滋賀県長浜市では、2019年1月10日(木)から3月10日(日)まで、第68回「長浜盆梅展」が開催されています。「盆梅」とは「梅の盆栽」のことで、昭和27年から開催されている本展は、その歴史と規模ともに「日本一の盆梅展」であり、関西の新春の風物詩として親しまれています。
京都造形芸術大学では、産学公連携プロジェクトの一環として、空間演出デザイン学科と美術工芸学科の5名の学生が本展の展示空間プロデュースを手掛けました。長浜観光協会より、歴史ある盆梅展に「新しい風を送り込みたい」という依頼を受けたことで、本プロジェクトが発足。
会場となるのは、滋賀県長浜市にある慶雲館。明治20年、明治天皇による京都行幸に際し、長浜での休憩所として建てられた歴史的建造物です。当時の総理大臣 伊藤博文が命名したと伝わります。会場は本館と新館に分かれ、学生は新館の展示空間プロデュースを任されました。学生が新館の展示演出を担当するのは初めてのこと。
2018年5月からリサーチのため学生は何度も現地を訪れ、「盆梅とは何か」「新しい風とは何か」について話し合いを重ねました。9月にはそれまでの成果発表として、長浜観光協会のみなさんに、新館の演出プランをプレゼンテーション。学生の提案は見事採用され、昨年末にそのプランをもとに本展の設営が行われました。
まず1階の展示空間では、それぞれの盆梅の後ろに木綿のバックシートを取り付け、その美しさを際立たせる工夫を施しました。
また、照明の角度や使用する布の色など、細部までこだわったことにより、バックシートに写る盆梅の陰影までを楽しんでいただけます。
さらに作品の配置にもこだわりが見られます。ベビーカーや車いすを利用される方もゆっくりと鑑賞できるように十分なスペース確保するなど、全ての来場者の方を意識した配置を試行錯誤。この空間は「盆梅の森」と名付けられました。
心行くまで盆梅を楽しんでいただいた後は、ゆっくり盆梅展の話に花を咲かすことができる2階のカフェスペースへ。
のれんやカウンターのデザインを学生が担当した、これまでとは一味ちがうカフェ。学生の提案で、ジュースなどの子ども向けメニューの販売も決まり、子どもから大人まで幅広い世代の方に利用いただける空間が完成しました。
本プロジェクトのリーダーを務めた、空間演出デザイン学科4年生の涌田千尋さんは、「本館は歴史的建造物で、趣のある展示演出をされています。対比を楽しんでいただけるように、新館は新しさを取り入れたフレッシュな内容にしました。これまで自分の作品や商品など、モノを扱う展示経験はあったけれど、長い時間をかけ人の手で大切に育てられた、盆梅のような「生き物」の展示は初めて。新鮮さがあると同時に、責任感を感じました。」と話します。
また、本プロジェクトを担当していただいた、長浜観光協会の梅園いつ子さんは、「2年前から考えていた京都造形芸術大学との連携。今回プロジェクトが発足し、学生の柔軟な発想と提案で予想以上の仕上がりになりました。我々だけでは思い浮かばない、素晴らしい内容です。」と講評いただきました。
本展は3月10日(日)まで開催。是非お越しください。
「長浜盆梅展」
会期中無休。2月2日(土)~3月3日(日)の土日祝は夜間ライトアップを実施。(午後8時まで入館可能)
会期 | 2019年1月10日(木)~3月10日(日) |
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時間 | 午前9時~午後5時(入館は16時半まで) |
会場 | 慶雲館(〒526-0067 滋賀県長浜市港町2-5) |
入館料 | 大人500円/小・中学生200円 |
問合せ | 公益社団法人長浜観光協会TEL 0749-65-6521 |
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