REPORT2022.03.22

教育

企業や自治体が抱える課題に取り組む。― リアルワークプロジェクト説明会(2022年度 前期)

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  • 京都芸術大学 広報課

2022年3月22日(火)18時より、リアルワークプロジェクトの説明会(在学生向け)が開催されました。昨年に引き続き、感染症対策を講じ、教室とオンライン(ZOOM)とのハイブリッドでの開催です。教室の参加者はやや少なめでしたが、オンラインでは多くの学生が参加していたようです。
※新入生向けの説明会は、4月6日(水)18時より開催予定。

 

リアルワークプロジェクト(社会実装プロジェクト)とは、企業や自治体が抱える課題をアート・デザインの力で解決し「学生自身が社会とつながる」本学の名物プログラムです。

 

本学には、企業や自治体から年間100件以上の依頼が届きます。そのような実際の「仕事」を通じて、学生たちが社会に出て行く時に必要となる力「= 社会人基礎力」を身につけるための実践的なプログラムとなっています。

 

説明会でも解説されていましたが、リアルワークプロジェクト(社会実装プロジェクト)には、大きく以下3つの種類があります。

領域横断プロジェクト(プロジェクト演習科目)
所属する学科、コース、学年を問わず、内容や時期から仕事を選び参加が可能なもの。学科の分野と異なる角度から制作やリサーチを行い、社会における芸術の役割や可能性をリアルに体験します。ビジネス視点が身につくことで、卒業後の進路にもつながります。

学科プロジェクト
所属する学科やコース単位のプロジェクトで、専門分野の学びをさらに深め、社会で実践的に展開する力を身につけるというもの。専門性を活かし、企業や自治体が抱える問題を解決します。「ニーズを捉え、課題を発見し、リサーチする」という流れを繰り返し、仕事の厳しさとやりがいを学びます。

アーティストプロジェクト
共通工房ウルトラファクトリーを使用し、国内外で活躍するアーティスト・デザイナーとともに作品等を制作するもの。学科やコースを問わず参加可能です。プロの現場で求められるレベルを知り、世界に届く作品が生まれる裏側のプロセスと厳しさを実践的に学びます。


今回の説明会は、学科コースや学年を問わずに参加可能な「領域横断プロジェクト」で、2022年度前期は以下ラインナップとなりました。

- 南座看板制作プロジェクト
- 粟田大燈呂プロジェクト
- フコクアトリウム空間プロデュースプロジェクト
- 手しごと職人のまち東山プロジェクト
- Ms.Pearlプロジェクト
- 学園祭お化け屋敷プロジェクト
- TEDxKUA (新規)

 

各プロジェクトの概要と昨年取材させていただいた様子をご紹介します。

 

南座看板制作プロジェクト

南座は歌舞伎発祥とされる四条河原町にあり、約400年の伝統を持つ由緒ある劇場です。2018年11月に耐震補強工事が完了し、伝統を保ちながら新しいイベントもできる劇場として新開場しました。横幅10メートルを超える一文字看板の制作を行い、地域性や創造性などを学ぶことができます。

twitter:https://twitter.com/minamiza_pj
instagram:https://www.instagram.com/minamizapj_kua/

南座正面の一文字看板を制作するプロジェクトは、2018年から行われています。看板制作に携わる職人の減少を受け、伝統技術の保存・継承を目的としてスタートしました。学生たちにとっては、プロの看板制作者でもなかなか味わえない貴重な経験となっています。

一文字看板のサイズは、幅10.3m、高さ1.5m という巨大なもの。昨年は、7・8月の2つの公演と、南座おなじみの「お正月公演」の看板を制作しました。

 

南座の正面を飾る迫力の一文字看板! ― 京都・南座「一文字看板」制作プロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/869

華やかな看板で新年をお出迎え!― 京都・南座「一文字看板」制作プロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/933

 

粟田大燈呂プロジェクト

天保3年以前で途絶えたと言われる「夜渡り神事」を、180年ぶりにアートで復活させて今年で15年目。単なる制作だけでなく、神社や周辺地域の歴史・伝承等を調査、京都の歴史・芸術・文化を掘り下げ、そこから見えてくる日本人の感性を捉えなおし、モノづくりの神髄を学びます。

twitter:https://twitter.com/awata_pj
instagram:https://www.instagram.com/awata_pj/

この大燈呂は、いま世にある「ねぶた」の原型ともいわれる歴史深いもの。粟田神社から依頼を受け、本学の学生たちが約180年ぶりに復活させ、制作と神事への参加を続けています。一昨年はコロナ禍で巡行が中止されましたが、昨年は復活。東山の粟田神社でおこなわれた粟田祭の「夜渡り神事行列」で、色鮮やかな大燈呂(山車)が2年ぶりに町を輝かせました。いにしえの伝統と新たな希望が融合する輝きに、「やっと日常が帰ってきた」という地元の方々の笑顔が忘れられません。

(撮影:前端紗季)

 

2年ぶりの巡行は、晴れのち感涙!粟田大燈呂プロジェクト2021
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/918

 

