COLUMN2021.01.25

京都

認可保育園こども芸術大学のお正月 ― 瓜生山歳時記#53

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  • 尾池 和夫
  • 高橋 保世

 春夏秋冬の季語、年の暮れの季語に加えて、新年の季語で、さまざまな正月の行事を詠む。先月は年末の年用意を紹介したが、今回は正月の行事の季語をまず並べてみたい。
 新年の時候の季語は、新年、初春、正月、睦月、今年、去年今年、去年、元日、元朝、三が日とあり、二日からは毎日、七日までが季語である。人日、松の内、松過、二十日正月で終わる。
 天文では、初空、初日、初明りというように、初の付く季語が多い。御降は、初めて降る雨である。淑気という季語もある。
 地理では、初景色から始まるが、初富士、初筑波、初比叡、初浅間が特に季語に入っている。若菜野もある。
 生活や行事の項では、若水、門松と始まり、注連飾、蓬莢、鏡餅があり、年男、年賀、御慶という祝い、賀状、書初などの行事、仕事始、初旅など日常に行われる行動の最初、薺打つ、七種粥、万歳、獅子舞、猿廻しなどの催し、初釜などの行事、歌留多、双六などで遊び、初天神、初薬師、初閻魔、初観音、初大師などに出かける。懸想文売が現れるのは京都の須賀神社だけであり、全国から懸想文を買いに来る男女が多い。
 動物では、嫁が君、初鶏などの縁起のいい動物が特別に扱われ、植物でも、楪、歯朶、福寿草、春の七草のそれぞれが列挙される。

 

むつかしきことまゐらする懸想文     大石悦子

 

 瓜生山学園では1月6日に、仕事始めの教職員総会で、学長たちの年頭の挨拶がある。そこで認可保育園こども芸術大学の鍋島惠美園長からは、昨年一年の園での活動報告とともに、こどもたちがお正月を祝ってさまざまな工夫をして創作した正月のお飾りが写真で紹介された。注連縄は、こどもたちが育てた稲を折れないようにたたいて輪をつくり、それに裏白、楪、橙の代わりの柚子を飾った。
 瓜生山学園の農場からは、さまざまな作物が次々と収穫されるが、こどもたちが土に触れる大切な機会としてそれらが一年を通じて活動に組み込まれている。自然に肌で触れることによって、こどもたちは貴重な体験を心に残す。園長の希望を入れて園には畳の一角がある。その畳の上には鏡餅が置かれている。さらに、2021年の干支を描いた賀状がある。いかにも牛らしい牛がどうどうと描かれている。新しい年がよい年になってほしいと願う気持ちがそこにあふれている。

 

この大地ガイアの統べる去年今年     和夫

 

玄関に飾られた注連縄。
園内の畳の一角に置かれた鏡餅。
松組のクラスサインと頭に角がついた「だるま」の折り紙作品。
七草の節句には、七草が。
瓜生山の山頂にある農園。こども芸術大学のこどもたちや学生が作物を育てています。

瓜生山農園については、瓜生山歳時記#15 でもご紹介しています。

甘藷と瓜生山の農場 - 瓜生山歳時記#15
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/278

 

(文:尾池和夫、撮影:高橋保世)

 

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  • 尾池 和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。

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