株式会社ホリゾン(以下、ホリゾン社)との連携にて、キャラクターデザイン学科2年生の秋元咲来さんがラッピングデザインを担当した製本機器が国際展示会、「IGAS 2022 国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展」(以下、IGAS2022)にて展示されました。
ホリゾン社とともに、スマートファクトリーとして効率的な印刷製本の作業環境を考えるにあたって、業務用製本機器の外観イメージを刷新することに取り組んだ様子をレポートします。
新しい機器のあり方や、若い世代が働きたいと思える環境を目指して
印刷や製本の業界では、世代交代や人手不足により、若い世代が生き生きと働けるような環境が求められています。今回、ホリゾン社より、「IGAS2022に出展する製本システムを通じて、若い世代に印刷や製本の現場を知っていただくとともに、スマートファクトリーとしての新しい機器のあり方や若い世代が働きたいと思える環境を提案したいと考えている」と、本学とのコラボレーションのきっかけをいただきました。業務用の製本機器をキャンバスに見立ててデザインする、大変貴重な機会です。
作業環境をデザインで華やかに
省人化だけでなく、印刷製本の作業環境を華やかな印象に変えたいというホリゾン社の提案に対し、参加学生からは、印刷機器に使用する紙をモチーフにした「紙飛行機」、ホリゾン社本社のびわこ工場の目前にひろがる琵琶湖に現れた「龍」、日本の文化を海外に伝えることを目指した「同人誌文化」、「ゲームセンター」、「花札」など、多種多様なアイデアが生まれました。その生まれたアイデアをより具体的にするべく、ホリゾン社でブランドや製品デザインを手掛ける剣持様、藤原様からはデザイン目線、ビジネス目線からの丁寧なフィードバックをいただきました。いずれも魅力的なデザイン。ホリゾン社内での会議でも甲乙つけがたかったと伺いましたが、最終的には、IGAS2022は海外からの来場者も多いことから、浮世絵の「葛飾北斎 富岳三十六景」と「喜多川歌麿 当時三美人」をモチーフにコミカルにアレンジした秋元咲来さんのデザイン案『UKIYOE-DYNAMIC』が最優秀賞に選出され、実際にラッピングに採用されることになりました。
そして、IGAS2022を前にデザイン発表式典が執り行われ、ホリゾン社常務の堀様から最優秀賞の表彰を受けました。
アートが彩る、ロボットが稼働する、近未来のSmart Factoryへ
印刷産業 世界最大コラボSmart Factory Zoneで“ART×TECH”のコラボレーションが実現。人の心を動かすアートと最先端テクノロジーが融合した新しい可能性を華やかに披露したこの空間で、ホリゾン社と京都芸術大学が取り組んだデザインラッピングされた製本機器が登場しました。近未来の製本機器「ロボット投入無線綴じシステム」。アートな製本機器とかわいいロボットが未来のSmart Factoryを明るい現場に演出していました。一般来場のお客様だけではなく、海外から来場のお客様や他社デザイナーの方からも評判が良かったと聞いています。企画概要やメイキングの様子をお伝えするPRESS TIMEの際には、多くの人に聞いていただくことができました。
ART & TECH - Horizon
最後に、本取り組みの担当者からのコメントを掲載いたします。
株式会社ホリゾン ブランドデザイン課セクションマネージャー 剣持真様
今回の活動で「リアルなデザインの力」を再認識いたしました。活動スタート時は、コロナ禍や短期間ということもあり実際の製本機器体験などは行えず、画面を通じて皆さんに機器の大きさや現場を想像してもらいながらデザインを検討していただきました。いずれも魅力的なデザインでしたが、今回は秋元咲来さんの『UKIYOE-DYNAMIC』を選出。1か月後にラッピングされた製本機器を見た瞬間、画面上でデザインを何度も見ていた私たちも「ワォ」と笑顔に。そして、IGAS2022では国内外のたくさんの来場者が足を止めて笑顔になられていたのが印象的でした。リアルなものには人を感動させる力がありますね。素敵なデザインをありがとうございました。
株式会社ホリゾン ブランドデザイン課ユニットリーダー 藤原麻衣様
芸大生と「製本」はZINEやポートフォリオなどで関わりがありますが、本を作る業務用機器の「製本機」は馴染みがないものだと思い、最初は興味を持ってもらえるだろうかと心配でした。しかし、キャラクターデザイン学科の皆様は製本機をキャンバスに自由にアイデアを膨らませ、私たちには思い浮かばないような斬新な提案で弊社の製品をかっこよくしていただき、感動いたしました。卒業生として本プロジェクトに携われたことを大変嬉しく思います。
キャラクターデザイン学科 秋元咲来さん
クリエイターには無くてはならない印刷業界に今回こうして関わることができ、学生のうちからこうして貴重な機会を与えてくださったことに、本当に感謝でいっぱいです。会場で見た実物はやはり他の企業とは全く異なった新しさがありました。
今回のラッピングデザインが、印刷業界の若い人が楽しく働けるような環境づくりに少しでも貢献できたら嬉しいです。
キャラクターデザイン学科 石鍋大輔准教授
当初、BtoB向け業務用機器のラッピングデザインの依頼に、ひょっとするとキャラクターデザインの新たな可能性が生まれるのではないかと感じておりました。案の定、上がってきたアイデアあふれるビジュアルはとてもチャーミングなものが多く、Smart Factoryの未来を表すものばかりでした。
今回はホリゾンのみなさまの大きな懐のもとで、学生たちが自由にのびのびデザインさせていただきました。また学生たちにとって学外の大人たちとアイデア出しや打ち合わせなどのプロセスを学ぶ機会にもなりました。このような機会をいただいたことに改めて感謝申し上げます。
業務用の製本機器をキャンバスに見立てた今回のプロジェクト。アートが彩る、ロボットが稼働する、近未来のSmart Factoryが垣間見えました。
今回のIGAS2022での展示が大変好評だったため、2023年2月に東京 池袋サンシャインシティで開催される展示会page2023にて再度、展示されることになりました。その後、2023年夏ごろまで、株式会社ホリゾン 本社びわこ工場・ショールーム Horizon Innovation Park(滋賀県高島市)にて、デザインラッピングされた製本機器、今回の取り組みの概要が掲載されたパネルが展示される予定です。
(参考)
IGAS2022
https://www.igas-tokyo.jp/2022/f4/
page2023
https://page.jagat.or.jp/
株式会社ホリゾン
https://www.horizon.co.jp/
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