京都市東山区にある劇場「南座」は、歌舞伎発祥の地に建ち、400年の歴史と伝統を受け継ぐ松竹が経営する劇場。その入り口正面に掲げられる「一文字看板(いちもんじかんばん)」を本学の学生が制作し、7/7(木)に設置されました。
本学では、産学連携プロジェクト(PBL型授業)の一環として、2018年より南座正面の一文字看板制作プロジェクトを実施。看板制作に携わる職人の減少を受けて、伝統技術の保存・継承を目的としてスタートしました。プロの看板制作者でもなかなか味わえないこの看板制作は、学生たちにとって貴重な経験となっています。
看板のサイズは、幅10.3m、高さ1.45m という巨大なもの。
本学芸術教養センター教授の丸井栄二先生と非常勤講師の藤部恭代先生の指導のもと、総勢27名の学生が約2か月半をかけて仕上げました(制作期間:5月中旬~7月上旬)。
八作目となる本作では、2022年7月9日(土)から南座で始まる「OSK日本歌劇団創立100周年記念公演 レビュー in Kyoto」の一文字看板を制作。看板を張り合わせると見えなくなる部分まで色を塗るなど、細部を丁寧に仕上げています。
同劇団の100周年を彩る公演ですが、ただ華やかな看板を制作すればいいというわけではありません。京都市には、古都の景観を守るため看板の大きさや色を規制するための条例が定められており、屋外看板設置の際は条例に沿って制作する必要があります。
学生は「京都市屋外広告物等に関する条例」について、京都市都市計画局 都市景観部 広告景観づくり推進課の指導によって、景観の在り方や看板掲出のガイドラインの指導を学び、周囲の景観や歴史ある劇場と調和する看板になるよう、色合いには特に工夫を施しました。
掲出された看板はご覧の通り、「OSK日本歌劇団」の華やかさを色鮮やかに表現しながらも彩度が抑えられており、景観への配慮が伺えます。
制作に携わった学生にこだわりのポイントを伺ったところ、看板の主たるデザインとなっている「桜流水」に注目してほしいと話します。
「桜流水の文様は“物事のはじまりが絶えない=おめでたいことが続く”という意味があるそうです。今回の公演は、OSK日本歌劇団の創立100周年を記念する大切な節目でもあったので、そのお祝いの気持ちも込めて桜流水を取り入れました。桜はOSK日本歌劇団のトレードマークでもあるようで、さまざまな意味を込めることができました」。
実際に設置された一文字看板を見た学生たちは、興奮気味にその感動を語ってくれました。
「こうやって無事に掲出できて、とにかくめっちゃ嬉しいです!公演日に様子を見に来たのですが、お客様やOSK日本歌劇団のファンの方、通りすがりの方々まで本当にたくさんの人が看板の写真を撮影されていました。SNSでもOSK日本歌劇団のファンの方がシェアしてくださったりと、みなさんに注目していただいていることが嬉しいです」。
指導教員の丸井栄二先生は、今回の南座看板製作プロジェクトを以下のように振り返ります。
「今年度から本プロジェクトの担当になり、分からないことだらけでしたが、グラデーションはとても難しいことだけは理解していました。技術担当の藤部先生の指導の元、メンバーが何度もやり直しながら今の状態までもってくることができました。デザインはOSK日本歌劇団や南座の歴史、さらには100年前の日本を意識したものなど5案を提出し、今のデザインが採用されましたが、南座様から“どれも良くて困りました”とコメントをいただき、凄いメンバー達とプロジェクトができていること誇りに感じました。制作の最終段階では文字の細部や色ムラなどをチェックし、梱包の1時間前まで作業、メンバーの看板に対するこだわりを感じました。最高のメンバーです」。
看板はOSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」の千秋楽、7月18日(月・祝)まで設置されています。短い期間ですが、お近くにお越しの際は、そのダイナミックな看板をぜひご覧ください。ちなみに夜になるとご覧のように、また違った表情を見せてくれます。
OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」
日程 | 2022年7月7日(木)~7月18日(月・祝) |
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場所 | 南座 |
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