「卒業」は春の季語である。毎年2月、3月には瓜生山学園の卒業生たちの様子が、この瓜生山歳時記にも登場している。日本の大学の多くは、4月入学で2月から3月の卒業が多い。その前後に、大試験、学年試験、進級試験、卒業試験という季語があり、落第という季語も入っている。そして以前紹介した(瓜生山歳時記#31、2019.03.25)ように、卒業、卒業生などの季語があり、春休の季語があって、4月の入学、入学式、新入生、入園などの季語がある。もちろん、その前に、年明けから入学試験、受験、受験生、受験期などの季語がある。
昨年の春の卒業式は、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で中止する大学が多かったが、2020年度の卒業式は多くの大学で2021年3月に行われるようである。瓜生山学園でも、京都芸術大学の通学部、通信教育部、同附属高等学校、京都芸術デザイン専門学校、京都文化日本語学校、認可保育園こども芸術大学が、次々の卒業式、卒園式を迎える。
瓜生山学園にもっとも近い京都大学では参加人数が多いので、卒業式は岡崎公園にある京都市勧業館みやこめっせで、今年は2021年3月24日(水)の9時30分から挙行するという。
ポケツトの底抜けしまま卒業す 津田清子
岡崎公園は、明治28年の第4回内国勧業博覧会跡地に道路を開き、平安神宮に寄付して残った土地に木を植えて生まれた。東山を背景に、南禅寺、永観堂、平安神宮、動物園、美術館、ロームシアター京都、府立図書館などもある。
京都市勧業館みやこめっせでは、瓜生山学園 京都芸術デザイン専門学校の「K展」が行われた。これは、専門学校の学生が「社会」「企業」と連携してきた成果を展示し、プレゼンテーションするという、いわば集大成の場である。今年も新型コロナウイルスには負けないよう、しっかりした感染症対策のもとに、2月12日(金)、13日(土)の10時から16時半まで開催された。会場でもWEBでも参加できる。
この専門学校の大きな特徴は、「瓜生山学園連携による充実した施設とカリキュラム」、「実際の企業との連携による仕事に直結する学び」、「目指す業界を実際に体験できるインターンシップ」、「京都芸術大学への編入学」の4点である。併設の大学などとの合同授業や共同プロジェクトにより、通常の専門学校では得られない体験もする。広いフロアいっぱいに展開される学生たちの成果を目の当たりにするのが、私の毎年の楽しみの一つである。
赤丸ある卒業作品の名札 和夫
(文:尾池和夫、撮影:高橋保世)
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尾池 和夫Kazuo Oike
1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。
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高橋 保世Yasuyo Takahashi
1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。