太陽暦で1年の終わりを迎える12月になると、京都の町中ではさまざまな行事や年用意が静かに行われる。それらが京都を中心に編纂された歳時記に整理されている。歳時記の「時候」では、「師走、極月、臘月」から年越の季語が始まる。そして列挙していくと、「年の暮、歳暮、歳晩、歳末、年の瀬、年の果」「数へ日」「年の内」「行く年、年歩む、年送る」「小晦日」「大晦日、大三十日、大年、大つごもり、除日」「年惜しむ」「年越」「除夜、年の夜」「年用意、春支度」とある。それぞれの意味を知ると行事の歴史がわかる。
「生活」では、「年末賞与」「年用意」から始まる。新年を迎えるためにいろいろ支度を整えることが、季語に並ぶ。「年の市、暮市、がさ市」「煤払、煤竹、煤籠、煤逃、煤湯」「門松立つ、松飾る」「年木樵、年木伐る、年木売」「餅搗、餅搗唄、餅筵、餅配」「注連飾る」「御用納、仕事納」「掃納」「年守る」「晦日蕎麦」「畳替」「掛取」「賀状書く」「日記買ふ、日記果つ」「古暦、暦の果、暦売」である。年木樵とは、正月に飾る年木を山へ入って伐ることで、年木を家の内外に飾る。歳神を迎えるためで、門松が代表的である。繭玉の挿木や門松の根元の割木などもある。あとで燃料とした。
「行事」では、「終大師、終弘法、果の大師」「終天神」「札納、納札」「年越の祓、大祓」「年越詣、除夜詣、年越参」「年籠」である。終大師は、12月21日、その年最後の弘法大師の縁日で東寺が賑わう。12月25日は最後の天満宮の縁日である。
思はざる道に出でけり年の暮 田中裕明
町中の年の瀬の行事にさまざまな形で学園から学生たちが参加する。企業や地域の依頼を受けて、芸術の力で課題解決に挑戦する社会実装プロジェクトで、年間100件以上の仕事を学生たちが実行する。その1年の総仕上げのようなプロジェクトが、年末の名物になってきた。四条通りの南座では年末の顔見世が終わると同時に、正月公演の巨大な看板が南座の正面玄関に掲げられる。2020年1月の「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」を飾るときには、劇団最長老の髙田次郎さんが立ち会っていた。
今年も、望天館の4階などで学生たちが感染症対策をしながら制作を続けていた。さて、ことしはどのような看板が揚がるのだろうかと待ち遠しい。
年末には新年を迎えるために、さまざまな計画が学園の中に生まれている。カリキュラムも公募展の企画も、それぞれが早くから新年度のスタートとともに始まるように、今から準備する。
学園に新しきこと十二月 和夫
初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演
日程 | 2021年元日(祝)初日~1月7日(木)千穐楽 |
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場所 | 南座 |
京都芸術大学イルミネーション
期間 | 2020年12月18日(金)~12月25日(金) |
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時間 | 16:30~21:45(土日は20:00まで)※予定 |
(文:尾池和夫、撮影:高橋保世、広報課)
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尾池 和夫Kazuo Oike
1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。
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高橋 保世Yasuyo Takahashi
1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。