全国各地で活躍する京都芸術大学の卒業生たち。旅先や日常の中で「え、このお店も卒業生が？」と驚くことがしばしばあります。そんな意外な出会いが、私たちを笑顔にしてくれます。
この記事では、卒業生が手掛ける素敵なお店や商品をピックアップし、みなさんにご紹介。京都芸術大学を卒業した彼ら、彼女らの想いやこだわりが詰まったストーリーとともにご紹介します。ぜひ気になるお店を訪れ、新たな発見とつながりを体験してください。
京都府亀岡市
森國文佳（もりくに ふみか）さん
KIRI CAFE 責任者（ディレクター）
2023年 京都芸術大学大学院 美術工芸領域染織テキスタイル分野卒業
「居心地のいい場所」を追求するための心配り
京都府亀岡市。車どおりの多い幹線道路から少し入った静かな場所に「KIRI CAFE」はあります。周辺ののどかな風景にも引けを取らない、ゆったりとした空気が流れる店内で3代目店長の森國さんにお話を伺いました。
KIRI CAFEができた経緯を教えてください
3代目なので直接知っている部分と伝え聞いている部分があるのですが、KIRI CAFEは「かめおか霧の芸術祭」の第1の拠点として2018年8月にオープンした交流スペースです。その前年に京都芸術大学の学生・卒業生・教員が改修を手伝うところから関係がスタートし、そのときわたしは1年生でした。改修作業では多くのことを経験させてもらいましたが、まさか自分が3代目の店長になるとは夢にも思っていませんでした。
2代目店長との違いはどういったところだと思いますか
2代目の店長はわたしより年齢が少し上だったこともあり、わたしはこの地域の孫のような存在かもしれませんね。向かいのお婆さんも朝夕に「今から働くんか～？今日は儲かったか～？」と言った感じでいつも声をかけてくれます。
KIRI CAFEのおすすめの楽しみ方を教えてください
読書やおしゃべりなど、とにかくリラックスしてゆったりとした時間を過ごしてもらうのがおすすめです。どの席に座っても心地よく過ごしてもらえるように、席ごとの空調・隣の席との距離・視線のコントロール・気温によって提供するお水の温度調整など、できる限り細かいところにまで気を配っています。
他のお店にはないと思うのはどういったところですか
店内にあるいろんなものがワークショップでつくったものだったり、もらいものだったりするところはKIRI CAFEならではかもしれませんね。お会計のところにある地層のようなカウンターも、市民のみなさんと一緒に版築（はんちく）という技法を使って亀岡の土でつくったものです。
顔となるメニューはなんですか
霧の野菜カレーが看板メニューですね。亀岡産のこだわり野菜を農家さんから直接仕入れさせてもらっていて、時期ごとにワンプレートの内容がどんどん変わっていきます。もともと料理好きだったのもあって、夏だったら焼き野菜風のカレー、冬だったらちょっとルーの食感を残してトロッとしているのがいいかなぁ……など、何度か来ていただいたお客さまのなかには驚く方がいるほど、そのときならではのカレーを提供しています。
作家としての森國さんについて教えてください
もともと染織や編み物のアーティストでもあるので、店長としての仕事をきちんと納得のいくものにしながら作家活動にもしっかり取り組みたいと考えています。今はわたしが企画・主宰するkcal cafe club（カルカフェクラブ）が活動するときに利用する、大きな看板を編みたいという妄想だけがどんどん膨らんでいます。自分で染めた糸はもうすでにたくさんあってあとは編むだけなんですが、一度取り掛かってしまうと夜なべしてでも一気に編みあげたいタイプなので、日々の忙しさとのバランスでなかなか着手できずにいます。編んでるときは心が穏やかで平らになるので、どれだけ忙しくても編んでる方がいいんだろうなと思いながらも……葛藤の日々です（笑）。
これからのKIRI CAFEについて教えてください
まずはお店のためやお客さまのためになると思えることを、ひとつずつクリアしていきたいですね。わたしが全部をやりたいと思うタイプではないので、一緒に携わってくれるスタッフと仕事を分担しながらやっていけたら最高です。そこからどうなっていくのかは、わたし自身が楽しみなところでもあります。わたしがいるからではなく、どのスタッフが働いていても安心して行けるお店になれば、必然的に居心地のよさも追求されているはずなので、やっぱりそこにすべてがつながっているんだと思います。それで「あそこにいいカフェあるよ」って、口コミでじわっと緩やかに広がっていってくれることが目標です。
【お店について ｜ information】
KIRI CAFE（https://kiricafe.shopinfo.jp）
〒621-0004 京都府亀岡市千歳町毘沙門向畑39番地
TEL. 0771-20-8773
定休日 月・火・水 営業時間 11:00–17:00
MAIL kameokakiricafe@gmail.com
Facebook ＠KIRICAFEkameoka
Instagram ＠kiricafe
［アクセス方法］
JR亀岡駅より〔京阪京都交通バス〕川東線F11 千代川駅前行「毘沙門」下車 徒歩2分
※Google mapで「KIRI CAFE」で検索
※駐車場あり
【卒業生の紹介 ｜ introduce】
森國文佳（もりくに ふみか）
広島県出身。大学院卒業後の2024年より京都府亀岡市に移住し、KIRI CAFEの3代目店長を務める。
自身が企画・主宰するkcal cafe clubは「kcal（カル）して編み物をコミュニケーションツールに」をテーマに、編み物で人と繋がる場づくりを行う。
（文・構成：平山健宣）
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