SPECIAL TOPIC2025.10.16

教育

2026年4月新設の「音楽コース」記者発表会レポート! 完全オンラインで楽器が弾けなくても楽譜が読めなくても未経験から学べる新時代の教育プログラム

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  • 上村 裕香

2026年4月、完全オンラインで音楽を学ぶことができる芸術学士課程「音楽コース」(正式名称:通信教育部芸術学部文化コンテンツ創造学科音楽コース)を新設します。

音楽コース特設サイト

京都芸術大学通信教育部では、デジタルテクノロジーの急速な進化を背景に、キャンパスに通わず、好きな時に好きな場所で創作を学ぶことができる芸術学士課程として、イラストレーション、書画、映像、食文化デザイン、文芸、グラフィックデザインなどのさまざまな芸術分野で完全オンラインで学べる専門教育課程を開設してきました。

音楽コースは、DTM(デスクトップミュージック)による音楽制作やストリーミング配信が音楽産業の中心を担う現代に対応した完全オンラインによる学士課程です。

楽器が弾けなくても、楽譜が読めなくても、DTMによって音楽を創りながら制作技術や理論を1から学ぶことができ、プロの音楽家を志す方はもちろん、生涯にわたり音楽制作を続けたい方にも、幅広く学びの門戸が開かれた柔軟なカリキュラム設計が魅力です。

また、最新の音楽シーンを反映した教育を実現するため、オリコンのヒットチャート・ベスト20内の楽曲を1000曲以上生み出した株式会社フジパシフィックミュージックと提携。

第一線で活躍するアーティストやプロデューサーによる指導を受けることができます。

瓜生通信では、音楽コースの講師でありグラミー賞受賞作曲家・宅見将典が、2025年5月に京都で開催された国際的な音楽共同制作イベント「CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT” Global Co-writing Camp - SONG BRIDGE 2025 -(通称:コライト・キャンプ)」に参加した際のインタビュー記事も公開中です。

記事の中では、平安神宮などの特殊な環境で海外アーティストと楽曲制作を行う楽しさを語ってくださいました。

イベントの記事はこちら▼
音楽が交差する場所で — 作曲家・宅見将典さんインタビュー(MUSIC WAY PROJECT コライト・キャンプ)


完全オンラインで学ぶ新時代の音楽教育

2025年7月12日に開催された記者発表はフジテレビ系音楽情報番組「Tune」の連動イベント「X’SWAY Fes 2025」の会場で行われ、学長の佐藤卓をはじめ、准教授のエガワヒロシ、講師の工藤大輝(Da-iCE)、SWAY(DOBERMAN INFINITY)、Night Tempo、松隈ケンタ、宅見将典、三宅彰、司会進行としてクリス・ペプラーが登壇しました。

佐藤卓学長は開会の挨拶で「音楽コースの開設は本学の念願でもありますし、わたし個人としても大変うれしく、期待をしております。わたしは学生時代、ロックバンドの活動に参加し、週に一回ライブハウスに出るような生活をしていました。デザイナーの道よりも音楽の道を選ぼうかと悩んだ時期もあったくらい、音楽の世界は大好きです。学生時代の音楽の経験が、デザイナーとしてテレビ番組や展覧会の制作に携わる中で、ミュージシャンの方々と協働する際に役に立っていると感じます。音楽コースのことを『音楽と共に生きていくための選択肢のひとつ』として知っていただけたらと思います」と学生時代を回顧し、会場の参加者に呼びかけました。


現役アーティストが語るコースの魅力

つづいて、准教授のエガワヒロシが音楽コースのコンセプトについて「音楽力、音楽で社会とつながる力を育む。作る経験を繰り返しながら、音楽を一から学んでいき、その音楽を活用して人や地域をつなぎ、社会を変えていく力を育む」と説明しました。

コース全体を通した特徴は、大きく分けると次の4点です。

 

