COLUMN2018.12.25

京都アート

京造イルミネーションとクリスマスの季節― 瓜生山歳時記 #28 

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  • 尾池 和夫
  • 高橋 保世

 毎年12月に入ると街中のさまざまな場所にクリスマスツリーが飾られ、年末の雰囲気が漂う。クリスマスツリーだけではなく、さまざまなイルミネーションが夕方から夜中まで街を彩り、多くの人たちが寒さを忘れて歩く。


 クリスマスというと雪の降る北国の景色を想像していたが、それは思い込みであったようで、日本列島南端の沖縄でも冬になればイルミネーションがあちらこちらに登場する。沖縄本島で数か所も見られるという。スターダストファンタジアは、名護市にある「カヌチャベイリゾート」の広大な敷地の中で始まる。また、いかにも沖縄らしい「琉球ランタンフェスティバル」が、琉球王朝時代の街並みを再現した読谷村「むら咲むら」で開催される。こちらは敷地内に3000個以上の中華ランタンや和紙灯篭、オブジェにあかりが灯される。


 晩冬の季語であるクリスマスの傍題には、降誕祭、聖樹、聖夜、聖夜劇、聖菓、サンタクロースがあり、聖書や賛美歌を題材に台本が書かれて、子供たちの演じる聖書劇があり、クリスマスイヴにはサンタクロースが訪れて靴下にプレゼントを入れてくれる。

 

クリスマス羊の役をもらひたる  西村和子

 

 大学でもクリスマスの飾りとともに年末の雰囲気が満ちてきて12月25日を過ぎると急にキャンパスが静かになる。学年によって冬休みの過ごし方が異なるが、学生たちはキャンパスからいなくなる。卒業をひかえた4年生はそれでも黙々と作品にとり組んでいることも多い。

 

 京の師走の風物詩は、11月、南座に「まねき」があがり顔見世興行があるが、今年は特別で11月1日が初日で賑わった。12月13日は「正月事始め」、植物園などのイルミネーションも知られているが、それに京造イルミネーションが華やかに加わる。2018年のタイトル「WAGARA~変わらない街KYOTO~」で、変化しないものの大切さをコンセプトに「日本の和」を和柄や和紙を使って表現した。大階段に広がる灯篭や天井に吊るされるランプシェード一つひとつに願いが込められて、日本の和の魅力を取り入れた、京都の芸大生ならではの冬のイルミネーションとなった。

 

女子寮へ花束抱へクリスマス     和夫

大階段だけでなく、階段上のピロティ部分にもイルミネーションが灯る。
京造イルミネーションの点灯式では、「うたぶ」によるパフォーマンスが披露された。
心も体もあたたまるよう、ココアと大判焼きが振る舞われた。

 

京造イルミネーションプロジェクト参加学生

 

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  • 尾池 和夫Kazuo Oike

    1940年東京で生まれ高知で育った。1963年京都大学理学部地球物理学科卒業後、京都大学防災研究所助手、助教授を経て88年理学部教授。理学研究科長、副学長を歴任、2003年12月から2008年9月まで第24代京都大学総長、2009年から2013年まで国際高等研究所所長を勤めた。2008年から2018年3月まで日本ジオパーク委員会委員長。2013年4月から京都造形芸術大学学長。2020年4月大学の名称変更により京都芸術大学学長。著書に、新版活動期に入った地震列島(岩波科学ライブラリー)、日本列島の巨大地震(岩波科学ライブラリー)、変動帯の文化(京都大学学術出版会)、日本のジオパーク(ナカニシヤ出版)、四季の地球科学(岩波新書)、句集に、大地(角川)、瓢鮎図(角川)などがある。

  • 高橋 保世Yasuyo Takahashi

    1996年山口県生まれ。2018年京都造形芸術大学美術工芸学科 現代美術・写真コース卒業後、京都芸術大学臨時職員として勤務。その傍らフリーカメラマンとして活動中。

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