INTERVIEW2020.07.27

京都教育

通信で芸術を学ぶということ ― 「学び重ねたい」すべての人に開かれた芸術大学でありたい

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  • 京都芸術大学 広報課

会社員、主婦、定年後など、あらゆる立場や職業の人々が、北海道から沖縄、そして海外まで、住む地域を超えて集う、京都芸術大学 通信教育部 芸術学部。その在籍者数は7,000名を越え、日本では最大級の通信教育課程となっています。

今回は、通信教育部長の上田篤先生に「社会人の学び」について、本学の教育基盤や他のスクールとの違い、そして社会人が学び続けるために大切なことなどの話を伺いました。

上田篤(教授・通信教育部長)

 

 いま、「社会人の学び」が注目されているようですね?

そうですね。人生百年といわれる時代を迎え、文部科学省も社会人の「学び直し」を推奨しています。ただ、本学の考え方が少し違うのは、社会人の皆さんがこれまでの社会生活で得てきた知識や経験も、貴重なキャリアだということ。その上に「学び重ねる」ことで、新たな発見、目標、成長が生まれてくる。私たちは、その「学び重ねる」ための場や環境を提供していきたいと考えています。

 

 その場が、芸術大学である理由は?

長い間、芸術は「限られた人のもの」だと思われてきました。でも、そうではありません。「芸(藝)」という字には「植える」という意味があります。つまり、「豊かな人生を送るための知識やスキルを植えつける」ことこそが、芸術本来の役割。そこに立ち返って、より多くの人に開かれた芸術をめざすことが、今から20年前にこの通信教育部がつくられた理由なのです。


 

 世の中の人々もそれを求めていたと?

開設とともに、受け入れる側の私たちをあわてさせるほど、多数の出願が寄せられました。いま現在も全国から出願者が集まってきます。それが何よりの証拠でしょうね。「退職後に新たな目標が欲しい」とか、「現役でキャリアアップをめざしている」とか、もっと身近な「日々の充実や、芸術とともにある暮らしを得たい」とか、具体的なニーズは多種多様です。そのすべてに応えることが、私たちの使命なのだと感じています。

 

通信教育だからこそ、質の高い学びにこだわる
 

 社会人が学びやすいから、通信教育なのですか?

もちろん学びやすさは大切です。ただ、そもそも「芸術」と「通信」は相性がいいんです。芸術に必要なのは、じっくり自分と向き合う時間。この通信教育では、学びの2/3以上を自宅学習が占めます。もちろん対面授業やwebのサポートもありますが、中心は自分に問いかけながらの作業。そのなかで何かに気づく。芸術こそ、通信にふさわしい学びなのです。 

 

 他のスクールや公開講座との差はどんなところですか?

確かに、ちょっとしたスキルや知識なら、そうした場でも教われます。私たちが提供するのは、自己実現を達成するため、しっかり体系立てられた学びのカリキュラム。コースや学科の専門性に加え、考え方や創造力まで養えるのは、大学ならではのことです。

 

 カリキュラムはどのように決めるのですか?

学生や教員など、現場の声をもとに、毎年見直しと改善を重ねています。現在は、ほぼすべての対面授業が土日2日間完結に。そのぶん事前の予習内容を工夫して、学びやすくなっても質の高さは保てるようにしています。

また、通信教育の要となる「添削」についても、圧倒的に他より手厚い自信があります。これは言葉で語るより、ぜひ実際の添削例を見てほしい。私はいつも説明会でお見せしていますが、ひとりひとりの学生の、ひとつひとつの課題に対する真摯な眼差し。これは、通信教育部の専任教員が30名以上いるという量的な理由だけでなく、その先生方が通信教育という「新しい学び」に誇りをもっているからだと感じます。

日本画コースの「風景画(水干絵具、岩絵具での制作)」の添削例。作品への赤入れと文章での添削指導。

 

洋画コースの添削例。このようにびっしりと書かれた添削とともに作品が返却される。

 

レポート課題の添削例。S・A・B・C・Dや点数などの評価だけではなく、一人ひとり丁寧な添削指導がなされる。

 

デザイン系の課題の添削例。

 

こちらは見本ですが、空間演出演出デザインコースの「二次元ドリル」の添削例。20ほどの提出作品すべてに添削指導がなされている。「よくできました」などの捺印も。

 

学生の主体的な交流や活動が、「社会人×芸術」を広げていく
 

 通信教育なのに、学生や先生との交流が深いようですね?

「なのに」ではなく、通信教育「だからこそ」とも言えます。多地域・多世代、まるで違う分野の人々がいっしょに学ぶことも、本学ならではの魅力ですが、芸術という共通の志が他にない絆を生んでいるようです。コースや学科ごと、あるいは、在学生や卒業生、通信や通学といった垣根すら越えて、さまざまなコミュニティが学生たちによって育まれている。私たち教員は、ほぼ見守るだけですが、非常に楽しみにしています。

 

 今年ご入学された皆さんの状況は?

この春の入学者は、通信教育部4学科14コース合計で1,792名となりました。京都芸術大学と名称を新たにした2020年度の通信教育部ですが、新型コロナウイルスの猛威によって入学希望者の皆さんと対面でお会いする機会も限られながらも、ほぼ昨年と同数の入学生をお迎えすることができました。

多地域多世代、日本全国、時には海外から、芸術を学ぼうとする10代から90代までの学生が集う通信教育部にとって非常に困難な社会状況であったにもかかわらず、これだけ多くの方から放たれた「芸術を学びたい」という意志をしっかりと受け止め、これまで築き上げてきた社会人が生涯に渡り芸術を学びたい時に学び自分を更新し続けられるプラットフォームをより充実したものにすべく、新しい歩を進めていきたいと思います。

 

 社会人が学びつづけるために必要なことは?

私たちが学生として迎える皆さんは、社会でさまざまな経験を積んでこられた方々です。「教育」というより「いっしょに学びたい」というのが素直な気持ちです。ただ一方、社会人として生活するなかで、いつの間にか失いかけた想いもあるでしょう。「もっと知りたい」「もっと学びたい」。そんな純粋な夢や目標に「気づく」きっかけをつくるのが、私たちの役目です。本学でその気づきを得て、「一生、芸術を学びつづける」意識を持った方は、卒業までに大変身を遂げていきます。さらに卒業後、皆さんの変化や絆が、どんな展開をもたらしていくのか。期待は尽きません。ぜひ、私たちといっしょに学び、新しい世界を楽しんでみませんか。


動画教材「通信教育部での学び」。2017年公開のため、旧名称となっています。


上田篤(教授・通信教育部長)

 


// 京都芸術大学 通信教育部 芸術学部とは
会社員、主婦、定年後など、あらゆる立場や職業の人々が、北海道から沖縄、そして海外まで、住む地域を超えて集う、日本で初めての4年制の通信制芸術大学です。社会人にとって学びやすい通信学習専用のWebサイトを整備し、時間や場所を選ばずに学ぶことができる仕組みを整えています。

京都芸術大学 通信教育部 芸術学部
学科編成:4学科14コース(芸術教養学科、芸術学科、美術科、デザイン科)
在籍者数:7,430名
※通信教育部芸術学部 正科生、2019年5月現在
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/

 

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