3月19日(日)に瓜生山キャンパス内「京都芸術劇場 春秋座」にて、「京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム 猿之助と愉快な仲間たち 第3回公演『ナミダドロップス』」が上演されます。
「猿之助と愉快な仲間たち」は市川猿之助・春秋座芸術監督が主宰する演劇プロジェクト。今回上演される『ナミダドロップス』は、鶴屋南北「金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)」とヴィクトル・ユーゴー「ノートルダム・ド・パリ」という、いずれも鐘のモチーフが登場する東西の名作を融合させた書き下ろし新作群像劇です。
「猿之助と愉快な仲間たち」初の春秋座公演となる今回は、大学にある劇場ならではの取り組みとして、舞台芸術学科の学生が様々な形で公演に関わっています。東京公演が目前に迫り佳境を迎える制作現場から、学生の声をレポートします。
『ナミダドロップス』の登場人物である清日古(きよひこ:市川猿之助)、翡翠(ひすい:松雪泰子)、帯刀(たてわき:下村青)、陽光(はるみつ:大知)の衣装のデザイン・製作を担当するのは、舞台芸術学科4年生の杉山菜野(すぎやま なつの)さん。これまで学生公演でも衣装を担当してきたそうですが、プロの俳優の衣装を手掛けるのは初めて。杉山さんがデザインした衣装は、ツアー先の東京・愛知でも使用されます。
猿之助さんが演じる通圓堂(つうえんどう)の鐘撞き人・清日古の衣装をデザインするにあたり、杉山さんは「清日古が持っているコンプレックスであったり、心の内に抱えているものを、継ぎはぎや少しダメージ加工を施した衣装で表現しました」と話します。
「市川青虎さん(演出)、藤倉梓さん(脚本)から『清日古は外とは交流しないが、通圓堂に喜捨があって、それを継ぎはぎしてなんとか自分で繕っている』というイメージを聞き、目立たないですが、小さな女の子が置いていったようなおもちゃ、お菓子のオマケをつけて、清日古の内面を表現しました。また、『ナミダドロップス』は場所や年代を特定していない作品なので、そこをなるべく観客に委ねられるようにするのが難しかったです。アイテムなどで年代を特定しない分、色でキャラクターをしっかり引き出せたらいいなと思い、パッとみて分かりやすい色味であったり、柄を使うようにしました」
先日の衣装合わせでは、猿之助さんらに実際に着用してもらいながら、イメージのすり合わせを行いました。猿之助さんの舞台での経験を踏まえた細かなフィードバックに、杉山さんがテキパキと対応している姿が印象的でした。
現在4年生の杉山さんは、卒業後も衣装の仕事を続けることが決まっており、「『ナミダドロップス』での経験が、プロフェッショナルとしての第一歩になります。大学での製作の活動とは異なり、一人の衣装スタッフとしてお仕事を頂いて製作をしているんだという責任感を、プロの俳優やスタッフとやり取りをしながら感じていて、今後先に進んでいく上でも良い機会をいただけたなと思っています」と、本作への意気込みを語っていただきました。
また、同じく舞台芸術学科より5名の学生が、『ナミダドロップス』京都公演でアンサンブルとして出演します。第一線で活躍する俳優と同じ舞台に立つことに期待を募らせるみなさんに、意気込みをうかがいました。
山本霞さん「お誘いいただいた時からすごくワクワクしています。春秋座という舞台でプロの俳優の方々と、仲間といっしょに、自分が三年間頑張ってきたことを出して、お客さんに来てよかったなと思ってもらえるよう、全力で期待に応えたいと思っています」
森史佳さん「プロの方と一緒に作品を作るという光栄な機会をいただいたので、その空間を楽しみつつ、自分もそこに何かプラスに働けるよう頑張りたいと思います。アンサンブルなりにしっかりと存在感を出して、ちゃんと一人の人間として、その物語の中に存在していきたいなと思います」
猿之助と愉快な仲間たち第3回公演『ナミダドロップス』は、3月8日の東京・神田明神ホールの公演を皮切りに、京都・愛知へのツアーが始まります。
学生のみなさんの活躍も楽しみな春秋座ならではの舞台、どうぞご期待ください。
京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム
猿之助と愉快な仲間たち 第3回公演
『ナミダドロップス』
日時:2023年3月19日(日)11:00 / 15:30
会場:京都芸術劇場 春秋座(京都芸術大学 瓜生山キャンパス内)
チケット:一般 8,000円/京都芸術劇場友の会 7,500円/学生&ユース(200席限定) 2,000円
問合せ先:京都芸術劇場チケットセンター(075-791-8240)
ウェブサイト:https://k-pac.org/events/8665/
出演者(五十音順)
穴井豪/石橋正次/石橋正高/市川郁治郎/市川猿之助/市川喜介/市川笑猿/市川翔三/市川翔乃亮/市川段之/市川段一郎/市川三四助
市瀬秀和/嘉島典俊/下川真矢/下村青/大知/立和名真大/松原海児/松雪泰子
あらすじ
ある日、団長・如(ジョ)と月(ゲツ)が率いる漂泊の舞踊集団キサラギが、ある街へと流れ着く。
その中に、ひときわ異彩を放つ踊り子が・・・女の名は、翡翠(ヒスイ)。彼女の妖しい輝きに照らされて、浮かび上がる光と闇、愛憎渦巻く人間模様。
聖地に聳え立つ鐘楼堂「通圓」を舞台に、堂守・清比古(キヨヒコ)、その主人・帯刀(タテワキ)と若き親衛隊長・陽光(ハルミツ)ら、運命の歯車が回り出す。
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