REPORT2026.05.01

教育

日本全国の仲間と自分のペースで学びを深める 2026年度 京都芸術大学通信教育課程入学式

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  • 愛知 はな

2026年4月4日、本学直心館講堂にて、2026年度京都芸術大学通信教育課程の入学式が執り行われました。天気は春の雨。今年度は、満開の桜に迎えられ、3,828名が通信教育課程での学びのスタートを切りました。

何歳でも、どこにいても、いつだって自由に学ぶことが魅力の通信教育課程、幅広い世代の新入生が、会場で肩を並べました。

今回は、2026年度京都芸術大学通信教育課程の入学式の様子をレポートします。

晴れ着姿の新入生が入場すると、開会の辞とともに、式典が開始されます。「京都文藝復興」は、本学教員の坂川慶成先生が朗読しました。

続いて、佐藤卓学長による式辞です。佐藤学長は、新入生に入学の祝いの言葉を贈るとともに、本学の通信教育が27年目を迎えた歩みを振り返り、これからの時代における新たな学びの可能性を語りました。

「仕事をしながら、子育てをしながら学ぶ、あるいは学び直すことができる、全く新しい教育の場がこれからもっと増えてくると思います。それは、以前と比べると教育の場として、健全な状態ではないでしょうか。その新しい形を、みなさんのご意見を聞きながら再構築し、より良い環境を整えていきたいと思います」
佐藤学長は、本学学長であると同時に、プロのグラフィックデザイナーとしても活躍しています。本学のシンボルマークのデザインを手がけたのも佐藤学長です。13年前、京都文藝復興、藝術立国という本学の理念を、一滴の雫が作った形で表現しました。このシンボルマークを生み出す過程では、唯一無二のマークにするために悩み抜いた末、最後にたどり着いたのが「自然に委ねる」という方法でした。自分の培ってきたスキルを活かしつつ、自然の作り出す形も尊重する姿勢に触れながら新入生に充実した学びの時間を過ごしてほしいと告げました。
そして、現在の世界が、明日何が起こるかもわからない不安定な状況であることに触れ、次のように、新入生に、これからの学びへのアドバイスを送りました。

「遠い国で起きている戦争によって、私たちの日常生活にもさまざまな影響が出ています。日々の生活で大変なことはあると思います。ですが、やはり私たちは、芸術の力を信じて、世の中を少しでもいい方向に向けていくという使命を持っているのではないでしょうか。そのきっかけを、みなさんも生活の中でつかんでいるはずです。これからこの大学の通信教育課程で充実した学生生活を送っていただきたいです。そして、色々な環境での学びを社会のため、世の中のためになるよう、私も推し進めていきますので、ぜひ、ご一緒していけたらと思います。この度はご入学おめでとうございます」

次に、姉妹校である東北芸術工科大学学長中山ダイスケ先生から、来賓を代表し、祝辞をいただきました。

山形県山形市の東北芸術工科大学は、本学創立時からの姉妹校です。本学は文藝復興を、東北芸術工科大学は東北ルネッサンスを提唱し、協力して藝術立国を目指した教育活動を行っています。

中山先生は、新入生への祝いの言葉とともに、通信教育課程の特徴のひとつでもある、仕事と学びを両立するプロのクリエイターに、中山先生ご自身がクリエイティブディレクターとしての仕事の現場で共に仕事をする場面があることに触れ、通信教育課程だからこそ、同じように学ぶ仲間が、全国の現場に存在していることが、学びの場としての充実のひとつの要素であるということを述べました。そして、通信教育課程だからこそ生まれる、仕事や生活と学びの両立の難しさについても言及しました。

「通信で学ぶということは、単に知識を得ること、なにか技術を得ることではないとみなさんは分かってらっしゃると思います。生活に折り合いをつけ、自分自身を律し続けるという極めて強靭な意志の証明になる。これからそういう時間をみなさんは過ごします。それぞれの背景で、日常をおくり学ぶうちに、なぜそこまで学ぶのか、周りに問われる場面もあるかもしれません。でも、そんなことは気にしないでください。みなさんは、学びたい、やってみたいという欲求の元に、ここに集まっています。ですから、しばらくはわがままに挑戦をしてみてください」
また、入学したことに満足して、手を止めてしまわないでほしいという、現実的なメッセージを新入生におくるとともに、通信教育課程の卒業展示のクオリティの高さ、そして豊富なバリエーションにも通信教育課程で学ぶ学生の、さまざまな背景の織り成す技であるということに触れました。

「みなさんの学びへの意欲は、生半可なものではありません。どれだけ時間がかかってもいいので、学び、卒業制作展までたどり着き、自分の決意をやり遂げていただければと思っています」
そして、最後に、この混沌とした時代でも、良い緊張感をもって苦しみ、悩み、学べるだけ学んで、入学とともにした決意を成し遂げてほしいと、応援の言葉を贈り、祝辞を締めくくりました。

続いて披露されたのは、和太鼓の祝奏です。奏者である和太鼓「悳(しん)」は1994年に結成した和太鼓サークルです。瓜生山学園の学生により構成され活動をしています。
技術だけでなく、『心、技、体』をテーマに、メンバー全員がお互いの気持ちを理解し合い、自分自身への挑戦を掲げて、日々練習に励んでいます。

