寒さがつづく1月の下旬。
大学のカフェエリアには、なにやら準備をしている学生と、何かが始まるのを待つ学生の姿がありました。
そんな寒ささえも忘れてしまうほどの人だかりができ、ワクワクした話し声とともに、学生会による「フリマ企画」が開催されました。

学生会とは、通学課程の学生全員から構成されており、学生同士の意見交換や、より良い学校生活のためにさまざまな活動を行っている組織です。
そんな学生会は、役員の方々が中心となり運営されていて、新入生歓迎会や学園祭、そして今回のフリマ企画など、さまざまなイベントを企画し開催に導いています。
本記事では、「フリマ企画」の様子から、開催までの道のり、イベントに対する想いなど、普段、知り得ない学生会の裏側をお届けしたいと思います。
切符を受け取り、いざフリマへ


開始時間の18時を迎えると、多くの人が「切符」を受け取り、さまざまな行き先へ向かっていきました。

今回のフリマ企画のコンセプトは「電車旅」。
駅のホームでよく見かける駅名が書かれた看板をモチーフに、「学園祭」「布」「材料」など、いくつもの駅を模したスペースができていました。このフリマ企画では、使わなくなった学生会の資材や学園祭で余ってしまった材料などと巡り合うことができます。
文具から、木の角材、カイロに提灯、なんと絵本まで。そのほかにも、ジャンルも用途もさまざまな物が、所狭しと並んでいました。




会場を見渡すと、手になにかを持っている学生の姿が増え始めてきます。「どんなことに使うのですか?」と尋ねてみると、「作品制作に使いたくて」という声が多く聞こえてきました。しかし、作品制作と一口に言っても、作りたいもの、生まれてくるものは人それぞれ違います。だからこそ、人によって巡り合いを感じるものが異なり、さまざまなものが原石として学生の元へと渡っていきます。その光景を見ていると、芸術の面白さや可能性に改めて気づくことができました。



実は、入場のときに受け取った「切符」にも、使い道を書き込める欄があり、それを書いて掲示板に切符を貼り退場するという工夫がなされていました。作品制作以外の使い道もたくさん。使い道の欄に書き込まれた字はどこか楽しそうで、見ているだけで頬が緩みます。





アトラクション性があるフリマ企画
数年前から開催されているというフリマ企画。去年は「宝島」をコンセプトにおこなわれ、今年は「電車旅」。このフリマ企画というのは、新春企画とともに、学生会役員の世代交代としても機能していて、今回フリマ企画の立ち上げや運営に携わっていたのは、次期役員の候補生である池本伶衣さん(こども芸術学科|1年生)、二本柳花音さん(情報デザイン学科|1年生)、藤本朋花さん(舞台芸術学科|1年生)。企画立ち上げの背景や、開催までの道のりをお聞きしました。

「回す」という発想から生まれたコンセプト
今回のフリマ企画のコンセプトを発案した二本柳さん。いったいどんな想いがあったのでしょうか。企画の出発点には、学生会が保有する資材や備品を、次の学生へとつないでいきたいという思いがありました。
二本柳さんは、その思いを「回す」という言葉に置き換え、企画全体のイメージを膨らませていったといいます。

二本柳さん「学生会の資源・資材を、学生のみなさんに還元していくイメージがまずありました。そこから『回す』という言葉をきっかけに考えたとき、電車や山手線のように、ぐるぐると回っているイメージがパッと浮かんだんです」
昨年の「宝島」という企画では、資材と出会う体験が印象的でした。その巡る楽しさをさらに発展させる形として、「電車旅」という、設定が選ばれました。

二本柳さん「ただ、電車だけだと、面白い要素には欠けるかなと思ったので、途中下車していろいろな資材を、巡り歩くイメージでコンセプトを考えました」
資材を探す行為そのものを、ひとつの体験として楽しんでもらう。
そんな狙いが、会場全体の仕掛けに反映されています。
切符に「使い道」の欄を設けた理由とは?

