手にするだけで胸がワクワクしてくる型破りな大学パンフレット『mymymy』(STUDENT TODAY)。もう、みなさんのお手元に届いているでしょうか?
本学の学生が企画からデザインまでを行い、「日本一捨てられない学校案内」と言われることもある、芸大生のリアルをのぞくことのできる大学案内冊子です。
制作したのは「高校時代に『mymymy』を読んで、京都芸術大学に興味をもって入学しました」という学生ばかり。憧れの冊子を制作する期待とプレッシャーの中で本年度版を完成させた7名のメンバーのうち、クロステックデザインコース3年の相川乃々佳さん、ビジュアルコミュニケーションデザインコース3年の松本未悠さん、ビジュアルコミュニケーションデザインコース3年の藤本琳果さん、ビジュアルコミュニケーションデザインコース2年生の是松あきほさんの4名に制作の舞台裏を明かしてもらいました。
本年度のテーマは「迷路」!
表紙の「mymymy」の文字をじっと見てみると、一文字ずつが小さな迷路になっていることに気づきます。
冒頭から目次までつづくプロローグには、輝く川面と水の中で一歩を踏み出すような、足踏みしているような学生の写真が散りばめられ、この「迷路」というテーマにみなさんを引きこむためのイントロダクションが綴られています。
「迷路」というテーマが決まる前にメンバーの中からでてきたのは「歩く」というキーワードだったそう。凝ったコンテンツやデザインを、様々な人に会って、いろいろな場所に行って歩きながらつくりたいという思いや、メンバー自身が他県から京都の芸術大学に進学する際に「mymymy」に歩き出すきっかけをもらった経験が込められた言葉です。
そこから、本冊子のアートディレクターを務める空間演出デザイン学科の酒井洋輔先生と話し合い、迷いながら進んでいく「迷路」をテーマにすることにしました。
本年度の制作チームが動き出したのは2023年5月中旬。キックオフと同時に、各コンテンツに協力してくれる人集めを開始しました。SNSで募集したほか、大学の1階にあるカフェで直接声をかけたりもしたそう。
6月に冊子のテーマが決定し、夏ごろからコンテンツごとに制作をスタート。企画、取材、デザインなどの多くの工程をこなして、冬の入稿まで漕ぎつけました。
そうした制作の過程を、松本さんは「わたしは、高校2年生のときから『mymymy』を読んでいました。芸大に進学することへのハードルが下がったというか、大学への親しみがもてて、背中を押してくれた存在です。いつか作ってみたいと思っていたんですが、実際作るとすごくしんどくて。冊子を一冊作るってすごく大変なことなんだなって思いました」と振り返ります。
毎年の人気コンテンツ[1000Q&A]
ここからは、ひとつひとつのコンテンツについて見ていきましょう。
冒頭の在学生1000人アンケート[1000Q&A]は、「変って言われると嬉しい?」「バイトしてる?」「服にこだわりある?」など、大学生活、私生活、考え方などを網羅したQ&Aが並び、「京都芸術大学の学生とは?」という疑問に応える内容になっています。
コンテンツの制作を担当した松本さんは、「本の顔にもなるコンテンツなので、ぜんぶ繋がってる迷路の中にグラフを入れこんで、見やすく、かつ迷路もできるデザインを目指しました。ちゃんと読んだ人だけが発見できるコンテンツもいれたいと思って、よく見たら迷路の中にドクロマークがあったり、宝箱があったりします。解いた人だけがゲットできるご褒美や罰がある感じですね」と特徴的なデザインの秘密を教えてくれました。
毎年恒例の質問に加えて、今年のテーマである「迷路」に関連した「ご飯食べられないくらい悩んだことある?」といった質問や、今年しか聞けない「マスク外して快適になった?」「TwitterがXになったのどう思う?」などの質問も掲載されています。芸大生のリアルな思いを知ることができるコンテンツです!
