士67名、学士600名がそれぞれ学位を授与されました。

新型コロナウイルス感染症拡大という未曾有の危機が訪れた2020年。学生や教職員が、学びを止めないためにさまざまな工夫と努力を重ね、一つひとつの壁を乗り越えてきた一年でした。

卒業・修了を迎えた皆さんのハレの場である「卒業展・大学院修了展」。今年度は、残念ながら通信教育課程はオンラインのみでの開催となり、通学課程は、新型コロナウイルス感染症対策を入念に講じ、密にならない来場者数を算出した上での事前予約制にて開催。
特に通学課程では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、前期はすべてオンライン授業となり、後期からようやく対面授業を開始。卒業制作に取り組む4年生、修士2年生の皆さんは、学内で制作に取り組むことのできる時間が少ない中、さまざまな困難を乗り越え、この展覧会にたどり着くことができたのだと思います。

会期中、さまざまな学生と話をしましたが、コロナ禍を言い訳にするのではなく、むしろ「このような状況だからこそできた」と話す学生も。

ある先生は、こう話します。

「『できないこと』から『できること』を発見してほしい。芸術の歴史は、さまざまな制約と、それを乗りこえる新しい発想の誕生の繰り返しだった」

そして本日迎えた「学位授与式・卒業式」。今年度は感染症防止の観点から、通学課程は2部に分かれての実施となりました。


通学課程 1部
美術工芸学科、キャラクターデザイン学科、プロダクトデザイン学科、環境デザイン学科、アートプロデュース学科、こども芸術学科、大学院

通学課程 2部
マンガ学科、情報デザイン学科、空間演出デザイン学科、映画学科、舞台芸術学科、文芸表現学科、歴史遺産学科


「京都文藝復興」朗読。

開式の辞に続き、まずは本学の理念「京都文藝復興」を松平定知教授が朗読します。

 

尾池和夫学長から、修了生・卒業生へ。

尾池学長の式辞は、修了生・卒業生やインターネットを通してご覧いただいているご家族の皆さまへのお祝いの言葉からスタート。


「卒業展・大学院修了展」が感染症対策本部や教職員、学生の皆さんの大変な努力のもとに開催され、多くの方のご来場があったことに触れ、学長自身も「作者の皆さんと議論しながら楽しませていただきました」と話します。

特に心に残った卒業制作作品に触れながら、修了生・卒業生の皆さんにエールを送りました。

「皆さんの卒業作品は、同じものが再び現れることはありません。芸術は常に初めてのものを創造します。卒展委員長の丸井栄二先生は、卒業・修了展のご挨拶で『いつもと違う挑戦の展覧会となる中で、学生最後となる研究や制作に向き合い、展示までたどり着くことができ、学内での作業が半期しかない中で、人と会う喜び、共につくる喜びをいつも以上に感じていることだと思います』と述べています。この思い出を大切にして、これからの人生に活かしていただきたいと思います」

 

卒業の辞。

続いて、修了生・卒業生代表からの「卒業の辞」が読まれました。

一部の式において「卒業の辞」を読んだのは、プロダクトデザイン学科の塚本華歩さん。
大学生活を振り返ると、一言でいえば「忙しかった4年間」だったそう。忙しい日々に心をすり減らすこともあったのですが、「どこへ行ったかより、何をしたかが大切」という先生からの言葉が、自身を叱咤激励し「何事もがんばり通す軸になった」と言います。


「正直なところ、私はこの大学に来て良かったと特別にそう思ったことはありません。けれど、この大学に来た選択を後悔したこともまた、一度だってありません。今の自分に自信を持てるのは、この大学に来たからだと強く思います」

 

そして、二部の「卒業の辞」を読んだのは、空間演出デザイン学科の溝部千花さん。
「コロナが無ければどんな世界だったのか、どんな一年を過ごしていたのか」と、ふと考えることもあったそうですが、「この時間があったからこそ、出会えた人や生まれたものがあり、作りたいものや伝えたいものをみつけることができました」と力強く話します。


そして特に力を入れて取り組んだ「KYOTO T5(京都伝統文化イノベーション研究センター)」での活動で製作した新製品の「ビニール和傘」を取り出し、「古くからある和傘の技術と、日本発祥であるビニール傘の技術を合わせ、新たな傘の伝統を作ります」と、実際にビニール傘を取り出し、請求書とともに尾池和夫学長へ渡す場面も。


 

理事長の誓い、そして学園歌。

卒業生からの熱い思いを受け取り、最後に演壇に立ったのは徳山豊理事長。
4年前の入学式の式辞では、「夢を持ち、実現させてください」と話したことを引き合いにして語ります。

「この学校で学び『夢が持てた。夢に一歩でも近づけた』という方はどれほどいらっしゃるか、私は正直不安です。もっともっと皆さんと一緒に、もっともっと議論しながら、皆さんの夢に一歩でも近づける、そういう学校づくりができたのではないか」と話し、

卒業生の皆さんから「いい母校だな」と思っていただけるよう、為しえなかった想いを継続し、学校づくりにこれからも向き合っていくと固く誓いました。

 

そして学園歌『59段の架け橋』。今年度は斉唱は控え、皆さんで歌詞を噛み締めるように静かに聞き入りました。

 

友よ
命の風は吹いてるか?
誰か愛してるか?
たった一度の人生
過ぎるときに悔いはないか?
夢に続く59段を
今でも上ってるか?
いつか 約束の場所で
昔の地図を開こう
僕たちが目指した道は
出会った日から…まっすぐ

 


コロナ禍という危機を乗り越え、今日という日を迎えた修了生・卒業生の皆さん。
ご卒業、誠におめでとうございます。

 

(撮影:高橋保世、広報課)

 

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