COLUMN2020.01.25

望天館で見る冬満月―瓜生山歳時記#41

edited by
  • 尾池和夫
  • 高橋 保世

(メインビジュアル:新しい望天館の屋上から眺める月)

 月は四季それぞれの趣があるが、秋にきわまるので月といえば秋の月、旧暦八月初めのころの月をいう。その他の季節の月も季語であるが、春の月、夏の月、冬の月と詠む。冬の月の傍題には、寒月、冬満月、冬三日月などがある。冬の澄みわたった空に磨ぎ澄まされたように輝く月である。

 2020年の節気では、小寒の入りが1月6日の6時30分、大寒の入りが1月20日23時55分、そして立春が2月04日18時03分である。また、1月11日土曜日4時21分に満月を迎える。
 アメリカの先住民は、季節を把握するための智恵を持っており、それぞれの月の満月に名前がある。1月の満月は、狼の満月である。真冬の食糧不足を嘆いて、飢えた狼が遠吠えする。

 2020年の旧正月は、1月25日土曜日である。中国のもっとも長い春節の連休期間は2020年では1月24日から1月30日までとなる。3日間(1月25日~27日)だけが休日に制定されていて、旧暦の大晦日と三が日を含んで7連休になる。春節には4000年以上の歴史があり、大晦日には家族そろって食事をし、絵や対聯を赤い紙に書き、門や入り口の框に貼る。餃子と餅などの食べ物が食卓に並ぶ。街では爆竹が鳴り、龍と獅の踊りが見られる。

 2020年の干支は庚子(かのえね)である。庚子が表す意味は、新たな芽吹きと繁栄の始まりで、新しいことを始めると上手くいく、つまり大吉である。干支は、未来に起こることを知るための要素である。東洋の思想では未来は既に決まっている。西洋では時が過去から未来へ流れ、東洋では時は未来から過去へ流れる。西洋の占いは未来を良くするために今何をすべきかを問い、東洋の占いは定められた未来を知ってそれに備えるためのものである。

 

寒月の山を離れてすぐ高し  永方裕子

 

 瓜生山学園の「藝術立国之碑」には、宇宙のこと、地球のこと、命のことが書いてある。それを考えるとき、現在の太陽と月と地球のことを知っておくことが重要である。地球が太陽に最も近い近日点に来るのは毎年1月上旬である。近いのに1月は寒い。地球の公転軌道の離心率は0.0167だから、近日点距離は遠日点距離より3.3%短い。季節による寒暖差は、23.4度という地軸の傾きから生まれる。

 望天館の横に立って空にかかる冬満月を見ながら、そんな宇宙のことを考えてみるのも、また面白いかも知れない。

 

山河襟帯朱鷺色に明け冬の月     和夫

 

澄み切った空に輝く月。
瓜生山キャンパスにある吉田松陰像とともに。

(文:尾池和夫、撮影:高橋保世)

  • 尾池和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。

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