日本の学校教育の年度は4月に始まり3月に終わる。4月始まりの年度は、日本の国家予算などに関連して多くの業界で定められている。年度というのは、会計など事務作業を目的としたものが中心で、多くは政府機関や業界団体などによって決定されている。会計の年度は会計年度と呼ばれる。瓜生山学園の年度は、学校年度である。カンボジア、ギニアなどでは学校年度が10月に、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、中国など多くの国では9月に、韓国、ペルーでは3月に、ウガンダ、モザンビークなどでは2月に、スリランカ、バングラデシュなどでは1月に、それぞれ学校年度が始まる。
学校年度に応じて卒業式の時期も異なる。イギリスでは7月の卒業式でいっせいに帽子を投げる。アメリカ合衆国の大学の卒業式は日本とずいぶん異なっている。参列者も日本だと保護者はフォーマルウェア必須で、黒か紺という暗黙のルールがあるようだが、アメリカでは、シャツやワンピースなどの普段着OKというカジュアルな卒業式で、式はぶっつけ本番、後は友人や家族とお祝いというのがアメリカ流である。
卒業奏弾き終へて身を正しうす 山口誓子
2020年度の瓜生山学園の卒業式は、2021年2月28日（日）の京都芸術大学附属高等学校卒業式から始まった。続いて3月7日（日）には京都芸術デザイン専門学校と京都文化日本語学校の卒業式、3月13日（土）に、京都芸術大学卒業式が午前中に2回に分けて行われ、午後には通信教育課程の卒業式である。さらに、3月27日（土）に認定保育園こども芸術大学の卒園式である。
卒業式は人生の記念となる行事で、それぞれに記念写真を撮ったり家族との思い出を演出したりすることが多く、何とかして実施するように感染症対策本部と相談しながら、教職員が工夫している。会場の設営も毎年とは異なるものものしい設営である。式典の進行にも工夫があり、準備がたいへんである。幸いなことに、瓜生山学園では、京都芸術劇場での行事や大学の卒業展、東京都美術館での選抜展と、多くの経験を重ねてきたこともあって、感染症対策が抜かりなく行われている。
京都芸術大学附属高等学校は2019年に開設された通信制の高等学校で、2020年度卒業生は31名であった。その祝辞では選挙権の大切さを私は強調した。立法、司法、行政の三権分立の基本を大切にする国と必ずしも言えない社会状況をしっかり自分の目で見て投票してほしいと述べた。
私も8年間学長をつとめたが、この3月で卒業することになる。この瓜生山歳時記も、高橋保世さんの美しい写真とともに、多くの方々に読んでいただき、深く感謝しつつ幕を閉じる。
瓜生山より京都盆地の春霞 和夫
（文：尾池和夫、撮影：高橋保世）
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尾池 和夫Kazuo Oike
1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島（岩波科学ライブラリー）、日本列島の巨大地震（岩波科学ライブラリー）、変動帯の文化（京都大学学術出版会）、日本のジオパーク（ナカニシヤ出版）、四季の地球科学（岩波新書）、句集に、大地（角川）、瓢鮎図（角川）などがある。
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高橋 保世Yasuyo Takahashi
1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。