REPORT2021.12.03

日本全国、海外で活躍する卒業生たちと「つなぐ」。― 京都芸術大学ホームカミングデー2021 オンラインで開催!

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  • 京都芸術大学 広報課

10月30日(土)京都芸術大学30周年記念事業とホームカミングデーが開催されました。今年度は京都芸術大学ホームカミングデー史上初のオンラインでの開催。お越しいただくことができないからこそ、瓜生山キャンパスの今昔をご覧いただけるようにキャンパスツアーの動画を制作するなど、卒業生のみなさまをお迎えする準備をしました。

 

 

 

そして当日。オンラインだから、京都にいなくても、日本中どこにいても、もちろん世界中からでも、遠方で集まるのが難しい卒業生とつながることに。なんと、日本、アジアだけでなくカナダやフランスはパリからも参加してくれた卒業生がいました。

 


京都芸術大学30周年記念事業

まず初めに行われた京都芸術大学30周年記念事業。前日から池坊次期家元 池坊専好氏に舞台花「弥栄」を活けていただき、その舞台花を背景に、京舞井上流五世家元 井上八千代氏による祝舞「老松」から厳かに始まりました。

 

京舞井上流五世家元 井上八千代氏による祝舞
舞台花「弥栄」を活ける池坊次期家元 池坊専好氏(撮影:中山博喜)


続いての裏千家15代前家元 千玄室氏による「伝統と文化」と題した基調講演では、徳山詳直前理事長との出会いから京都芸術大学の成り立や今年開場20周年を迎えた「春秋座」、戦争での経験、そして感謝することなどについて、貴重なお話を賜りました。

 

裏千家15代前家元 千玄室氏による基調講演


そして京都芸術大学30周年記念事業の最後は、徳山豊理事長のご挨拶で締めくくられました。
「1977年に短期大学をスタートした時には、学生、教員、職員が一つになって一緒に汗をかき一つひとつ積み上げて、校舎や教室を作り授業を作ってきた。このことを振り返り、決して原点を忘れることなく、またこの学園が寄って立つ精神を忘れることなく、しっかりと理念に根を生やし、これからも学生と共に成長しつづけ卒業生と共に良い学校にするために精進していきたい」。
開学当初を経験していない卒業生、教職員も当時の様子を感じると共に、建学の理念を振り返る機会となりました。

 

徳山豊理事長によるご挨拶


ホームカミングデー式典

ホームカミングデー式典は、吉川左紀子学長のご挨拶から始まり松陰芸術賞と瓜生山学園賞の受賞式が行われました。司会進行は舞台芸術学科1期生の井川茉代さん。明快で爽やかな語り口は聞きほれるほどでした。

 

吉川左紀子学長のご挨拶
司会の舞台芸術学科1期生 井川茉代さん


松陰芸術賞を受賞された大和美緒さんは、学生時代の自身のことや教員からの指導のこと、また周りの方への感謝の言葉を述べられました。「いい作品があなたを遠くに連れて行ってくれる。だから作品の力を信じて頑張りなさい」と、卒業の際に先生がかけてくださった言葉が大和さんを支えてくれていると語りました。

 

松陰芸術賞を受賞された大和美緒さん(2014年度 大学院修士課程 総合造形領域修了)


瓜生山学園賞を受賞された山下賢太さんは鹿児島県の甑島(こしきじま)からオンラインでご出席されました。大学時代は環境デザイン学科の地域デザインコースで学んできた山下さん。山下さんの活動の原点は甑島の港の公安工事がきっかけだったとか。小さな集落にこそこれからの日本の未来があるという想いを抱きながら、芸術の社会実装を目指して、鹿児島の小さな集落で会社を立ち上げ、活動を続けてこられました。
 

2021年度「松陰芸術賞および瓜生山学園賞」受賞者発表
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/893

 

 

甑島からオンラインで出席された山下賢太さん
山下賢太さん(2008年度 環境デザイン学科 地域デザインコース卒業)
 
瓜生山学園賞の記念品を制作された野口琢郎さん

そして瓜生山学園賞の記念品を制作された本学3期生で美術科 洋画コースを卒業された、箔画作家の野口琢郎さんが、自己紹介と「箔画」や制作された記念品の説明をしてくださいました。海と空が描かれた山下さんに贈られる箔画のタイトルは、甑島で活動されている山下さんに因んで「KOSHIKI」だそう。後日、山下さんのもとへ贈られます。