歩道橋を探して[MY GIRLFRIEND]
フィルムカメラで撮影された淡いトーンの人物写真が目を惹くコンテンツ[MY GIRLFRIEND]については、藤本さんが「実は、ぜんぶ1か所で撮影してるわけじゃないんです」と撮影の裏話を話してくれました。
「迷路をしているときに、歩道橋みたいな橋があったらうれしいよねみたいな(笑) 抜け道があるとラッキーってなるじゃないですか。そこから、歩道橋で撮影しようと考えて、京都市内の歩道橋を10か所以上回りました。地面の色が赤とか緑とか、かわいい色の歩道橋を厳選して、結局は4か所の歩道橋で撮影しました」
歩道橋でポーズを決める、舞台芸術学科や映画学科、こども芸術学科、情報デザイン学科などの学生たち。ぜひ制作メンバーがこだわったという歩道橋の色や看板にも注目してみてください!
芸大ならではの距離感[MY PHONE]
LINEのスクリーンショットと、ドットで表現されたスマートフォン、絡まったコードのデザインが目を引く[MY PHONE]は、学生と先生の実際のLINEのやりとりを掲載しているコンテンツです。
ビジュアルを担当した相川さんは「芸大ならではの学生と先生との距離の近さを感じてもらえたらと思って、制作しました。どの部分を切り取ったら、打ち解けた様子を感じてもらえるか考えましたね。ビジュアルとしては、コードが絡まっているという『あるある』をイラストに取り入れて、テーマである『迷路』を表現しました」とデザインの意図を説明します。
掲載されているのは、キャラクターデザイン学科の村上聡先生や情報デザイン学科の三増勇介先生などの5名の先生方と学生のLINE。先生方の素顔がうかがえる、学生とのフランクなやりとりに注目です。
先輩も迷っている[MY SENPAI]
こちらは、前年度からスタートした卒業生紹介企画[MY SENPAI]。
一般的な大学案内にもよくある企画ですが、中身は「mymymy」らしく、社会で活躍する先輩方が悩んだり迷ったりしている等身大の姿を文章と写真で掲載しています。登場する先輩方には、直接会いに行ったり、SNSで声をかけて協力してもらったりしたそう。
デザインを担当した藤本さんは「迷走している感じをデザインで表現したくて、うねうねした図形を文章の中に入れこんでみたんですが、酒井先生に『平凡』と言われてしまって(笑) じゃあ、新しいことに挑戦してみようと考えて、グラデーションを使った立体でビジュアルを制作しました。『迷走中』と書いてあるステッカーも、ところどころ破れていたり、ひとつひとつ形がちがったりと変化をつけることで、それぞれの個性を表現しました」とコンテンツの制作について振り返ります。
恋に悩める学生たち[MY KOIBANA]
2年前からはじまった[MY KOIBANA]は、インスタグラムで好評だった企画をパンフレットにも採用した企画です。もともとはシンプルな恋のお話紹介でしたが、前回からは、「どうせなら、深夜のラジオ番組のお悩み相談風にしてみては」ということで、アートディレクターの酒井先生を回答者に抜擢。
アンケートで寄せられた恋のお悩みに酒井先生が回答しているほか、『ゲーム実況を配信している人に恋して』というテーマでの座談会もお届けしています。
[MY KOIBANA]のビジュアルを担当した是松さんからは「花びらを300枚くらいちぎって、それを一枚ずつフォトショップで加工していったんです」という制作へのこだわりが垣間見えるエピソードが。
「恋バナといえば恋占いだよねってことで、花びらをちぎるデザインにしたんですけど、その作業をすごく原始的にやったってことですね。イラストを書いたり、複製したりしちゃえば楽なんですけど、やっぱり一枚ずつちぎっていくほうがいいかなと思って。大変でした」
また、「若い子に読んでほしいから」という遊び心から、[MY KOIBANA]の文字はほかのコンテンツよりも小さくなっているそう。恋バナは大人に隠れてするのが醍醐味ですからね! 冊子の1ページ1ページに、制作メンバーの想いがこめられています。
試行錯誤を繰り返して、1年間歩きつづけ、迷いつづけて完成した335ページの大学案内。
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在学生や卒業生の方々には『学内配布』の際にだけお配りしています。資料請求いただいても対応できませんので、ご了承くださいね。
今年は5月30日に配布が行われました。大盛況だった『学内配布』の様子はこちら!
在学生にも大人気な、京都芸術大学のリアルを知ることのできる大学案内、京都芸術大学に興味のある高校生や保護者の方は、ぜひお手に取ってみてください!
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上村 裕香Yuuka Kamimura
2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。