フコクアトリウム空間プロデュースプロジェクト

JR大阪駅前にある大阪富国生命ビルの地下2階から地上4階にわたる吹抜けアトリウム空間「フコク(生命)の森」をアートでプロデュース。今回で8年目を迎えるこのプロジェクトでは夏に巨大壁画、冬には本格的な立体オブジェの制作を行います。

twitter:https://twitter.com/fukoku_kyouzo
instagram:https://www.instagram.com/fukoku_pj/

一昨年前は中止となった夏の巨大壁画制作。昨年は計29名の学生が参加し、2021年8月5日(木)に公開されました。高松次郎《影》にインスピレーションを受けた作品で、コロナ禍で人と人との関わりが減るなか、活動の自粛やソーシャル・ディスタンスなどで寂しさや孤独を感じている方々に向けて制作されました。

 

幾重にも重なる、色とりどりの「影と私」 ― フコクアトリウム空間プロデュースプロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/881

 

そして冬季は「想いのかたち」と題し、なんと2,500個以上のビーズやヒートガンで加工した約1万個ものプラバンで、大きなハート型のオブジェを制作。ハートの中身は空洞で、まるでビーズが流れ落ちるかのような表現でその姿を浮かび上がらせています。普段は目に見えない「ハート(想い)」を大切にしてほしい。一つひとつの小さな素材に学生たちの想いが宿り、暖かさが感じられる作品が完成しました。

 

目に見えない、大切な人を想う気持ちをかたちに。― フコクアトリウム空間プロデュースプロジェクト
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/924

 

手しごと職人のまち東山プロジェクト

京都市東山区の職人さん達の工房に足を運んで手しごとの現状を調査(職人ヒアリング)など様々な活動を行います。「職人」とはどのような人なのかを学び作品の良さを多くの人に知ってもらうことを目的にしたプロジェクトです。今年度は、東山区の職人さんにヒアリングを行い、職人さん像をまとめる活動を行います。手しごとの良さや技術を見直すことで、大量生産の世の中の人々の価値観を変えられると考えています。

プロジェクトとしては2012年より始まり、2018年には伝統産業の「今」を記録しようと36の工房を取材した書籍『京都東山職人手帖』を発行しています。昨年は『東山 手しごと職人ぶらりさんぽ』東山区の北エリア版、南エリア版を制作しました。

 

Ms.Pearlプロジェクト

ミスパールプロジェクトは2015年から継続しているパールの魅力を発信するためのプロジェクトです。このプロジェクトではデザインから制作、コミュニケーションツールの制作、情報発信、ファッションショーに取り組んでいきます。ミスパールというブランドを通し、“私たちの好き”をカタチにするプロジェクトです。

twitter:https://twitter.com/Mspearl_Kyoto
instagram:https://www.instagram.com/mspearlkyoto/

昨年の学園祭では開催できませんでしたが、今年度は「ザ・パールコンテスト」として開催予定だそう。春秋座でのコンテスト、盛り上がること間違いなしです。

学園祭お化け屋敷プロジェクト

学園祭の大人気企画である「学園祭お化け屋敷」の企画・立案のプロセスを学ぶことが出来るプロジェクトです。「人はなぜ怖いものに惹かれるのか」「本当の恐怖とは何か」をホラー映画やWebなどを使ったグループワークで学びながら、企画の「軸」となるストーリーを作り、お化け屋敷内の部屋の場面設定や内装を企画することができます。

twitter:https://twitter.com/KUA_obakePJ
instagam:https://www.instagram.com/kua_obakepj/

昨年のテーマは「理想鏡」。恐ろしくも美しい鏡をモチーフにしたホラーエンターテイメントを瓜生山キャンパスの一番奥、有終館を舞台に繰り広げました。学園祭は残念ながら瓜生山学園生限定となりましたが、その反響は大きく、怖さのあまり入り口でリタイアしたという参加者も。

 

 

TEDxKUA(新規)

TED(Technology, Entertainment ,Design)とは、1986年カリフォルニアのモントレーでスタートしたカンファレンスです。その空気感や体験を地元や各土地でも開催したいということで始まったのがTEDx(テッドエックス、テデックス)です。今回私たちが開催するTEDxKUA(TEDに申請中)では、学園関係者(在校生、卒業生、教職員など)からスピーカーを選定し、芸術で平和を希求する大学らしいアイデアを世界に発信します。

twitter:https://twitter.com/TEDxKUA_2022
instagram:https://www.instagram.com/tedxkua_2022/

 

説明会の最後に「Q&A」でも解説していましたが、複数のプロジェクトへの同時参加はできませんのでご注意ください。


どれか一つと言われても迷ってしまいますが、広く浅くではなく、きっちりと深く参加していただくことが自身の学びとしても重要ですし、所属する学科コースの学業とも両立できなければ意味がありません。

在学生の参加申し込み締切は「3/24(木)13時まで」とかなり短いのですが、じっくりと検討の上、参加いただければと思います。新入生向けの説明会は、別途「4/6(水)18時」より開催予定です。ぜひご参加ください。

 

社会実装プロジェクト 特設サイト
https://www.kyoto-art.ac.jp/project-2022/

 

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    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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