INTERVIEW2023.02.07

文芸

余白をデザインする。京都芸術大学附属高等学校から京都芸術大学への歩み ― 文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信

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  • 京都芸術大学 広報課

京都芸術大学 文芸表現学科 社会実装科目「文芸と社会Ⅱ」は、学生が視て経験した活動や作品をWebマガジン「瓜生通信」に大学広報記事として執筆するエディター・ライターの授業です。

本授業を受講した学生による記事を「文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信」と題し、みなさまにお届けします。

(取材·文:文芸表現学科 2年 鍛治美月)


京都芸術大学の白川通りの南に、京都芸術大学附属高等学校があるのはご存知でしょうか。芸術大学の附属高校ではありますが、通信制普通科の高校であり、2019年4月に開校したまだ新しい学校です。
今回は、京都芸術大学附属高等学校1期生であり、京都芸術大学美術工芸学科に入学した中村心音さんにお話をうかがいました。附属高校での学びが現在にどう繋がっているのかを紐ときます。

 

京都芸術大学

 

自分に合った通信制高校

― 京都芸術大学附属高等学校へ転入した理由は?

京都芸術大学附属高等学校には1年生の7月に転入しました。その前は、進学校と言われている大学に進学するための全日制の高校に通っていて。一日の半分以上を進学するための勉強に使うことに疑問を持っていました。進学校に通う前から通信制の高校には興味を持っていましたが、当時はまだ通信制って何か問題があって、勉強ができない人が行くところという風潮が強くて。流れるように進学校に進んで。でも、勉強できることだけがすべてではない。就職するときに、どこの大学を出たかで善し悪しが決まってしまう。そういう世界だけじゃないのでは?と窮屈さを感じていました。通学に1時間かかったり、課題が山積みだったりと時間の余白も少なかったです。

海外の高校や専門学校、通信制の高校などいろいろ調べているときに京都芸術大学附属高等学校を見つけました。先生方や学校の雰囲気を実際に見て、京都芸術大学の施設を使えることを知って。高校が開設されたばかりという勢いも感じましたね。学校説明会で授業を受けて、内容もそうですが、授業終わりの質問に付き合ってくれる姿勢に「なぜ?」と向き合うことを大切にしているところだと感じて。加えて、誰かのカリキュラムではなく、自分らしさや自分に合った生活を求める自分と一致したので転入を決めました。

京都芸術大学附属高等学校

 

通信制だからこそ生まれた余白の埋め方

― 通信制だからこその時間の使い方は?

週に3回の高校への登校だったので、時間の余白はかなりありました。余白があるからこそできた学外での活動もあって。三条にある東山いきいき市民活動センターで映像の勉強会のような軽いコミュニティによく参加していました。他にも週に1回、学童を運営する会社が主催している、大学生と社会問題について考える場所でひとつのテーマを取り上げて話し合うこともしました。

余白があるからこそ、逆に何もしないとただの 空白の時間にしかならないこともあったので、とにかく外の世界ってどうなっているのだろうと思って。先生にどういう座談会や講演会がありますかと自分から聞きに行きましたね。そこから自然に自主性が培われて、視野が広がったと思います。
 

コミュニケーションから繋げる高校

― どのようなことを大事にしている高校でしたか?

高校では、コミュニケーションやディスカッションを行う機会が多くありました。ただの数学の授業でも生徒同士で教え合う場面が多くあったり、総合の授業ではそもそもコミュニケーションって何だろうというところから話したり。週に3回の登校のなかでも人と話し、関わる、そのうえで自分ってどんな人間なんだろうという考えを促してくれる場でした。
コミュニケーションが苦手な生徒も中にはいました。でも、一緒にいるクラスメイトや先生ができないなりに、苦手なりにその人のことを尊重しようという気遣いや間の配慮を感じました。同好会やサークルは完全に生徒が作ろうと動かないと生まれないものなので、そういった点でも、学校側が提供するコミュニケーションという場と生徒側がつくるコミュニケーションの場がありました。無理やりコミュニケーションをさせるわけではなく、生徒の自主性も大事にされていたと感じますね。

 

プロフェッショナル科目で大学の学びを体験!

― プロフェッショナル科目とは?

