REPORT2021.12.30

京都

華やかな看板で新年をお出迎え!― 京都・南座「一文字看板」制作プロジェクト

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  • 京都芸術大学 広報課

京都市東山区にある劇場「南座」は、歌舞伎発祥の地に建ち、400年の歴史と伝統を受け継ぐ松竹が経営する劇場。その入り口正面に掲げられる「一文字看板(いちもんじかんばん)」を本学の学生が制作し、12/24(金)に設置されました。


本学では、産学連携プロジェクト(PBL型授業)の一環として、2018年より南座正面の一文字看板制作プロジェクトを実施。看板制作に携わる職人の減少を受けて、伝統技術の保存・継承を目的としてスタートしました。プロの看板制作者でもなかなか味わえないこの看板制作は、学生たちにとって貴重な経験となっています。

南座から今回の看板のコンセプトについてお話を伺い、各班でデザイン案をブラッシュアップしていきます。
南座へのプレゼンは緊張!短い期間でしたが、各班見事なデザインを発表できました。


看板のサイズは、幅10.3m、高さ1.5m という巨大なもの。
「ニッポン画」を提唱する日本画家で、本学美術工芸学科の山本太郎教員の指導のもと、総勢28名の学生が約2か月半をかけて仕上げました(制作期間:10月中旬~12月下旬)。

最初は苦戦していた色づくり。
日を重ねるごとに思い通りの色を出せるようになっていきました。
お揃いのTシャツは、南座のシンボルでもある大提灯と役者絵がモチーフとなっています。

 

八作目となる本作では、2022年1月2日(日)から南座で始まる「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」の一文字看板を制作。同公演は南座おなじみのお正月公演で、毎年新年に泣き笑いの人情喜劇を届けています。


新春を彩る公演ですが、ただ華やかな看板を制作すればいいというわけではありません。京都市には、古都の景観を守るため看板の大きさや色を規制するための条例が定められており、屋外看板設置の際は条例に沿って制作する必要があります。

学生は「京都市屋外広告物等に関する条例」について、京都市都市計画局 都市景観部 広告景観づくり推進課の指導によって、景観の在り方や看板掲出のガイドラインの指導を学び、周囲の景観や歴史ある劇場と調和する看板になるよう、色合いには特に工夫を施しました。

掲出された看板はご覧の通り、新春の華やかさを色鮮やかに表現しながらも彩度が抑えられており、景観への配慮が伺えます。


担当の山本太郎教員によれば、淡いパステルカラーを使った今回のデザイン案に驚きながらも「その作戦があったか」と感心したそう。

「パステルカラーは今年の大きな特徴ですね。お正月なので、淡い色を使うのは意外に思われるかもしれませんが、うまい作戦だなと。
京都市の景観条例では、この看板サイズだと基準値を超える鮮やかさの色は面積のうち30%以内に抑えなければなりません。でもパステルカラーなら、華やかなのに彩度はそれほど高くないので、けっこう広い範囲で使えるんです。
パステル調でまとめていくことで、景観条例もうまく基準値以内に抑えられるし、こういう手があったのかと。学生たち、今回は違う方向から攻めてきたなと思いました」。


制作に携わった学生にこだわりのポイントを伺ったところ、パステルカラーを基調としながらも華やかさを表すために、タイトルを「金色」にしたところだそう。

「こだわりは、お正月の華やかさを金色で表現したところです。タイトル文字を金色にし、文字の縁の色を深い赤色にすることで、南座正面の扉の色と合うように配色にこだわりました。
すごく苦戦したのは色づくり。タイトルの縁の赤色も、茶色を足したり青色を足したりして作っていくのですが、パソコンでデザインした実際のデータの色に近づけていく作業がアナログ的な手段でとても難しくて。配分量を検討したり、完成までにどのくらいの量が必要なのかを考えたり。色づくりだけで制作の半分くらいの期間がかかったと思います」。


実際に設置された一文字看板を見た学生たちは、興奮気味にその感動を語ってくれました。

「デザイン案を作るとき、フォトショップで南座と看板を合成して検討していたので、その状態でなんとなくの完成図は見ていました。でも実際に見て、ちゃんとしっかり南座とマッチできたことに安心しましたし、本当にできたんだなと実感が湧いて感動しました」。


なかには看板を「我が子のように感じます」と話す学生も。もともと大学に入学する前から南座の建物が大好きで、プロジェクトへの申し込みの際、その愛を長文で綴り提出したほどだそう。念願叶っての参加となりました。

「我が子が自分の大好きな素敵な建物にかかっているっていうのが、すごくうれしくて。制作当番の日じゃないときもずっといる、看板に張り付いているような状態で制作に取り組みました。デザインの段階から卵をかえらせたような感覚なんです。
看板とずっと一緒にいたので見慣れすぎて、我が子とか、自分の顔を見ているような、まるで鏡を見ているような感じです。それだけにこうして南座に掲げられたのを見て、すごく嬉しかったです」。

 

看板は「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」の千秋楽、1月10日(月)まで設置されています。短い期間ですが、お近くにお越しの際は、そのダイナミックな看板をぜひご覧ください。ちなみに夜になるとご覧のように、また違った表情を見せてくれます。

初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演

日程 2022年1月2日(日)~1月10日(月)
場所 南座
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/minamiza_2201/

 

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