1、初心者でも経験者でも、体系的にDTM(デスクトップミュージック)による音楽制作を学ぶ

DTMによる音楽制作を軸として、専門的な知識のない初心者でも、テクノロジーを最大限に活用した音楽制作の手法を学べます。もちろん経験のあるクリエイターも、最新の制作テクニック、アイデア、表現力をさらに磨くことが可能。制作のプロセスを通じて、つくりながら音楽理論を学べるのも大きな特長です。基礎から高度な専門知識・表現技術まで、段階的に学んでいきます。

 

2、作るだけでなく、音楽の届け方や活かし方まで学ぶ

音楽を世界に発信するための方法(デジタル配信、SNS、MVなど)をはじめ、音楽と空間・生活・社会との関わり、音楽の役割や可能性など、音楽でモノやコトをデザインする思考を修得。自らの音楽で「社会とつながる方法」を体得します。

 

3、いつでもどこでも完全オンラインで学士(芸術)を目指せる

学習用Webサイト「airU(エアー・ユー)」を活用して、時間や場所を選ばず、学ぶことができる環境を整えています。動画教材を活用したオンデマンドでのスクーリングやテレビ会議システム(Zoom等)を用いたリアルタイムでのスクーリングなど、通学不要なスクーリングも充実。オンラインの受講のみで卒業を目指すことができます。

 

4、現役クリエイターが多数登場し、専門的な技術を伝える動画教材を提供

シンガーソングライター、プロデューサー、作詞作曲家、編曲家、トラックメイカーなど、音楽に関する幅広い分野の専門家が講師として集結。音楽や映像の大手企業がプロデュースする完全オリジナル動画教材により、初心者も経験者も、いちから「楽しく」そして「深く」学べます。

講師陣の詳細はこちらをご確認ください▼
音楽コース特設サイト


基礎から社会発信までを学ぶ体系的なカリキュラム

エガワヒロシはカリキュラムについて、4つのステップごとに説明し「本コースは必ずや日本の音楽文化に貢献できるものと思っております」と今後の展望を語りました。

エガワヒロシ:当コースでは4つのステップを設けております。ステップ1は、1年時に学ぶ『音楽入門』や『作曲入門』などで、音楽表現に必要な基礎的な知識や技術を学びます。

ステップ2では、ステップ1で身につけた基礎的な知識や思考をもとに、『作曲』や『編曲』などの講義で本格的な制作に取り組みます。

ステップ3では、これまでに制作してきた音楽を社会に届けるための発想力や思考力を養います。『デジタルマーケティング』や『音楽でデザインする』といった講義を通して、音楽を使ってなにができるのか? どんなことが表現できるのか? について、幅広い視点で学び、表現を社会に生かす思考力を身につけます。

そして、ステップ4では、『卒業制作』と卒業制作についての『プレゼンテーション』に取り組んでいただきます。これまでの学びの集大成として、音楽作品を制作し、その音楽を社会に届け、音楽で社会においてどのような価値や変化を生み出せるのか考えます。

音楽コースの詳細はこちらをご確認ください▼
通信教育課程の音楽コースページ


豪華講師陣が語る音楽教育への想い

発表会の後半では、工藤大輝(Da-iCE)、SWAY(DOBERMAN INFINITY)、Night Tempo、松隈ケンタ、宅見将典、三宅彰の6名の講師陣が登壇し、それぞれに意気込みを述べました。

 

工藤大輝:学生のみなさんの創作活動のヒントになるようなことをお伝えできたら、作詞家冥利に尽きるのかなと思っています。音楽業界の未来に貢献できるように、自分も楽しみながらがんばりたいと思います。

 

SWAY:ヒップホップやラップはそれぞれの個性が出しやすい音楽ジャンルだと思っています。20年以上、ヒップホップやラップをやってきた経験を活かして、学生のみなさんに少しでもわかりやすく知識や制作についてお伝えし、そしてみなさんの個性を引き出せるような授業をしていきたいです。

 

宅見将典:素晴らしい講師のみなさんとご一緒できることをとても光栄に思います。ぼくは以前、音楽大学に通っていたころに『大学に自分が求めるもの』と『大学が提供する学び』がすれ違った経験があります。講師を務める本コースでは、学生のみなさんの学びたいこと、ニーズを受け取り、それに応えることを意識して、世界で活躍する音楽家を育てていきたいと思っています。

 

