
京都・瓜生山キャンパスの人間館1階ギャルリ・オーブにて、2025年5月16日(金)から23
日(金)まで、学生会が主催する作品展「遭遇展vol.6」が開催されました。
本展は京都芸術大学10学科・24コースに在籍する学生が学科や専門領域を越えて作品を持ち寄り、互いに遭遇することを目的とした学生会が主催する展示企画です。今年は53名が出展。会期初日には、昨年の約2倍となる200名以上が来場し、学生たちの関心の高さがうかがえました。
本レポートでは、企画の主催である学生会所属の丸山和夏さん(プロダクトデザイン学科2年)と、同じく学生会所属で本展の構成、空間デザインを担当された黄瀬陽都さん(キャラクターデザイン学科3年)のお二人から6回目となる本作品展についてお話を伺いました。

誰でも参加できる作品展を目指して

遭遇展の大きな特徴のひとつとして、『学生の展示をする機会をつくりたい』という思いがあります。
例えば、学外で展示を開催する場合は、ギャラリーの使用料や設営費などが必要になりますが、遭遇展はこうした金銭的なハードルをできる限り取り除き、設営なども学生会の役員が補助を担うことで初めて展示に挑戦する学生も安心して参加できる仕組みが整っています。
また、展示する作品のジャンルや媒体を問わない募集にすることで誰でも気軽に参加できる仕組み作りを心がけているようです。



「SNSでのいいねやデジタル越しではなく、生の声としてメッセージを届けることができる機会にしたい」と、黄瀬さんはそう語ります。

会場には、出展作品ごとに感想ノートを設置し、来場者から感想やフィードバックを直接受けることができるようにしています。「展示は来場者の方が作品と遭遇する場であると同時に、出展者にとっても新たな出会いの場にしたいと考えています」とも語ってくれました。
また、ノートでの感想記入に加え、出展者が会期中の受付を担当することで来場者と直接交流する機会も設けられていました。

そんな「遭遇展」。空間デザインを担当した黄瀬さんは、
「従来の遭遇展では、作品を順序よく配置し来場者が、順路をなぞるように作品を鑑賞できるへび型の構成が選択されてきました。ですが、今回は展示空間の中央に通路を設けることで、展示会場内に開放感を与え、パーテーションを利用することでいくつかの展示ブロックを構成し、解放感と作品への没入感を両立させました。」


「あと、空間の区分けを強く意識しました。色んな作品が集まることで、展示に統一感が感じられない人がいることを懸念していたので、油画作品のブロック、映像作品のブロックなどジャンル別に区分けし、ブロックごとの没入感を狙いました。ブロックごとにジャンルを分けることで、各エリアに没入できるよう意識しました。また、今回は従来の“順路に沿う一方通行”の構成ではなく、展示空間の中央に通路を設けたことで、来場者が自由に各ブロックを行き来しやすくなっています。一つの場所にとどまらず、さまざまな作品との“遭遇”が自然に生まれる構成を目指しました」と黄瀬さんは語ります。
挑戦する学生たちが集まる場所

遭遇展には、毎年作品を出展している常連の学生も。今年は約10名が昨年に引き続き参加しており、過去に制作した作品を展示したり、新作を展示したり、各自のスタイルで出展しています。
「昨年とは異なる作品や同じ作品を展示するなど発表の方法はそれぞれですが、ふだん接する機会のない他学科の学生に見ていただける場として積極的に挑戦されています」と丸山さんは話してくれました。

一方で、出展内容の自由さは、新たな挑戦への後押しにもなっています。たとえば、お話をうかがったキャラクターデザイン学科の学生は、授業では扱わない論文作品に挑み、約14000字に及ぶ作品を出展しました。
また、丸山さんは高校時代に描いた作品を出展されたそうです。大学入学前に制作した作品などを出展しても問題ないとのことで、以前に出展したくてもできなかった作品なども受け入れるようにしているとおっしゃっていました。


また、個人制作の作品だけではなく、グループで作品を発表することも可能で、学生の可能性を狭めない意識が細部までつまっていました。




キュレーターも、挑戦者
「出展作品のサイズが事前申告と違っていたり、会場レイアウトと合わなかったりで何度も空間デザインをやり直しました。でも担当したキュレーターとしての役割をめげずに続けることで、展示の面白さも実感できました」そう語る黄瀬さんにとって、キュレーターを務めた経験は、自身の創作とは異なる実践の学びとなったようです。
また丸山さんは、文芸表現学科の宮口さんによる写真×テキスト作品に感銘を受けたと話しました。「今回も、昨年と似た構成の作品を出展されていて、時間が経っても心に残っていることを改めて感じました。遭遇展でなければ出会えなかった作品だと思います。」
出展者・来場者・運営者、それぞれが表現と出会う体験を持ち帰ることができるのが、この作品展の魅力なんですね。

「つくる」を支える、学生会の取り組み
「遭遇展」の企画・運営を担当した学生会は、より良い学園生活の実現を目指して活動する、学生による、学生のための組織です。
1年生から4年生で成る代議員総会を2か月に1回程度開き、学生の生の声を拾いながら、学年・学科・コースを越えた交流や活動を図るために企画を実施・運営しています。
代議員総会では、学生会の運営内容や、学生会費の運用方法について話し合ったり、大学に対する学生の意見を持ち寄ったり。学生会主体の企画の運営や、在学生による学生企画の補助など、さまざまな活動を行っています。
・公式SNS
京都芸術大学 学生会X
京都芸術大学 学生会Instagram
今回の「遭遇展」を始め、今後は、11月の大瓜生山祭などの学生の交流できる場をつくり盛り上げる予定とのこと!
SNSをフォローして、ぜひ学生会の今後の動きをチェックしてみてくださいね。
「遭遇展」は、ただの作品展ではありません。“表現したいけど、何から始めればいいか分からない”という人にも、扉を開いてくれる場です。
今年、出展を見送った方や迷っていた方も、来年開催予定の「遭遇展 vol.7」では、ぜひその一歩を踏み出してみてください。
(文=文芸表現学科4年生 轟木天大、写真=Oto Hanada、※付きの写真=広報課撮影)
京都芸術大学 Newsletter
京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。
-
京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts
所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
連絡先: 075-791-9112
E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp