INTERVIEW2023.06.01

息ととのえて、水色の本にダイブ!学生がつくる大学案内『mymymy』in2023、できました!

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  • 京都芸術大学 広報課

「え、これが大学案内なの?」。手にしたヒトをびっくりさせる型破りなパンフレット『mymymy』(STUDENT TODAY)、もう、みなさんのお手元に届いているでしょうか? 分厚いページの端から端まで学生たち自身が企画して、たくさんの人とつながりながら、撮影、取材、デザインまで手がけ、つくりあげたこの一冊。プロによるものとは違う味わいと、飾らない、芸大生のありのままが詰め込まれています。その正直さがページをめくる人の心を動かし、これまでも、たくさんの高校生たちの背中を押してきました。

 

2023年度版のコンセプトカラーはライトブルー。
オレンジの「mymymy」の文字が映える。


「私自身が、この本のおかげで芸大生になろうと思えたから」と、2023年度版の制作スタッフ(計7名)に加わった、竹本利夢さん、横矢和佳さん、嶋村百々子さん。ほぼ1年間、『mymymy』と向き合ってきた3人に、今年の見どころを教えてもらいました。「もう読んだから」と思っている方も、「え? どこ?」と読み返したくなるかもしれません。
 

今年のテーマは、“Breath”。

つくり手である私たちから、冊子を紹介する前にちょっとだけ、mymymyの新展開についてお知らせさせてください。じつは2021年にInstagram(@mymymy_studenttoday)版がリニューアルしたのに加え、2022年からはtiktok(@kyotogeijyutsudaigaku)版の『mymymy』も登場。 それぞれ別の学生スタッフがチームを組んで、オリジナルのコンテンツを発信することになりました。

Instagramの今年のテーマは「芸大生のファッション」!
現役芸⼤⽣の“今”を伝えるTikTok。


この新展開が揃ったことで、「冊子」や「インスタグラム」など、それぞれの手法の特長を考え直すきっかけが得られました。そこで冊子チームは、「リアルな本ならではの良さを追求しよう」と一致団結。まずは全体をくくるテーマ選びから悩みに悩み…決定したのが“Breath”です。コロナ禍でのマスク生活が長かったり、SNSで他人との差に悩んだり…。いろいろと息苦しい世の中で、読む人の呼吸がちょっとラクになる本になれば、と願いながら制作してきました。

2023年度版冊子のテーマは“Breath”。


ちなみに、冒頭から目次までつづくプロローグは、この“Breath”というテーマにみなさんを引き込むための大切なイントロダクション。メンバー外の学生にも協力してもらい交渉を重ね、「ノートルダム学院小学校」のプールで撮影させてもらいました。天気に振り回されながらも、粘ること3日間。おかげで、最高に気持ちいい水面の上に、真っ白なメッセージを浮かべられました。「いき(息)してる」「い(生)きてるし」!

 

入学後も楽しめる[My Yoga]

撮影といえば[My Yoga]は、京都のあちこちでヨガする学生を撮りおろした、今年ならではのコンテンツです。テーマとなった“呼吸”について調べていたら、じつはヨガで大事なのは、ポーズよりも呼吸だと発見。「じゃあ、高校生にヨガと京都の魅力をあわせて伝えてみよう」と、オリジナルのヨガマップを作成することに。もちろん、ガイドブックによくある景色ではつまりません。京都で実際に生活してみないと気づけない身近なスポットで、スッと息をつけるロケーションをみんなで探しまわり、ポーズにあった場所 を厳選しました。

京都芸術大生なら通うはず…宝ヶ池自動車教習所!
京都の学生と言えば銭湯巡りだよね!


キャンパス内だけでなく、本学生が毎年たくさんお世話になっている自動車教習所や、ご近所の銭湯など…。大学に入って通いはじめてから、「あ、ここかぁ!」と気づくのもお楽しみのひとつなので、ぜひ今のうちにじっくり眺めておいてください。
 

小さな文字に秘められた[My Koibana]

去年からはじまった[My Koibana]は、インスタグラムで好評だったのをパンフレットにも採用した企画です。もともとはシンプルな恋のお話紹介でしたが、今回は、「どうせなら、深夜のラジオ番組のお悩み相談風にしてみては」ということで、本冊子のアートディレクターを務める空間演出デザイン学科の酒井洋輔先生を回答者に抜擢。期待どおりユニークで、思った以上に真摯でハッとさせられる、すてきな回答をいただけました。

