COLUMN2017.02.02

京都

春の雪と瓜生山からの風景 ―瓜生山歳時記 #6

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  • 尾池和夫
  • 高橋 保世

 春の雪は、淡雪、牡丹雪とも呼ばれ、冬の雪と違って解けやすく、降る一方から消えて積もることがない。それで淡雪という。晴れやかな感じの雪であるとも言える。しかし、年によってはとんでもなく降雪量が多くて、とても淡雪とは言いがたいこともある。今年は京都盆地の底冷えが続き、積雪量が多いと感じる日が多いようだ。
 気象庁地球環境・海洋部が1月25日に発表した「2月から4月までの天候見通し」によると、2月は西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多く、太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多いという。京都盆地は中間にあるが一応太平洋側の情報を採用しつつ、たまに時雨が日本海側からやってくるという気候だと思っている。

  青空をしばしこぼれぬ春の雪    原 石鼎

 何かというと気候を地球温暖化のせいだと言う人が多いが、今年のように雪が積もると、それを温暖化のせいだという人はいない。しかし、日本海に流れ込む対馬暖流の温度が高くなるとそれだけ蒸発量が多くなり、その水を大陸からの風が吹き寄せて日本列島に豪雪をもたらせるのだから、温暖化すると雪が増えるということもあり得る。
 前回は瓜生山から底冷えの京都盆地を見渡したが、瓜生山学園の創設者である徳山詳直の住んでいた海士町の家から見る海の風景も、丘から吉田松陰の見た萩市の海の風景も、海こそないが瓜生山から見渡す京都盆地の風景も、お互いにとてもよく似ているように見える。この景色は、もしかしたら徳山詳直にとっての原風景かもしれないなと思った。

  みちのくの地酒辛口春の雪      和夫

 

<文:尾池和夫、写真:高橋保世>

 

京都造形芸術大学 人間館のピロティから

 

  • 尾池和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、2038年南海トラフの巨大地震(マニュアルハウス)、あっ! 地球が・・・ 漫画による宇宙の始まりから近未来の破局噴火まで(マニュアルハウス)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。京都造形芸術大学 美術工芸学科 現代美術・写真コース2014年度入学。フォトグラファーを目指して学内、外での撮影活動を行っている。

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