新入生の入学を祝し、明るい未来に向け、笑顔を絶やさず、日々前向きに物事を捉え、進んでいけるよう、そして、自然、芸術、人の想いに対して響く心を持ち、仲間と共に学生生活を満喫していただけるよう、心を込めて、「一会(いちえ)」という曲目を演奏しました。動き、リズム、華やかなパフォーマンスで、学生生活の門出にふさわしい演奏を披露しました。

続いては、新入生、文化コンテンツ創造学科平田裕子さんによる、入学の辞です。
普段は予備校講師として古典を教える平田さんにとって、書画コースへの入学は、学際デザイン研究領域、日本画コースへの2回の入学、卒業を経て、今回3回目の入学となります。仕事をしながら、新しいことへの好奇心、探求心を持ち、ためらうことなく挑戦する平田さんの、芸術の学びへの意欲、そして入学の決意が表明されました。

桜も満開、瓜生山から見渡す街や山の緑も美しいこの春の日に、ご臨席の皆々さま、そして、たくさんの学友たちと入学式に臨み、嬉しく誇らしく感じております。晴れやかな式典を開いていただきましたこと、新入生を代表し、心より御礼申し上げます。

私事ながら、本学に入学するのは今回が三度目です。
一度目はコロナ禍の2020年、大学院の学際デザイン研究領域に第一期生として飛び込みました。普段は予備校講師として古典を教えておりますが、古典文学や日本語の豊かさを、入試や専門的な研究に閉じてしまうのでなく、広く社会に届けたいと考えておりました。
学際デザイン研究領域では、旧くからの文化・伝統を探究するとともに、現在を観察し未来をデザインする手法を学びます。この成果として、私は「三鷹古典サロン裕泉堂」という市民向けの学びの場を開きました。地域社会や職業での実践と深く結び付いているのが、本学の学びの特長であると思います。
その修了式の日、早川克美先生に激励をいただいて挑戦したのが、二度目の入学、通信教育部 日本画コースでした。古典を絵でも表現し、広く届けたいと考えたのです。卒業制作の途中、コロナに感染、肺炎が重症化し、制作が進められなくなった時期がありました。そのとき、後藤吉晃先生や学友から「学びを諦めないで」と励ましのメールをいただきました。どれもスクリーンショットを撮って保存しております。おかげで、『源氏物語』を題材とした卒業制作を完成することができました。
先月、卒業制作展の会場で感激したのは、どのコースの展示にも多様な魅力が溢れていたことです。奇を衒って目立とうとする自己顕示欲とは違う、学生それぞれの人生、生活・仕事・学びの歩みから醸し出される個性は、本学の力ではないかと思いました。
振り返れば、通信制という言葉から想像していた何倍、何十倍も、先生や学友との心の交流がありました。先生方からレポートや作品に個別の講評をいただけることは驚きでした。学友たちとはスクーリングの休憩時間や学内SNSなどで語り合いました。仕事や家庭との両立、表現の技術不足など、同じ悩みを共有する一方で、作品や発表を見比べると、互いの違いに気付き、自分らしさを知る手掛かりにもなりました。
学びは自分を広げます。私は日本画を学ぶ内、水墨画の描き方も知りたくなり、書画コース入学を決めました。和漢の書道は、国語講師としての仕事や探究と結び付きが強い分野でもあります。さらに知識や技術、興味が広がって、卒業する頃にはどんな自分になれるだろうと今から楽しみにしています。
四年前、私が日本画コースに入学した春、この新入生挨拶は、昨秋 名誉学士を授与された橋幸夫さんが務められました。同じ書画コースに学ぶ後輩として、彼の志を引き継ぎ、真摯な学びの姿勢に倣い、学習を進めていきたいと思います。
改めて本日のこの式典、並びに、開かれた学びの機会・環境に感謝いたします。恩返しとなる学びの成果を出せるよう、仲間とともに励んでまいりますことを誓います。

令和8年4月4日
京都芸術大学 通信教育部芸術学部 文化コンテンツ創造学科
書画コース 平田裕子

平田さんの入学の辞を受け、学校法人瓜生山学園の徳山豊理事長による歓迎の辞へと式典は進みます。

徳山理事長は、平田さんの入学の辞に、新入生はもちろんのこと、教職員も勇気づけられたと述べました。そして、通信教育課程特有の学びを続ける難しさ、そして、その助けとなる仲間の存在について触れ、歓迎の辞を締めくくりました。
「みなさんは一人でないということを決して忘れないでください。京都芸術大学には2万人近い学生がいます。私たち教職員も、みなさんとともに、学びを深めていきます。ぜひ、どんな困難があっても学びを諦めず、悩みは仲間、教職員にも相談をして、一緒に悩み、一緒に学び続けましょう。本日は、誠にご入学おめでとうございます」

式典の最後は、学園歌「59段の架け橋」の斉唱。新入生、教職員、全員による学園歌の斉唱により、2026年度、京都芸術大学通信教育課程入学式が締めくくられました。

さまざまな土地で、それぞれのペースで芸術の学びを深めることのできる通信教育課程。入学式の会場では、これからの学びへの真剣なまなざしが見られました。
学び直しとして、そして新しい学びを深める新入生のみなさんのこれからの学生生活が、実りある時間になることを願っています。
ご入学、おめでとうございます!

 

(文=愛知はな、写真=白井茜)

 

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  • 愛知 はなAichi Hana

    2000年岐阜県生まれ。2025年度、京都芸術大学文芸表現学科卒業。

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