在学生がTikTokで伝える「芸大生のリアルな姿」 — 学生がつくる大学案内『mymymy』のTikTok運営チームにインタビュー!
- 上村 裕香

ぽてっと手のひらに載るサイズがかわいい、学生が制作する大学パンフレット『mymymy』(STUDENT TODAY)。今年も配布がスタートしました。『mymymy』の企画から取材、撮影、デザインまでを手がけた制作メンバーである学生たちの奮闘は、こちらの記事でお伝えしました。
『mymymy』2025の誌面でも紹介されていた京都芸術大学公式TikTok、もう楽しんでいただけましたか?
実は、このTikTokアカウントも、本学の学生が企画から取材、撮影、編集、デザインまでをすべて担当し、運営しています。
今回の記事では、昨年度「『mymymy』TikTok運営チーム」として京都芸術大学公式TikTokの動画を企画・制作した森さん、古波蔵さん、竹國さんの3名にお話をうかがいました!
学生が運営する大学公式TikTok フォロワー1万人の仕掛け人たち
まずは実際にアカウントを見ていただきましょう。京都芸術大学公式TikTokのアカウントはこちら。

フォロワーは1万人を越え(2025年7月4日時点)、毎年100本以上の動画が投稿されています。大学広報のSNSを「完全に学生が運営する」というのは、全国的にもかなり珍しい取り組みです。
『mymymy』TikTok運営チームの活動開始は2022年、活動は今年で4年目を迎えました。
今回お話をうかがった3名は、昨年度のメンバーたち。年間100本の動画を、5人のメンバーで分担して制作していたといいます。

森さん:1本の動画は、基本的に1人で完結して作っています。最初にコンテンツの企画書を書いて、デザイナーの酒井先生(本学空間演出デザイン学科准教授)に意見をもらいながらブラッシュアップしていきます。
企画書が通ったら、絵コンテに進み、動画の出演者探しをして、実際に撮影・編集という流れです。これが企画書ですね。コンテンツの中身について、動画の尺や出演者、ハッシュタグ、キャッチコピーまで綿密に考えます。
1つの動画にかける時間は動画によってまちまちですが、1か月半くらいですね。イラストから学生が飛び出てくるような、芸大生のファッションを紹介する動画は、何年も続いているコンテンツなので、「前の代から引き継いでいるレギュラーコンテンツ」という感じで、出演者が決まったらすぐに撮れます。難しいのは新しいコンテンツですね。
TikTok運営チームが目指す動画制作
森さんが企画したコンテンツの中で一番人気の動画は「つなぎファッション」の動画! 本学の名物授業であるマンデイプロジェクトに参加する学生のつなぎファッションを紹介する動画です。学生が動画に出演しているだけでなく、動画内に登場するイラストもすべて本学の学生が手がけています(通信教育課程の学生を含む)。
ファッション紹介のコンテンツは人気があり、言うなれば「バズりやすい」動画。一方で、森さんは学科紹介の動画をよく制作していたそうです。
森さん:学科紹介の動画は数年前にはよく投稿されていたんですが、近年はファッション系の「バズる」動画や、世間的に「芸大生ってこうなんでしょ」という動画が増えていて。ぼくは入学する前に大学公式のTikTokで前年度の入学式の動画を見つけて、すごく焦ったんです。新入生がみんな派手な色のスーツ着てたりとか、着物にじゃらじゃらアクセサリーつけたりとか。「これが芸大生か!」って。でも、実際に入学式に出てみると、ぼくの学科はみんな普通のスーツを着ていたんですね。あのときの焦りが忘れられないので、社会が求めている「芸大生っぽさ」よりは、リアルな芸大生の学校生活をリアルに、偏見なしに動画にしたいなと思っています。
森さんが編集した「こども芸術学科のVlog(ビデオログ)」の動画は、こども芸術学科の学生が授業を受けている様子を撮影したもの。
ほかの動画に比べて閲覧数が多いわけではありませんが、動画には学科に興味のある人、学科に入りたいと思っている人からのコメントが複数寄せられていました。森さんは世間全体に向けての発信と、芸大に興味を持っている高校生・受験生や保護者の方に向けての発信の両立を目指したと話します。

TikTok活動が変えた大学生活

古波蔵さんが制作した動画のひとつが、こちらの金髪の学生たちのオシャレな帽子を紹介する動画です。『mymymy』2025のテーマである「金髪」と連動した企画で、実は古波蔵さん自身も『mymymy』の誌面に「金髪の芸大生」として登場しているのだとか(探してみてくださいね!)。古波蔵さんは動画を見た友だちから「見たよ」「可愛かったよ」と反響があるのがうれしかったと話してくれました。
古波蔵さん:わたしはもともと『mymymy』の大ファンで、この大学に入学したのも『mymymy』がきっかけで、パンフレット制作に携わりたいという思いが大きかったです。いまでも高校時代に資料請求して届いた『mymymy』は実家の本棚に並んでいます。

