COLUMN2019.01.25

京都歴史舞台

十日ゑびすと南座の看板制作 ―瓜生山歳時記#29

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  • 尾池和夫
  • 高橋 保世

 新年になって最初の戎祭のことである。商売繁盛の神として信仰を集める大阪の今宮戎神社、京都の恵美須神社、兵庫のえびす宮総本社・西宮神社が知られる。

 京都の恵美須神社では、1月8日招福祭、9日宵ゑびす祭、10日初ゑびすで東映女優の奉仕による福笹の授与、11日残り福祭、舞妓さんによる福笹と福餅の授与、12日撤福祭という日程である。
 宝恵かご社参では、東映の女優がかごに乗り、「商売繁昌でささもってこい」のかけ声勇ましく、太秦の映画村より神社へ参拝する。
 縁起物の大宝、福俵、福箕、福熊手、福鯛、宝船、宝来、御札、御守り、福銭、小判が授与され、神楽殿では終日、神楽の奉納があり、残り福祭では、舞妓さんの奉仕により福笹を受けた人に福餅が授与される。

 

初戎曲れば四条通の灯   辻田克巳

 

 京都の恵美須神社への参道には、四条から南へ屋台がならぶ。四条通の西の端は松尾大社の本殿、東の端は祇園の石段下までである。四条大橋西詰には、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計で1926年竣工の東華菜館がある。登録有形文化財で、エレベータは1924年OTIS製で、日本に現存する最古のエレベータである。この東華菜館では、伝統を守る北京料理を楽しむ。

 四条大橋東詰の南座では、2019年正月に行われる2つの新開場記念公演に合わせて、京都造形芸術大学の学生たちが、劇場正面に掲げる看板を制作した。南座では公演中の演目の看板を正面に掲げる伝統があるが、近年、看板制作に携わる職人が減少しており、技術を継承しようと、本学が今年から協力した。縦約1m、横約10mの「初笑い! 松竹新喜劇新春お年玉公演」(1月1~8日)、「喜劇有頂天団地」(12~27日)の看板である。学生27人が、耐震工事中の南座を見学し、京都市屋外広告物条例を学習し、デザインを考案してとり組んだ。
 その南座の大きな看板の下を、福笹を担ぐ人たちが歩いて行くのが、2019年の京都の正月風景となった。

 

四条にて日付の変はる残り福  和夫

 

京都ゑびす神社(京都市東山区)の十日戎には多くの人が参拝に訪れた。
左から)神職 古川信雄氏、京都造形芸術大学 尾池和夫学長、京都ゑびす神社 中川久公宮司
「家運隆昌」「商売繁盛」の象徴である福笹をさずかる。
福鯛や福俵などの縁起物をさずかる。
昨年12月27日(木)『初笑い!松竹新喜劇新春お年玉公演』(2019年1月1日~8日公演)の看板が設置。制作に携わった学生が見守る中作業は進んだ。

南座に1月9日(水)に設置された『喜劇 有頂天団地』(1月12日~27日公演)の看板。京都造形芸術大学の学生が、美術工芸学科の山本太郎准教授の指導のもと2枚の看板を制作。学生が演目の看板を手掛けるのは初の試み。(本公演は1月27日まで)

京都ゑびす神社(京都 恵美須神社)

京都ゑびす神社は西宮・大阪今宮神社と並んで日本三大ゑびすと称され、「えべっさん」の名で親しまれている。「十日ゑびす大祭」には毎年多くの人が参拝に訪れる。

住所 京都市東山区大和大路通四条下ル 小松町125
電話番号 075-525-0005
受付時間 9:00〜17:00

http://www.kyoto-ebisu.jp/index.html

[文:尾池和夫・写真:高橋保世]

  • 尾池和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都造形芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。

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