日ごとに秋も深まり、空が高く澄みわたる11月2日(土)、京都芸術大学ホームカミングデーが開催されました。卒業生が同窓生や先生方、在学生と交流する、年に1度の機会です。
2021年から昨年までは感染症拡大の影響でオンライン開催されていたホームカミングデーですが、今年はまた対面形式での交流が復活! 直心館の講堂に卒業生と先生方、職員の方々が集まり、立食パーティー形式で旧交を温めました。
昨年度に引き続き、2日(土)に実施されたホームカミングデー懇親会以外に、学科・コースの懇親会を目的としたホームカミング・パーティーも開催されました(一部の学科・コースのみ)。学科・コースごとに対面とオンラインを併用し、会場に集まった卒業生とも、遠方の同窓生とも、オンライン上の同窓会場で再会できたのではないでしょうか。今回は、2日に開催されたホームカミングデー懇親会の模様をお届けします。
当日は大瓜生山祭(学園祭)とオープンキャンパスも同時開催されていて、学内はとても賑やかでした。大瓜生山祭の様子をレポートした記事はこちら!
「大瓜生山祭2024 火花」レポート — 学生たちの個性が火花のように弾ける学園祭!
まずはじめに、吉川左紀子学長から挨拶がありました。「これまでの数年間は、感染症の影響でつながることができませんでした。今年はこうしてみなさんと講堂に集まることができたことを本当にうれしく思います。わたしは今日、大瓜生山祭を見て回っていて、毎年ブラッシュアップされていくものと、新しくはじまるもの、どちらも大事だなと感じました。何年かぶりに母校に帰ってきた卒業生のみなさんには、先生方と同窓生と会って、近況とともにそうしたことについても話してもらえたらと思います」と卒業生への期待を語りました。
「松陰芸術賞および瓜生山学園賞」表彰式
つづいて、2024年度「松陰芸術賞および瓜生山学園賞」の表彰式が行われました。
松陰芸術賞に選ばれたのは、簡維宏さん(京都芸術大学大学院 博士課程 芸術研究科芸術専攻在籍)。松陰芸術賞は、社会活動を活発に行い、優れた成果が期待できる卒業生・修了生に授与される賞。第四代学長 千住博教授を中心に毎年一名を選定し、今後の活動にエールを送るものです。
瓜生山学園賞に選ばれたのは船橋裕一郎さん(京都造形芸術大学(現京都芸術大学) 文化財科学コース卒業)です。瓜生山学園賞は、開学40周年を記念して創設された、学園の卒業生・修了生を表彰する制度。その活動が、建学の理念「芸術的創造と哲学的思索によって、良心を手腕に運用する新しい人間観、世界観の創造を目指す」を体現し、広く社会に貢献している方に贈られるものです。
賞状を授与されると、お二人とも受賞の喜びを率直に語りました。簡さんは現在も京都芸術大学の大学院に在籍し学びを続けています。船橋さんは在学中に太鼓に出会い、その楽しさに惹かれてクラブ活動に励んだことが現在の活動のきっかけなのだとか。
お二人の活動内容や選考理由については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、ご確認ください。
2024年度「松陰芸術賞および瓜生山学園賞」受賞者発表
学園と『つながる』
次に、学生サークル「和太鼓 悳(わだいこ しん)」が祝奏を披露しました。通学課程だけでなく、通信教育課程や大学院、京都芸術デザイン専門学校の学生40名以上が所属するサークルです。一曲目は客席まで大きな熱量の伝わってくる『燦』、二曲目は篠笛の流麗な音色や演舞も加えての『一会』を演奏。身体の芯まで響く音に、会場からは大きな拍手が贈られました。講堂に響く音色は、卒業生の今後を励ますように力強く、心に響きました。
そして、瓜生山同窓会長・冨家裕久さんによる乾杯の音頭に移ります。1992年に本学に入学し、環境デザイン分野で大学院まで6年間学んだという冨家さん。在学中はたくさんの楽しい思い出があったといい、「瓜生山同窓会は『つなぐ』をテーマに活動しています。このホームカミングデーは、学校の先生方、職員の方々と再会するだけでなく、社会で活躍する卒業生、同窓生たちとつながる、学園とつながる機会にしてほしい」と話しました。
「乾杯!」の合図の後は、一気に和やかな宴会ムードに。食のブースにはあっという間に行列ができ、美味しいお酒と食べ物を手にしたら、あちこちから笑い声が。旧友や先生たちとの再会を喜びあう姿が散見され、みなさん楽しそうに談笑していました。
卒業生のいるお店
ホームカミングデーでは学園WEBマガジン「瓜生通信」でご紹介している「卒業生のいるお店」から飛び出して、卒業生が活躍するお店が出店します。今年は「丹波亀吾郎」「KIRI CAFE」「pasta sorriso」の三店舗が出店しました。