古波蔵さん:だからこそ、配属先がパンフレット制作じゃなく、TikTok運営チームになって、はじめは戸惑いました。大学公式のTikTokももちろん見てはいたんですが、そこまで熱心には見ていなかったので。でも、1年間活動してみて、すごくやってよかったなと思います。1年生のころは、イラストやデザインが得意なクラスメイトと自分の技術のギャップや、友達の作り方に悩んでいたんですが、TikTok運営チームで活動をはじめて、学内のいろんな人と話すきっかけができて、大学のことをより深く知ることができました。
大学公式TikTokは「大学を伝える媒体」で、「大学を発信するためのもの」だけど、自分たちが活動していく中でTikTok運営チームのメンバーが考えていることだったり、動画に出演してくれた学生たちの活動だったりを知ることができたな、と思っています。
TikTokの撮影のために人間館のカフェでいろんな人に声をかけたりしたことで、自分のスタンスも「どんどん話しかけていこう」みたいに変わって、すごくいい変化だなと思います。
TikTok運営チームでの活動が「大学生活のターニングポイントになった」と話す古波蔵さん。動画制作を通じてデザインの教員や職員から指導を受けるなかで、自分が提出した企画や動画に対して具体的なフィードバックをもらえたことも、印象に残っているといいます。
古波蔵さん:企画書や制作した動画について酒井先生から「この構成だと目的が見えにくいかも」とか、「なんでこの色にしたの?」とか、率直なフィードバックをもらえるのがありがたかったです。最初は指摘の理由がわからずに戸惑った部分もありましたが、だんだんと「あ、自分たちを本気で育てようとしてくれてるんやな」と思えて、デザインを授業で学ぶだけじゃなく、それ以上の学びがありました。率直に指摘をもらえるからこそ、自分が褒められたときはすごくうれしくて、企画力に自信が持てるようになりました。
高校生や保護者にも届く、新しいTikTok企画の構想とは
竹國さんは、TikTok運営チームで動画制作をはじめる前は自分から積極的に声をかけるタイプではなかったものの、TikTokの動画制作を通して、友だちが増えたと話してくれました。動画に出演してくれた学生と授業を一緒に受けたり、何度も動画に出てくれる学生が増えたりと、交流の輪が広がり、2025年度もTikTok運営チームで制作に携わることを決めました。

竹國さん:昨年わたしが企画したコンテンツはアイドル推しとかアニメ推しとか、SNSへの掲載が難しい企画が多くて。今年度は、ランキング形式の動画をつくっていきたいなと思っています。いままでは単発の動画が多かったんですけど、人気が出たら繰り返し作れる構成にすることで、継続的に見てもらえるようにしたいです。あとは、いまよく見てくれている高校生以外の世代、特に高校生の親の世代に刺さったらうれしいなと思っています。
森さんと竹國さんは2025年度も引き続きTikTok運営チームとして活動を続け、新たに加入する5人のメンバーとともにまた1年、大学公式TikTokを運営していきます。最後に、おふたりに今年度の意気込みと見どころをうかがいました。
森さん:新メンバーも入ってきてくれたので、新しいコンテンツに力を入れたいなと思っています。ぼくたちは1年間やってきたぶん、少し発想が固まりがちなところがあるんですが、新メンバーの企画書を見ると「なにそれ!」と思うような、ぼくらには思いつかなかったアイデアばかりで、すごく新鮮なんです。新しいメンバーも視聴者だった学生が入ってきているので、レギュラー化した人気のコンテンツも疎かにしないのは前提として、新しいコンテンツに力を入れて、人気が出て「殿堂入り」するような動画を生み出せたらと思っています。
竹國さん:今年度は人数も増えたので、いままで1人で作っていた動画を複数人で制作できるようになりました。これまでより規模の大きい動画にも挑戦していけるんじゃないかと思っているので、ぜひ、楽しみにしていてください!
京都芸術大学の学生が企画・撮影・編集まですべて担うTikTok。動画の再生数に一喜一憂するだけでなく、「だれに届けるか」を考える姿勢が、「芸大生のリアル」を発信することにつながっているんですね。学生が撮影・編集を担当しているからこそ垣間見える、自然体の芸大生の大学生活も京都芸術大学公式TikTokの魅力です。ぜひみなさんもフォローして、「芸大生のリアル」をのぞいてみてください。
京都芸術大学 公式TikTok
https://www.tiktok.com/@kyotogeijutsudaigaku
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上村 裕香Yuuka Kamimura
2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。