COLUMN2016.12.14

京都

冬の星と北山の準平原 ―瓜生山歳時記 #4

edited by
  • 尾池和夫
  • 高橋 保世

 冬の星が季語の主題で、寒星(かんせい)、凍星、寒昴、寒オリオン、寒北斗、冬北斗、冬銀河など、たくさんの傍題がある。瓜生山の上からも京都盆地の景色が冬晴れの空のもとに見渡せる。西には前縁の西山断層の地形とそこから北西に拡がる丹波山地、右側には北山の準平原、瓜生山から東には東山三十六峰の一部である大文字のある山が間近に見える。

鳴り出づるごとく出揃ひ寒の星     鷹羽狩行

 準平原は、浸食の輪廻の終末期の地形を指すと辞書にある。長い間の浸食作用や削剥作用で低く平らになった大地が隆起すると隆起準平原となると説明されている。京都盆地を形成した西山、北山、東山の隆起運動は比較的新しい運動で、東山の花崗岩の部分を除いてまだあまり浸食が進んでいない。とくに北山はほとんど同じ高さに続いているように見える準平原である。
 京都盆地の中央で南北の断面図を描くと、北山で地表に出ている岩盤の上面が、盆地の北の端で地下に潜っている。南へ向かってその面が階段状に深くなり、丸太町あたりで地下250メートルくらいにある。岩盤の面は雛壇のように南へ深くなり、宇治川の南で地表から800メートルの深さになっている。その構造を西山と東山の山並みが囲み、四角の盆地ができて世界的に珍しい城壁のない都を生み出した。
 京都の空は霞んでいて瓜生山からも星があまり見えない。それでもときには北極星や北斗七星を見つけることができる。そして、オリオン座が12月の夕暮れに大きく輝く。

自転する地球の上の冬銀河        和夫

 

瓜生山山頂の能舞台から望む北山の準平原

<文:尾池和夫、写真:高橋保世>

  • 尾池和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、2038年南海トラフの巨大地震(マニュアルハウス)、あっ! 地球が・・・ 漫画による宇宙の始まりから近未来の破局噴火まで(マニュアルハウス)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。京都造形芸術大学 美術工芸学科 現代美術・写真コース2014年度入学。フォトグラファーを目指して学内、外での撮影活動を行っている。

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