REPORT2020.12.30

京都

新春を彩る大看板! ― 京都・南座「一文字看板」制作プロジェクト

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  • 京都芸術大学 広報課

京都市東山区にある劇場「南座」は、歌舞伎発祥の地に建ち、400年の歴史と伝統を受け継ぐ松竹が経営する劇場。その入り口正面に掲げられる「一文字看板(いちもんじかんばん)」を本学の学生27名が制作し、12/20(日)に設置されました。

本学では、産学連携プロジェクト(PBL型授業)の一環として、2018年より南座正面の一文字看板制作プロジェクトを実施。看板制作に携わる職人の減少を受けて、伝統技術の保存・継承を目的としてスタートしました。学生たちにとっては、プロの看板制作者でもなかなか味わえない貴重な経験となっています。

五作目となる本作では、2021年1月元日(祝)から南座で始まる「初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演」の一文字看板を制作。そのサイズは、幅10.3m、高さ1.5m という巨大なもの。

設置を見守る学生たち。

「ニッポン画」を提唱する日本画家で、本学美術工芸学科准教授の山本太郎の指導のもと、27名の学生が約2か月半をかけて仕上げました(制作期間:10月中旬~12月上旬)。

プロジェクターでデザインを投影しながら書き写している様子。投影サイズを合わせるのにかなり苦労したそう。
横10mの看板を4つに分割して制作していきます。
まずは白と黄色で着色。その後に他の色を塗っていきます。看板が徐々に華やかに。
ミリ単位の細かい作業のため、画面に近づき、集中して描く学生。
分割して制作した看板の接続部分は、実際につなげてみるとズレてしまっている箇所も多く、その修正に苦労したと言います。


制作したのは「初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演」の看板ですが、ただ華やかに制作すればいいというわけではありません。景観の在り方や看板制作に関わる「京都市屋外広告物等に関する条例」について、京都市都市計画局 都市景観部 広告景観づくり推進課より指導を受け、学ぶことで、新春の華やかさを色鮮やかに表現しながらも、周囲の景観や歴史ある劇場と調和するよう配慮がなされ、色合いには特に工夫が施されています。

その難しさを学生に伺うと、
「色作りはパソコン上で作った色を実際に再現するのに苦労し、時間をかけて試行錯誤しました。塗る作業は看板のサイズが大きいため、少しのズレでも大きく影響してしまうことが大変でした。メンバー同士でムラやはみ出しを細かくチェックし合い、何度も修正を行い、完成させることができました」(情報デザイン学科 1年生 北山菜水さん)

 


実際に設置された一文字看板を見た学生は「こんな大きな作品がいろんな人の目にとまる機会は、なかなかないと思いますし、貴重な体験ができたと思って感動しています」と話します。

看板は、元日より始まる「新春お年玉公演」の千秋楽まで設置されています。短い期間ですが、お近くにお越しの際は、そのダイナミックな看板をぜひご覧ください。

 

「景観条例に配慮しながらもお正月にふさわしい華やかな色使いにするのはデザイン的になかなか難しいです。でも学生たちは、アイディアを出し合ってそれをクリアするデザインを考えてくれました。また、実際の制作は今まで経験したことがないくらい大きな作品を学生全員が協力して描きあげました。印刷とも見間違うくらいのクオリティに仕上がりましたのでじっくり見ていただきたいです」(美術工芸学科 准教授 山本太郎)

初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演

日程 2021年元日(祝)初日~1月7日(木)千穐楽
場所 南座

(撮影:高橋保世、広報課)

 

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