REPORT2020.08.21

ファッション染織

私たちがひらく、あたらしい道筋 ― SOU・SOU×京都芸術大学「季節と出会うてぬぐい」オンラインショップオープン!

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  • 京都芸術大学 広報課

本学の夏の風物詩でもある、SOU・SOUとのコラボプロジェクト。例年であれば、祇園祭のお囃子とともに四条河原町で、学生らがデザイン・染色・縫製を手がけた“てぬぐい”の販売をしていました。

しかし新型コロナウィルス感染症の拡大により、前期すべての授業が「オンライン」に。毎年、新作のてぬぐいを発表してきた、美術工芸学科 染織テキスタイルコース3年生たちも同様の事態に見舞われました。

例年の店頭販売の様子。
例年は祇園祭の開催と合わせて、四条河原町交差点で店頭販売をおこなっていた。

そこでこの夏は「季節と出会うてぬぐい」と題し、制作したてぬぐいを販売するオンラインショップを開設、WEBでのおひろめが決まりました。

今年のゼミ生は26名。てぬぐいの制作に加え、お客様の手に届くまでのプロセスすべてを学生で役割分担し、プロジェクトを進めています。リーダーを務める、染織テキスタイルコース3年生の松井さんと伊藤さんにプロジェクトのお話を伺いました。

 

七十二候をテーマにした「季節と出会うてぬぐい」

「2020年は七十二候(しちじゅうにこう)がデザインのテーマになっています。私たちが学んでいる染めの技法、『注染(ちゅうせん)』と『デジタルプリント』で、日本の四季をデザインしました」。

注染で染色されたてぬぐい。ぼかした輪郭や色合いで、手染めならではの味わいのある雰囲気に染め上がる。

七十二候は、日本の旧暦で用いられていた暦。一年を24に分けた『二十四節気』をさらに3つに分け、約5日のスパンで気象の変化を言葉で表現しています。

その中から、26名の学生それぞれが誕生日に近い「候(こう)」をセレクト。同じ七十二候生まれの人もいるため、24種の暦をてぬぐいに表現します。さらにデジタルプリントの技法を選択した学生は3つのデザインを考案。両方の技法を選択した学生もいるため、オンラインショップでは全部で65種類の柄がお目見えします。

デザインされたのは、カラーがついた暦。「大切な人との記念日や、自分にぴったりの季節を探してほしい」と松井さん。

「“七十二候”、この言葉に触れたこともなかったので、暦のことを知れば知るほど興味がわきました。ただデザインするだけではなくて、日本人が愛してきた移ろう季節の美しさや、その繊細さを知れたのは大きな学びになりました」と、松井さんと伊藤さん。

 

自粛期間の中、すべて前例のない“大きな挑戦”

てぬぐいをデザインしていたのは5月~6月にかけてのこと。自粛期間とあって、授業は週に一度のオンラインで進められました。先生やゼミのメンバーに会えない中で、もくもくと制作に打ち込んだそうです。

学校で活動できないため、それぞれが自宅で制作を進めた。

「例年であれば、デジタルプリントはシルクスクリーンのような方法で、自分たちの手で染色していました。今年は制作したデザインを工場の方にお渡ししてプリントしていただいています。注染も同様に、型をつくるところまではそれぞれが自宅で制作。その後の染色は職人のみなさんにお任せしています。できることなら、自分たちの手を動かし、染色の技法をもっと肌で感じたかったです。自粛期間があけてからも、染色工場への見学は代表者に任せることに……。職人さんの技術をこの目で見たかったなぁ……というのが本音です」。

販売にむけてオープンするウェブサイトでは、注染やデジタルプリントの技法の技術についても紹介する。
デジタルプリントを依頼した 株式会社KALEIDOSCOPIC(カレイドスコピック)。代表者は他のゼミメンバーへ、見学レポートをつくり情報共有を行った。(撮影:高橋保世)

その一方で、学びになったことも多くあったそうです。

「てぬぐいの制作依頼や、工場見学のアポイント。生産管理や在庫管理、営業や広報もすべて自分たちで進めています。いまはサイトオープンを控え、オンラインで誰かと打合せする毎日です。人と会えない状況の中でも関係性をつくったり、進捗を確認しあったり、企業のみなさんと交渉をしたり……。いつもなら経験できなかったことがたくさんあります。制作だけではなく、いろんな道筋をつくるところも含めて、自分たちの力だけでどこまでできるのか。大きな挑戦だと思っています」。

より多くの人たちに興味を持ってもらえるよう、ウェブサイトではてぬぐいの活用法も紹介する
プロジェクトのメインビジュアルの撮影風景。サイトで使用するイメージも、すべて自分たちで撮影した

 

私たちが、どこまでも届けていく

今までは京都に足を運ばなければ手にすることができなかった、プロジェクトのてぬぐい。どこからでも買えるようになったことで、これまで出会えなかった人たちにも届けることができる、そんな可能性が大きく広がりました。

「このてぬぐいをきっかけに、めぐりめぐる季節の喜びを感じていただき、日々の暮らしをてぬぐいで彩っていただけたら素敵だなと思います。さらに、染色技術やテキスタイルに興味を持っていただけたら、もっと最高です。ひとりでも多くの人たちに、てぬぐいとの運命的な出会いを果たしてもらえたらと願っています」。

もし海外からの注文があったら?という質問にも「どこまでも届けていきたい!」と力強く応えてくれたリーダーのふたり。彼女たちの、新しく大きな挑戦をどうぞご期待ください。

 

KUATEX72 SOU・SOU × 京都芸術大学

*KUA(クア)= 京都芸術大学、TEX(テックス)= 染織テキスタイルコース 72(候)
*SOU・SOU = オリジナルテキスタイルを作成し地下足袋や和服、家具等を製作、販売する京都のブランド。

KUATEX72:https://kuatex72.wordpress.com/
オンラインショップ:https://kuatex.stores.jp/

 

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