 

オーブ特設スタジオから“つなぐ”

ホームカミングデーYouTubeメインチャンネルは、ホームカミングデー式典の司会もしてくれた舞台芸術学科1期生の井川茉代さんとアドミッションオフィスの木原考晃さんによる、息の合った司会で展開していきました。

まずは名物教員の先生方による特別講義の紹介。講義が始まる前に中原史雄先生や椿昇先生、佐藤淳先生とお一人おひとりに講義内容をお伺いしました。中原先生は「何を言い出すかはわかりませんが、とにかく絵を描くのはおもしろい、という話をしますよ」と笑いを誘い、そのあとすぐに講義に入っていただきました。

 

特別講義:中原史雄「キャンバスの中は、あなた一人の宇宙空間」
「一人でも多くの卒業生に元気を与えたい。誰に気兼ねなく、思うままにキャンバスに描く、贅沢な自分だけの空間と時間。ぜひ、その素晴らしさを共有したい。短大で650人、大学と大学院で350人、通信の大学と大学院で750人、40年の間洋画コースで多くの学生と向き合ってきた私が、絵筆から遠ざかっている卒業生を中心に改めて語ります。どうすれば再び描くリズムを取り戻し、人生を豊かに出来るか。賞味期限の切れた頭を精いっぱい使い、その奥義を伝えます」

 

 

特別講義:椿昇「シェアリング・エコノミー時代の作法とは-交換価値から体験価値へ移行するマネタイズ環境-」
「コロナまっただなかでまだ明かりが見えないなか奮闘される卒業生のみなさん。時代の急変を予感するように私は京都芸術大学でさまざま試みを行っています。特にアートと呼ばれる世界で次世代を担う若い卒業生たちとともに、新たな市場を創造中です。例えるならアプリケーション開発と同時にOSの更新にも働きかける。国や社会のせいにせず個人として何が出来るかという意味でみなさんにも参考になると思います」。

 

 

特別講義:佐藤淳「明治3年京都に誕生した活字版印刷所の背景」
「卒業して9カ月のゼミ生から届いた年賀状には「先生に教わったことの8割は役に立ちません」とありました。卒業してから5年、10年経った卒業生からもらった便りには「今でも先生に教わったことを大切にして働いています」と書かれていました。じわじわと漢方薬のように効いてくるのがタイポグラフィの学問なのです。皆さんに「視覚伝達の小説家」となってほしいと思います」。

 

 

特別講義:松井利夫「こども芸術の村、そして村のこれから」(アーカイブなし)

松井利夫先生(大学HPプロフィールより)

東日本大震災のあと、松井利夫先生の立ち上げた「こども芸術の村」プロジェクトは、東北各地でさまざまな活動を行ってきました。それは、こども芸術教育にとどまらず、芸術そのものの新たな可能性を開くものでもありました。本講義では、松井先生に加えて、各地でこども芸術教育を実践する卒業生たちの活動も紹介しつつ、これからの芸術教育のありかたや、またそれに携わる卒業生たちの連携の可能性について語り合います。

 

“たゆたう”響きとダンスライブ

ホームカミングデーのダンスライブでは、映像・舞台芸術学科の卒業生であるきたまりさんが、楽心荘の空気を感じとって即興でダンスをご披露くださいました。そして情報デザイン学科 卒業生のにしもとひろこさんとイガキアキコさんのユニット「たゆたう」が、きたまりさんのダンスにあわせて生演奏!日常の中の“ひかり”を歌う「たゆたう」の音楽ときたまりさんのダンスは、まさに楽心荘にただよう空気に溶け込み、とても素敵なコラボレーションが生まれました。

 

 

特別講義お疲れさまでした!

