COLUMN2018.02.27

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瓜生山学園の卒業制作展 -瓜生山歳時記#18

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  • 尾池 和夫
  • 高橋 保世

 毎年、2月から3月にかけて全国各地で卒業式が行われる。私の出た私立土佐高等学校では、昔から卒業式が早い時期に行われていた。高知の街を1月31日に歩いていたら、「今日は卒業式ですね」と声をかけられて、そのことを思い出した。近畿では、近大附属和歌山高校で1月17日に卒業式が行われた。このように早く卒業式を行うのは、大学の入学試験を受ける人が出かけないうちに、全員参加の卒業式ができるようにという配慮である。
 学校ごとに就学期間の修了を祝う式典を卒業式というのは日本と韓国の習慣で、日本では学校教育法施行規則によって定められた学校行事となっている。
 ヨーロッパではバカロレアなどの公的試験合格で課程が終わる。ロンドンでは一斉に帽子を投げ上げる。アメリカでは6月、韓国では2月の卒業式が多い。MITの卒業式では、ドレスコードがあるが、遊び心豊かな学生たちが多い。帽子の上にMITのキャンパス模型を載せた土木工学の学生、火星着陸船の模型を載せた航空宇宙工学の学生もおり、ドラえもんガウンを着て来る学生もいる。

卒業歌ぴたりと止みて後は風      岩田由美

 京都造形芸術大学の卒業式では、映画学科や舞台芸術学科の卒業生が、春秋座の舞台ですばらしいパフォーマンスを披露してくれる。昨年は最高の歌唱力を讃えて学長特別賞を出した。
 瓜生山学園では、2月3月に卒業展がある。京都芸術デザイン専門学校の卒業終了制作展は、みやこめっせで2月10、11日に開催された。瓜生山キャンパス全体が美術館となる大学の卒業制作展が2月10日からで、毎年15000人ほどの人が来る。通信教育部では3月に卒業展がキャンパスである。今までの最高齢の学士は96歳で、ギネスブックに登録された。
 瓜生山学園にも、いよいよ高等学校が仲間入りすることになった。大学に付属する通信制の高等学校で、今までにない新しい高等学校の登場である。その卒業式はどんな式典になるのか、今からとても楽しみにしている。

陶芸コース九十六歳卒業す        和夫

 

 

[文:尾池和夫・写真:高橋保世(「2017年度 京都造形芸術大学 卒業展/大学院 修了展」にて撮影)]

 

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  • 尾池 和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。

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