入場するときに受け取る切符には、「使い道」という欄が設けられていました。学科を問わず、さまざまな作品を制作する学生たちが、このフリマ企画には訪れます。そのため、資材や資源を学生につなぐだけでなく、なにかが残るフリマ企画にしたいという思いがありました。

藤本さん「去年のフリマ企画で先輩方が、使い道を書いてもらい、掲示板に貼ってもらうってことをされていて、その方法と駅をかけて何かできないかなと考えていました。そのときに、切符を持って回る青春18切符、手元に残る記念切符などの方法でなにかできないかなと思いました」
青春18きっぷや記念切符から着想を得たことで、
切符を持って会場内を回り、切符を掲示板に貼ってもらう流れや、「使い道」の欄を設けることを決めたと藤本さんは語ります。
そして「なにかを残したい」という思いは、三人とも共通していたと二本柳さんは言います。
二本柳さん「渡すだけで終わる企画ではなく、なにか残るものにしたい、そこはみんな意見が一致していました」
普通の切符は、目的地の駅に着くと回収されてしまいます。しかし、青春18切符や記念切符などの切符は、切符を通して新たな出会いや思い出を保管することができます。今回のフリマ企画でも、切符を通して多くの学生の「使い道」が掲示板に残されていました。
タイトなスケジュールでの支え合い
12月の後半に企画を立ち上げ、冬休みが入ったこともあり、コンセプトは年明けにオンライン会議を重ねながら決定しました。学業面でも忙しい時期だったようで、「大変だった」と顔を見合わせる三人。
池本さんは広報、二本柳さんはデザイン、藤本さんは備品のリストアップやゾーニングなどと、それぞれの役割を担いました。
しかし、企画を進めるためには、自分たちの力だけではできなかったと二本柳さんは語ります。

二本柳さん「私たちだけでなく、当日の運営や、備品のリストアップには、他の役員の候補生や、先輩方、そこはやっぱり周りの手を借りて、なんとか今日まで頑張れました。」
学業と両立をする忙しさ、そしてイベントの運営の難しさを抱えながら、今日まで走ってきた三人。でも、走ってきたのは三人だけではなく、伴走してくれた人が多く存在していました。ポスター制作をおこなった池本さんは、先輩からのアドバイスを受け、大切なことに気付いたと語ります。

池本さん「塗りの甘さや、画像サイズの違いなどについて、先輩からアドバイスをいただいて、色んな人に見てもらうものだからこそ、ちゃんと細かいところができてスタートラインだなっていうのに気付きました。」
誰かに届き、興味を抱いてもらい、イベントに足を運んでもらう。
イベントに足を運んでもらうまでのきっかけとして、ポスターは大きな役割を果たします。
先輩のアドバイスを元に、細部まで修正をおこなったことで、多くの人が会場に訪れることに繋がったのではないでしょうか。
藤本さんも、先輩とのエピソードとともに備品のリストアップに対する想いを語ってくれました。
藤本さん「リストアップのときには、これはこういう人が持っていってくれるんじゃないかな?などと考えながら、先輩たちに『これだしていいですか?』って聞いて作業をしていました。今日、実際にいろんな人に届いていくのを見て、リストアップしてよかったなと思いました。」
会場に並んだ数々の資源・資材。それらが多くの学生へと渡る背景には、支え合いの物語がありました。取材中に見せたお互いを褒め合う姿も印象的でした。支え合いながら開催へと向かったエピソードと相まってとても印象的でした。その想いやりがあったからこそ、今回のフリマ企画にてたくさんの学生が、資材との巡り合いを果たすことができたのではないでしょうか。

企画を立ち上げ、開催に向けて1から準備するというのは、簡単な道のりではありません。しかし、その過程を経験することで、大切な仲間や、新たなアイデア、そしていままで知らなかった新たな自分との出会い、さまざまな経験と巡り合うことができる期間でもあり、同時にワクワクをたくわえることができる期間でもあります。
今回のフリマ企画では、たくさんのワクワクが学生たちに届いていました。
きっとまた学生会のみなさんは、次のイベントに向けて新たなワクワクを準備されています。
今後の学生会のイベントも楽しみにしています!
(文=文芸表現学科3年 井野あまね)
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