それぞれの「卒業生のいるお店」についてのインタビュー記事は下記をご覧ください。
辰巳雄基さんが店主を務める「丹波亀吾郎」から提供されたのは丹波産の小豆を使い、オーガニック小麦全粒粉を生地に使用した「かめやき」。一つひとつ丁寧に焼き上げた地元のこだわり素材を使うパリパリのかめやきに、卒業生も先生方も舌鼓を打っていました。
瓜生通信:卒業生のいるお店――丹波亀吾郎(京都府亀岡市)
森國文佳さんがディレクターを務める「KIRI CAFE」からは自家製豆花(ドウファ)をご提供いただきました。豆乳を固めて甘いシロップをトッピングして食べる、台湾の定番スイーツです。今回は粉粿(フングイ)やハトムギ、ライスバレーなど、健康にいい食材をふんだんに使った一皿を振る舞っていただきました。
常に行列ができる人気っぷりで、森國さんは「リピートしてくれる方もいらっしゃって、学科の先生方とも話せました」と笑顔を見せました。
瓜生通信:卒業生のいるお店――KIRI CAFE(京都府亀岡市)
農業生産法人 小川農園株式会社専務取締役・農村デザイナーの小川陽平さんが出店する「pasta sorriso」からは、「ラビオリ」「トルテリーニ」「ミートパスタ」を提供いただきました。お米を使ったパスタ作りに取り組む小川さんのコロコロとした形が可愛いパスタはすぐに来場者のハートを掴み、我先にと手を伸ばす人で溢れていました。もちもちとした食感がたまりません。
瓜生通信:卒業生のいるお店――pasta sorriso(兵庫県姫路市)
母校とともに
談笑している間、前方のスクリーンにはこれまでの同窓会活動の記録がスライドショー形式で投影されていました。そちらを懐かしく見ていると、突然映像が……!
切り替わったスクリーンで上映されたのは、「詳直前理事長、(10年ぶりに)瓜生山を
のぞいてみた!」です。今年は、徳山詳直前理事長がお亡くなりになって10年です。そこで、今回は特別企画として瓜生山キャンパスの昔と変わらない様子や、いまの様子を詳直前理事長と一緒にのぞく映像が放映されたのでした。
放映された映像はマイクロドローンによる臨場感あふれる映像。人間館1階のロビーから各階、望天館、ウルトラファクトリーなど、さまざまな場所を詳直前理事長が空を飛んで巡っていきます。非常に綺麗な映像に見入っているわたしたち……の背後から、なんと会場に詳直前理事長(を模した人形とドローン)が来てくれました!
このホームカミングデー懇親会に集まったわたしたちを歓迎し、見守ってくれているような詳直前理事長の視線に、みなさん力強く手を振り返していました。
当日の模様はホームカミングデー公式サイトに掲載される予定です。ぜひ、チェックしてみてくださいね!
https://www.kyoto-art.ac.jp/hcd/2024/
最後には、徳山豊理事長から「みなさんには常に好奇心を持ってほしいと思っています」と卒業生に激励の言葉が送られました。
「いま、学生には常に好奇心をもってくれと話しています。世の中がどうなってるか、同級生がどんなことを考えているかを考えることで、自分の悩みの答えが見つかると思っているからです。『つなぐ』というのがホームカミングパーティーのテーマです。卒業生こそ、好奇心をもって母校がどうなっているか、後輩がなにをしているか、考えてほしいと思います。それが在学生にとっても原動力になります。わたしたちは常に、みなさんとともにあります。みなさんに母校を誇りに思ってもらうために、進んでいきます。来年、再来年、そして2027年の50周年のときにも、みなさんとこうしてお会いしたいと思っています」
懇親会もお開きの時間になり、「今日はいかがでしたか」と聞いてみると、みなさん声を揃えて「先生方とお話しできました」と話してくれました。
2015年に日本画コースを卒業したという男性は、「コロナがあって芸術に接する機会が減っていたんですが、学科の先生と久しぶりにお話しできてよかったです」と顔を綻ばせます。
2022年に通信教育部の芸術教養学科を卒業した男性は、「下村先生と自分の専門分野についてお話しできて、勉強になりました」とホームカミングデーで得た新たな学びについて語ってくれました。
今年はようやく対面開催が叶い、多くの方々との「つながり」が感じられるホームカミングデーになったのではないでしょうか。たくさんのご参加、ご支援をいただき、ありがとうございました。卒業生のみなさん、来年も、この大学に帰ってきてくださいね!
(文:上村裕香、写真:塩見嘉宏)
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上村 裕香Yuuka Kamimura
2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。