2018年2月にも、卒業の季語をテーマとした。そのときには主として通学部の卒業制作展のことを紹介した。「卒業」は仲春の季語であり、傍題として、卒業生、卒業式、卒業期、卒業証書、卒業歌などがあげられる。昨年の東京での卒業制作展のテーマは「シュレディンガーの猫」2018年2月にも、卒業の季語をテーマとした。そのときには主として通学部の卒業制作展のことを紹介した。「卒業」は仲春の季語であり、傍題として、卒業生、卒業式、卒業期、卒業証書、卒業歌などがあげられる。昨年の東京での卒業制作展のテーマは「シュレディンガーの猫」であったが、今年、第2回目となる東京展のテーマは「宇宙船地球号」であった。
東京展の内覧会の挨拶の中では、音の重要性についても触れた。5感のすべてを動員する展覧会であってほしいと私は願っている。その点、色については同じ東京都美術館で開催されている「寄贈の系譜展」での鮮やかな色使いが素晴らしいと思った。
卒業の空のうつれるピアノかな 井上弘美
21世紀の大きな特徴の一つは、生涯学習の時代という点にある。瓜生山学園は文字通り、その生涯学習のニーズに応えることのできる学園であろうとしている。2019年の4月には、認可保育園こども芸術大学を開設し、また通信制の高等学校を始める。文字通り1歳から96歳までが学習実績を持つ学園となる。
通信教育部での授業を私も受け持っているが、今年は8月に集中講義がある。「天文学・地文学・人文学への階段」という題が付いている。天地人、つまり三才の世界のさまざまな知識を学んでいただきながら、人間とは何か、芸術とは何か、平和とは何かを一緒に考えて行きたいと思っている。
通信教育部の2018年度卒業制作展は、2019年3月10日(日曜日)から17日まで行われた。その前日の午後、卒業生たちが展示の仕上げを見て回る予定であったが、3月8日の早朝、心房細動がひどくなり、息苦しくなったために、京大病院の救急外来へ行き、そのまま入院することになって、3月16日の卒業式の日にようやく一部を見ることができた。環境デザインコースの水谷奈津子さんの作品「Quattro wave -交差点の宿場町に広がるにぎわいの波-」は、東海道五十三次の53番目の宿場町の大津市をテーマに、現代の宿場町を提案するもので、たいへんわかりやすい、にぎわいの町を見せてくれて、とくに私の印象に残る作品であった。
新人類登場漫画卒業展 和夫
◎東京展「KUAD ANNUAL 2019 宇宙船地球号」
【会期】2019年2月23日(土)~2月26日(火)【会場】東京都美術館 1階第2・第3展示室
◎京都造形芸術大学(通信教育)卒業・修了制作展(写真:高橋保世)
【会期】2019年3月10日(日)~3月17日(日)【会場】京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス
(文:尾池和夫、写真:高橋保世)
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尾池 和夫Kazuo Oike
1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。
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高橋 保世Yasuyo Takahashi
1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。