京都芸術大学の学科の先生や京都芸術デザイン専門学校の先生が高校に来てくださり授業をしてくれるのですが、私は情報デザイン学科の授業が印象に残っています。授業ではタイポグラフィの入門を学びました。町で普段目にしている文字に注目した授業で、授業を通すとより文字を見たくなり、授業後には自分の中で 変化が大きくあって。いろいろなフォントを授業内で扱ったのですが、Gill Sansというフォントが住んでいるマンションの階数の数字表記に使われていたことに授業帰りに気がついて、「Gill Sansだ!」ってなりました。

プロフェッショナル科目のレポート

 

一足早く大学の学び

― 大学との関りから得たものは?

プロフェッショナル科目もそうですが、先取りしようと思えばできる環境にありました。イラストレーターというアプリを使ってみて、日常でパンフレットを作れるようにもなって。そのときにプロフェッショナル科目で知ったGill Sansを使ってみようかなと視点の広がりから自主性がさらに上がりました。

中村心音さんが高校時代に作成された母親が店長を務める花屋のパンフレットとロゴマーク Ⓒ中村心音

 

高校生のときも半分大学生のよう

― 京都芸術大学へ入学した理由は?

高校時代は、自分からなにか得ようと時間の余白を自主的に使っていたこともあり、大学でもある程度時間の余白がほしいと思っていました。 そのため、環境を変えると新しい環境に適応することに時間がかかる と思ったので、似たような環境に進学したいと思ったことが京都芸術大学に進学したいと 考えた大きなきっかけです。

高校時代、大学の雰囲気を見ていたので、ここなら安心して4年間いられるなと感じられたということもありますね。大学への出入りもしやすく、大学の図書館もよく利用していたので、安心感はありました。
大学生になったときも、高校生から急に大学生になったという感じはあまりせず、高校生のときも半分大学生のような感じでした。だから、大学生になっても高校でやってきた個人での活動も変わらないし、地続きのように思えます。

中村心音さんが大学の授業で制作されたオリジナル家紋作品 Ⓒ中村心音
中村心音さんが知り合いのカフェ店主に頼まれ大学施設内のレーザーカッターを使用し制作した作品 Ⓒ中村心音

 

現在の活動

― 美術工芸学科 基礎美術コースへの決め手は?

もともと京都に興味がありました。きっかけは高校時代に京都で過ごしていたときに、時間の余白をどう使おうとなって。京都をいろいろと見てまわっていたとき先生に京都に関するコミュニティを教えてもらったことからですね。そこで、伝統工芸にも伝統を守りながら新しくしていくことや新しい社会に合わせていかなければいけないことを知って、そのパワフルさが好きで決めました。
普段は、京都の伝統技術や文化、工芸を幅広く学んでいます。授業では、花器をつくりました。お花を選んで 生けるところまで行う授業で、お花を器に入れることでどうなるのか、空間との関係性をみる授業でした。

中村心音さんが制作された花器 Ⓒ中村心音
中村心音さんが制作された器の作品 Ⓒ中村心音

 

広がりを活かす

― これからやりたいことは?

高校時代から幅を広げようと思って今まで歩んできた分、視野も広がったと思います。伝統工芸をやっていれば、デザインや写真とかいろいろやっていることがあります。今は、母が花屋をしていることもあるので、花瓶をつくってみたいと思っています。
日本の文化や伝統が受け継がれてきたものを大事にしつつ、つくることもしていきたいです。

中村心音

2004年生まれ。京都芸術大学附属高等学校を卒業後、京都芸術大学美術工芸学科に入学。
グラフィックデザインや写真、母親が花屋を始めたことから花束・アレジメント制作も習得した。
2022年、既存のシステムで動くことを批判することで見つめ直し、自ら枠組みを切り開いていくことを目的としたコレクティブ『collective MIZ』を学科・学年を超えた4人で立ち上げる。

鍛治美月

2002年兵庫県生まれ。京都芸術大学文芸表現学科2021年度入学。
脚本を勉強中。
特技は早寝早起き。

■京都芸術大学附属高等学校https://shs.kyoto-art.ac.jp/

■京都芸術大学https://www.kyoto-art.ac.jp/

 

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