葉月から長月へ
8月16日。瓜生山学園の盂蘭盆会(うらぼんえ)法要が三密を避け人数を制限して、学内の講堂で行われました。
その夜は、京都の風物詩五山の送り火の姿が、瓜生山学園内よりNHKのBSチャンネルで放映されました。翌日、ロケ現場の撤収の折に、撮影に参加した金魚をもらえる話が舞い込み、早速出かけてもらってきました。こども芸術大学の事務所前にお披露目しますと、それに気づいたこどもたちが「あっ、さかな!」と、目を見開き、喜々として泳ぐ様を見つめます。「えっ!?さかな…?確かに魚だけれど…」。私たちが、「金魚がね…」と伝えているうちに、“魚”から“金魚”へ呼び方が変わっていきました。今では園長の楽しみとなり、足を止める親子に「この子はね、金魚のいっちゃん」と名付けて、「じゃぁ、この子はなんていう名前をつけようか?」とおしゃべりをしています。
お地蔵様のお参り
禅法寺の住職様をお迎えして、バス停前のお地蔵様と園庭の観音様のお参りをしました。園の代表として5歳児と4歳児のこどもたちが、手を合わせてありがとうの気持ちを伝えました。お地蔵様の前掛けは、5歳児さんの手作りです。「こどもげいじゅつだいがく」の一文字ずつを子どもたちが書いて、それをパッチワークのように先生が縫った真っ白の前掛けに貼っていきました。お地蔵さまも“衣替え”をされて、いい気分でこの一年間を守ってくださることでしょう。
実りの秋
5歳児さんの田んぼの稲にお米の花が咲き、籾(もみ)もふっくらしてきて重みでたわんでいます。しかしながら、喜んでいるのは私たち人間だけではありません。そのにおいを嗅ぎつけて、虫たちの到来です。
「あっ!虫がいる」と、3ミリほどのちっちゃな虫を見つけて捕まえて、「これは、お米を食べる虫だ!」「去年のさくら組さんも言ってた!」と大騒ぎです。カラス対策は案山子を作って立てたものの…、その虫の対策をどうするのか…。その会議がこどもたちと先生で始まっています。
旬の味 サンマ
給食にサンマのかば焼きが出ました。こどもたちも今来ているインターンシップの学生さんも、旬の味を楽しんでほおばっています。と言いたいところですが、こどもたちは腹身のほろ苦さに顔をしかめていました。
瓜生山もサンマのにおいを嗅ぎつけて「食べたいなぁ」と羨んでいるでしょうか。蝉の鳴き声と秋の虫の鳴き声が一緒に聞こえてきます。夏から秋へと季節が移ろいでいきます。
追記: 毎月発行する園だよりに「瓜生山でこどもが笑う」と題して、園長の気づきや思いを綴っています。この文章は、9月号に掲載したものに加筆修正をしています。
京都芸術大学 Newsletter
京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。
-
鍋島 惠美Emi Nabeshima
1951年京都に生まれる。1974年京都教育大学幼児教育科卒業、西宮市立幼稚園に勤務。1976年神戸市立「聞こえとことばの教室」に勤務。言葉の発達に困りを抱えるこどもの治療保育に携わる。1979年京都教育大学附属幼稚園勤務。2003年京都教育大学大学院修了。泥だんご学会創設者・加用文男教授のもとで学ぶ。その間「ニューヨークこどものくに幼稚園」で研修する。2012年京都教育大学附属幼稚園定年退職。2014年縁あって、京都光華女子大学で保育者になりたい女子学生とともに学びあう。また臨床発達心理士として、京都市保育園連盟の巡回相談に携わる。2019年またまた縁あって、認可保育園こども芸術大学の園長になり、こどもたちと暮らしている。幼稚園で務めていたころから、実践記録をこどもたちと一緒に絵本にして遊んでいる。夢だった実践の絵本創りに、これまた縁あって旧京都造形芸術大学の卒業生の友達に絵を描いてもらい絵本を創る。『こえをかじったネズミ』ぶん:なべしま えみ、え: きんばら きみずき