COLUMN2021.07.26

京都教育

文月 心とからだが開かれる季節 ― 瓜生山でこどもが笑う#9

edited by
  • 鍋島 惠美

 七夕を前に山から竹を一本4、5歳児さんたちと一緒に切ってきました。長くて立派な竹です。それを切り出して保育室まで運んで室内に飾るまで、みんなのたくましい必死の連携がありました。
 

みんなで竹を運ぶぞ!

 
 切り出せそうな竹をこどもたちと一緒に選びました。それからが先生の腕の見せ所です。こどもたちが見つめる中、のこぎりを手にゴシゴシ…いい塩梅になったところで5歳児さんたちが加勢をします。そして、どの向きに倒すかの算段を、見守る子どもたちと一緒に考えて、安全で運びやすい方向に倒します。そこからは、運ぶにはどうするか、こどもとおとなの知恵と力の問題です。まっすぐの道はそのまま進めますが、カーブに差し掛かると5メートル近い長さの竹をどう動かすとうまく回れるのか、後ろを守るおとなの掛け声にみんなが力を合わせて動きます。ついついおとなの持ち手の高さになってしまいます。そうするとこどもたちは、その竹にぶら下がるような持ち方となり、これまたおとなにとっては重たくなってしまいます。「もっと右」「もっと左」「そうそう!そのまま進んで」との掛け声とともに、「ぶら下がらないで持って」の掛け声もこだまします。やっとの思いで保育室内に到着。すると今度は、立てるには竹が長すぎることが判明し、ちょうどいい長さに切ることになりました。切る人、押さえる人、助ける人とその場を目の当たりにして、自然と5歳児さんたちの積極的な役割分担ができました。頼もしい限りです。
 

担いで運ぶ 4、5歳児さんたち

 

園庭までどうして降りる?
保育室に入るよ!

 

短くしないと立たないよ!

 

後ろも持たないと!


 瓜生山育ちの竹に、願いを天の川に届けてもらう短冊や笹飾りが、コツコツと創っては結ばれていきます。
 

3、4、5歳児の笹飾り お星さま見てね

 

夜の保育室に映える笹飾り
延長保育18:20ごろ お迎えを待って笹飾りのもとで遊ぶ いい感じ!

 

 

 2歳児さんたちは、タケノコが土から頭を出した頃から毎日大きくなるのを楽しみに見てきました。その今年生まれの若い竹を切ってきました。そして、園庭に立てかけて、そのそばで紙を染め始めました。できた染め紙を竹にかけて乾かしていると、それが面白くなって、染めては干してと繰り返し遊んでいました。そのうちポツポツ雨が降ってきて、大慌てで玄関先の軒に入れました。乾く前の染め紙は、笹から落ちることなくぴたっと引っ付いて、紙縒り(こより)で結んだ笹飾りのようです。

 

タケノコから大きくなるのを楽しみにしていた竹を切る(2歳児)

 

みんなで運んで 運んで 2歳児さんたち

 

色にそっとつけると…

 

笹にかけて

 


 5歳児サクラ組さんたちが未来館東側のベランダで栽培に挑戦している田んぼも、稲が50cmほど伸びて元気に育っています。鳥に狙われないようにと、その狙う鳥や案山子や稲を作って、5歳児さんは願いを表現しています。そのシーンを“インスタレーション”で展示するこどもと先生のアイデアが光っています。

 

手のひらで測れないよ… 大きくなったなぁ
カラスにやられないように…(狙うカラス2羽に赤い帽子の案山子、そしてその下に小さな稲)



 そして、「雨水プロジェクト」とこどもたちと命名して、雨水をテラスに置いた緑色のコンテナに貯めています。山の上で土と水を使って遊ぶときや、畑の水やりにと、じょうごを使い雨水をペットボトルに移し替えてナップサックに入れ、おまけに片手にも持って運んでいます。こどもひとりが運べる量は、500mlペットボトル3から4本です。遊ぶダムや川に流すと、3回でなくなってしまいます。「ああ、もう終わり」と、自分たちの運べる水量の少なさを嘆き実感しています。先生は、山の上で使う水道水の量の多さにこどもたち自らが気付く「節水作戦」の試みのようです。

 

ためた雨水を入れて じょうごからこぼさないように 真剣!

 

 

  瓜生山が、こどもとおとなの挑戦に熱いまなざしを向けて見守っています。

 

 

追記: 毎月発行する園だよりに「瓜生山でこどもが笑う」と題して、園長の気づきや思いを綴っています。この文章は、7月号に掲載したものに加筆修正をしています。

 

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  • 鍋島 惠美Emi Nabeshima

    1951年京都に生まれる。1974年京都教育大学幼児教育科卒業、西宮市立幼稚園に勤務。1976年神戸市立「聞こえとことばの教室」に勤務。言葉の発達に困りを抱えるこどもの治療保育に携わる。1979年京都教育大学附属幼稚園勤務。2003年京都教育大学大学院修了。泥だんご学会創設者・加用文男教授のもとで学ぶ。その間「ニューヨークこどものくに幼稚園」で研修する。2012年京都教育大学附属幼稚園定年退職。2014年縁あって、京都光華女子大学で保育者になりたい女子学生とともに学びあう。また臨床発達心理士として、京都市保育園連盟の巡回相談に携わる。2019年またまた縁あって、認可保育園こども芸術大学の園長になり、こどもたちと暮らしている。幼稚園で務めていたころから、実践記録をこどもたちと一緒に絵本にして遊んでいる。夢だった実践の絵本創りに、これまた縁あって旧京都造形芸術大学の卒業生の友達に絵を描いてもらい絵本を創る。『こえをかじったネズミ』ぶん:なべしま えみ、え: きんばら きみずき

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