まるで酒井先生の声が聞こえるように感じられるラジオ番組風企画。
よくよく目を凝らすと句読点や符号だけ黄色の文字になっているこだわりよう。


だれでも気がねなく書けるようにと、匿名のアンケート形式で募集してみたら、予想以上にたくさんの胸の内が寄せられて。SNSとは違って手元でじっくり読める本だからこその小さな文字 で、いろいろな恋のカタチをたっぷりと紙面に詰め込みました。
 

直筆に想いを込めて[My Home]

毎年恒例の企画ながら、読むと心にグッとくるのが[My Home]。学生のご家族に、「なぜ芸大の高い学費を払ってくれたのか?」というストレートな質問を投げかけるという、『mymymy』の名物コンテンツです。

手書きの手紙だからこそグッとくる。


とはいえ、いろいろアイデアを絞って、いままでにないアレンジを。今回はなんと、心のこもった直筆でご家族からお返事をいただき、それを紙飛行機にして飛ばすようすを撮影することに。普段は面と向かって言いにくいことを、風にのせて届けてみよう…そんな気持ちを表現しました。学生の方々はもちろん、その周りのみなさんまで、いろんな方に協力してもらうことでこの本ができている、ということをあらためて実感できたページです。
 

あと、もうひといきな[My Senpai]

これまでありそうで意外と少なかった企画、それが[My Senpai]という卒業生紹介です。一般的な大学案内にはよくあるページだからこそ、『mymymy』らしさを出したくて。社会でバリバリ活躍している先輩方の、悩んだり、迷ったり、“あと、もうひと息”な部分を、あえてさらけ出してもらう仕立てにしました。

各エピソードを締めくくる「もうひといき」の文字。


思い返せば、私たちが高校生だった頃は、「大学生はスゴイことができるひと」だと思い込んでいました。とくに芸大なんて、毎日すごい作品をつくりまくっていて、自分なんかには無理だろうって。でも、そうじゃないですよね。卒業した社会人だって完璧じゃない、だから、私たちだってコツコツがんばっていけばいい。そう高校生に伝えたくて…本当はとっても尊敬すべき先輩たちのプロフィール写真も、あえて紙細工にして遊ばせてもらいました。
 

見つけられるかな?というコネタ集

「日本一捨てられない学校案内」とも言われるように、手元に置いて、何度でも読み返せるのが『mymymy』のいいところ。そんな愛蔵版ならではのささやかな遊び心が、計335ページのあちこちに隠れています。たとえば、学生が撮った大学の写真を掲載している[My Wink] によーく目をこらすと、どの見開きにも、ぽつん、ぽつんとタンポポの綿毛が。この冊子のなかに流れている風にのって、ふわふわ飛んでいるかのようです。

見つけられましたか?タンポポの綿毛!


この他にも、各コンテンツのタイトルページで、“息するように、くちから自然に出てくるコトバ”を学生が掲げていたり、学生の下宿紹介ページ [My Room] では、合成なしにフトンがふっとんでいたり。パラパラめくるだけでは、見過ごしてしまいそうなコネタがたっぷり。よかったらじっくり読み込みつつ、探してみてください。

本当に「ふとんがふっとんだ」?!
各コンテンツの扉には息するように言う言葉たちが。


どこでも持ち歩けるサイズだけど、そこに込められているこだわりや努力は、決して半端なものじゃない。 今年の見どころを教えてくれた3人も、たくさん苦労して、ときにはくじけそうになりながら、人とつながり、自分と向き合い、最後の1ページへとたどり着きました。

そこで実感したのは、読んだことで入学して、つくったことで成長して、「やっぱり、出会えてよかった一冊」だったということ。最後に、そんな作り手のみんなから、読み手となる高校生のみなさんへのメッセージをお届けします。
「こんなに分厚い本だけど、ここにあるのは、私たちの、この大学の、ほんの一部分でしかありません。どうか実際にふれてみて、もっともっと、いろんな新しいモノや人に出会ってください。この一冊が、“この大学に来てみたい”というきっかけになったら、それが一番のしあわせです」。


ふーっ、はーっ、と息をととのえて、本の中に飛び込んだあとは、リアルな大学へとダイブしませんか? 『mymymy』は、あなたの新しい世界をひらく、小さくて大きな入り口です。

制作スタッフのみなさん、制作に協力してくださった学生・教職員・卒業生・保護者のみなさん、おつかれさまです。ありがとうございました。この本が、タンポポの綿毛のように飛んでいって、だれかの心に新しいタネを育てられますように。

 

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