YouTubeメインチャンネル特設スタジオでは、椿昇先生と松井利夫先生の特別講義を少し拝見しました。司会の井川さんは松井先生が大好きだそうで、「私の芸術の観念をつくったのは松井先生なんですよ!」と初めて松井先生の授業を受けた時のメモを取り出して思い出を語ってくれました。松井先生といえばタコツボ。松井先生のファンを自称する井川さんは、なんと!ご飯が炊ける小さいタコツボを買ったそうですよ。

また、特別講義を終えた椿先生と佐藤先生、松井先生にはオンラインの講義の感想を伺いました。オンライン開催でのホームカミングデーについて、椿先生はショパンコンクールのオンライン配信を例にリアルタイムでつながるオンラインの素晴らしさと、どう活用していくかを問いました。松井先生は、「俺は(オンラインでのつながりについて)結構好きですよ。だってお茶を飲みながらとか、別のことをしながらでもオンラインってできちゃうよね。そういう自由にできるのがいいなと思うし、自分の居る場所をみんなに見せることもできるし。学校のキャンパスなんかもう要らないんじゃないの?美味しい学食とギャラリーと、そういった場所は欲しいな」と。松井先生の自由な発言にスタジオが笑いに包まれました。

 

特別講義後の先生と特設スタジオを“つなぐ”

 

イベントの合間には司会の木原さんと井川さんから、マンデイプロジェクトなど今の大学で名物となっている授業や卒業生の活躍のご紹介がありました。

短大卒業生の益田ミリさん原作で雑誌『anan』に長期連載中の『僕の姉ちゃん』が、本学出身 黒木華さん主演でドラマ化(2022年にテレビ放映)されるお知らせや、現在カナダでアート活動をされている空間演出デザイン学科卒業の田辺敦子さんからは、フォトグラファーのパートナーさんと特大スケールのコンセプチュアル写真プロジェクトに取り組んでおり、今後日本でも活動予定です、とメッセージが寄せられました。また、博士課程を修了された篠原涼子さんからは洋画コースでの同級生である山岡明日香さんとパリのギャラリーで二人展をすると近況報告がありました。

 

宮永愛子さんゲスト登場!
そしてホームカミング・パーティーとポットラック・パーティーは?

ホームカミングYoutubeチャンネルには、現代美術家の宮永愛子さんがゲストで登場してくださいました。今とは違う当時の学生時代のお話や作家活動のお話など貴重なお話が伺えました。「自分の中にあるものを知らないと作品は作れない」と先生に教えられたことが今の作品づくりに生かされていると語ってくださいました。

ホームカミング・パーティーは、学科やコース毎にWeb会議システムZoomのミーティングルームを用いてオンライン上の同窓会を開きました。ポットラック・パーティーは、その名のとおり「持ち寄り」企画で開催するオンライン上の同窓会で、クラブ・サークルや、同窓会支部ごとなど、卒業生からの企画で開催されました。

ホームカミング・パーティーでは、和太鼓教育センターや文芸表現学科に途中参加させていただき、YouTubeでその様子をご紹介しました。和太鼓のホームカミング・パーティーはリアルでも卒業生が現役学生と一緒に太鼓の練習に参加。その後、オンラインでみんながつながりました。文芸表現学科は新元先生がニューヨークから参加してくださるなど退職された先生方をお呼びしたり、1期生から最近の卒業生までと幅広い参加がありアットホームな時間となりました。

 

芸術館の展覧会を突撃リポート

京都芸術大学ギャルリ・オーブ2階にある博物館「芸術館」にて催されていた秋季特別展「推し世絵 〜ニッポン画×浮世絵プロジェクト〜」を、司会の井川さんが突撃リポート。日本画コース卒業で現在は本学で教員をされているニッポン画家・山本太郎先生に展覧会の解説をしていただきました。

 

秋季特別展「推し世絵 〜ニッポン画×浮世絵プロジェクト〜」会場(撮影:広報課)

 

新型コロナウィルスの感染拡大で2020年度は中止されたホームカミングデー。今年度は完全オンラインでの開催となりましたが、遠方で集まるのが難しい方や海外で活躍する卒業生のみなさんとつながることができ、教職員にとっても嬉しい1日となりました。閉会式では瓜生山同窓会会長の冨家裕久さんから「来年はオンラインの良いところと、みなさんと顔を合わせるハイブリッドなホームカミングデーを開催できたらいいですね」とご挨拶がありました。その言葉のとおり、来年は卒業生のみなさんと対面でお会いできるのを楽しみにしております!

 

(撮影:顧剣亨)

 

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