現在、京都芸術大学の学内各所で、美術工芸学科 総合造形コースのヤノベケンジ先生のゼミによるグループ展『「歴史の終わり」と』が開催されています。昨年は、アーティストグループ「未発見ノ子供達」による『展覧会3.0「辺獄への遡行」』が、長らく閉ざされていたギャルリ・オーブで開催され、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・ウェブ・リアルなどの複数のメディアを用いて重層的な空間を出現させたその試みは、コロナ禍で変容を迫られている「展覧会」の形を問うものとして話題を集めました。その後、10月には『展覧会3.0 テレイグジスタンスと窓の外』が開催されました。
今年度は、人間館1階ラウンジや望天館、未来館、有終館を会場として、グループ展が開催されています。ゼミ生および修了生19名、18組の作品をご紹介いたします。
AR・VR・ウェブ・リアルを錯綜させる新しい展覧会の形 ― 「辺獄への遡行」展
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/682
喪われた時を変異させ、前へ。(前編)― 展覧会3.0「テレイグジスタンスと窓の外」undiscovered children
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/694
Statement
フランシス・フクヤマが唯一認めざるを得なかった「歴史の終わり」の真の弱点は、「科学が終らない限り、歴史も終わるはずはない」ことであった。
フクヤマは自著『歴史の終わり』において、弁証法的に発達してきたイデオロギー闘争が、自由民主主義の勝利によって幕を下ろし、単一のイデオロギーとその国家形態が国際社会を支配している状態を「歴史の終わり」と呼んだ。そこでは、誇り高く気概に満ち、認知と名誉を求めて闘う「最初の人間」は存在しない。
向精神薬のリタリンとプロザックは、それぞれ脳内のドーパミンとセロトニンの再取り込みを阻害することで、性差に制限されることなく常に誰もが平静を保つことを可能にした。超速的に発展を遂げた科学が、ニーチェ哲学における全てに満足しきった「最後の人間」の到来を告げる。
とりわけ日本の現代美術に顕著に見られるイデオロギーの欠如は、本展の作家たちにおいても例外ではない。サブカルチャーから換骨奪胎された紋切り型の「終末観」や「幸福観」が、リタリンやプロザックに代わってわれわれのイマジネーションを無化しつつあることを図らずも本展は示唆することになる。
戸田樹
人間館1階ラウンジ
奥山愛菜《終始した音(等身大)》sculpture
坂倉直慧《自閉》
佐藤華夏《Re:Yellow》
堤颯輝・堤響生《双子》
松田理沙《deity》
松山美優《#3 connection Aquaponics Table》
水野聡太《飛翔》
森本ひな子《誰も知らない街へ》
山田奈央《私の暮らす虚空(こ・くう)+SHELL》
吉本早倻香《春信》
有終館1階
戸田樹《Fragile2》
中井梓太郎《Fores》
吉田コム《Finders》
望天館1階・屋上
河上竜己《終末の母》
劉承恩《生命のリズム》
以下が、動画とVR空間です。
フローリングにアートを設置することで、空間の動線を切断し、新しい動線や機能性を作り出す試み。新しい空間を作るのではなく、既存の空間をリ・デザインし、古い記憶と新しい記憶を「1つのリズム」として重奏した作品だそう。
VR / Interactive 360°
https://s2hypzbjva2grqzssxkzqq-on.drv.tw/F-GARDEN-VR/
https://s2hypzbjva2grqzssxkzqq-on.drv.tw/F-GALLALY-VR/
R E M A 「以前、沈黙を運命づけられた人々は、誰も知らない夢想を―――それが唯一の生であっても―――物語ることができなかった。」
辻紗弥香《逸脱した軌跡》
未来館2階
大野裕和《The Lingering scent of vision》
(作品撮影:山神美琴、講評会撮影:広報課)
展覧会「歴史の終わり」と
日時 | 2021年10月5日(火)~12日(火)10時~18時(最終日17時まで) |
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場所 | 京都芸術大学 人間館1階ラウンジ、望天館1階・屋上、未来館2階F201教室、有終館1階 |
出展作家 | 大野裕和、奥山愛菜、河上竜己、坂倉直慧、佐藤華夏、辻紗弥香、堤颯輝・堤響生、戸田樹、中井梓太郎、松田理沙、松山美優、水野聡太、森本ひな子、山田奈央、吉本早倻香、吉田コム、R E M A 、劉承恩 |
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