Night Tempo:まだまだ未熟ながらも、ライブ現場や音楽制作で得た経験を学生のみなさんにお話しできればと思います。よろしくお願いします。

 

松隈ケンタ:現代は『音楽もすべてAIで制作できる』と言われる時代ですが、長年、音楽を作ってきたクリエイターとして、負けるわけにはいかないと思っています。音楽コースに集まった音楽シーンの最前線で実績のある錚々たる講師陣と共に、『人間が作るからこそ価値のある音楽芸術作品』を制作できる人材を育てていきたいです。

 

三宅彰:ぼくが考える音楽の起源について話します。石器時代、狩猟生活の時代です。ある夜、狩猟を終えて帰ってきたみんなの前で、ある男が面白いことをはじめました。みんな喜び『毎日やってくれ』と言い、男は毎日歌いましたが、男も狩猟生活をして忙しいので、次第に歌うことがなくなってしまいました。そこでみんなは男に『もう狩猟をしなくていいから、毎日おれたちの為に面白いことをしてくれ』と頼み、そこから音楽、芸能プロが生まれ、今日まで我々はその喜びのための義務と責任をプロとして負っています。そんな授業をしていきたいです。


業界最前線の知識を学生に還元

その後は、質疑応答に移り、工藤大輝、SWAYが代表して事前に寄せられた質問に回答しました。

ひとつ目の質問は、授業内での実践について。

音楽コースは完全オンラインで、実践型の教育を行います。授業内で学生にどのような実践的な指導を行うのかについて、工藤とSWAYが回答しました。

 

工藤大輝:ぼくは作詞についての講義を担当します。実際に学生さんの作品を拝見し、これまでにぼくが制作をしてきた経験を活かして『こうしたほうがよりよくなるよ』ということをその都度伝えていきたいと思っています。

 

SWAY:ぼくも工藤さんと同じ『作詞』の講義を担当しますが、ラップを元にした作詞を担当するので、やり方は違ってくると思います。ラップをしながら、それぞれの学生さんが持っている性格や個性、思いをラップに変換し、歌詞に変える方法を、学生のみなさんと実践していきたいと思っています。授業の中では、実際にビートをかけて、ぼく自身も参加し、みんなでそれぞれラップやリリック(歌詞)を持ち寄って、マイクリレーをしていく中で、即興で歌詞を生み出していくような授業をしたいと思っています。

 

2つ目の質問は、工藤に対して「工藤さんはDa-iCEの楽曲をはじめ、様々なアーティストの方々に楽曲提供されてきました。講師として、これまでの経験を踏まえてご指導されると思いますが、それぞれの特色に合った楽曲提供をされるにあたって、意識していることを教えてください」という、音楽業界の第一線で活躍する工藤の考え方を深掘りする質問でした。

 

工藤大輝:ぼくはDa-iCEのメンバーとして作詞だけでなくプレイヤーもやっているので、楽曲提供するにあたっては、その楽曲がリリースされた後の展開について気にしています。楽曲がリリースされた後、ライブでどう展開されるか、ファンの方とどのように育てていくのか、といった、リリース後の未来のことを考えて作っていくことを意識しています。

 

質疑応答を終え、記者発表は終了しました。音楽に対する深い愛情と、音楽を学びたい次世代に対する想いの感じられる、暖かな雰囲気の記者発表でした。登壇した講師陣が一人ひとり熱く語る姿が印象的で、「AIが発達する現代だからこそ、人の心に響く音楽の大切さを伝えたい」という気持ちが伝わってきました。


「入学資格は情熱です」講師陣の熱い意気込み

また、記者発表後、「X'SWAY Fes 2025」においても、ハシヤスメ・アツコが司会進行を務め、エガワヒロシ、SWAY、工藤大輝が登壇し、講師としての意気込みやどんな方に入学してほしいかといった思いを語るイベントが行われました。

3人が登壇すると歓声が上がり、ハシヤスメ・アツコの「SWAYさん、講師をされるんですね」という問いかけに、SWAYは「ぼくも驚いています」と笑いながらも、「これまで音楽を作ってきた経験が、これから音楽を作りたい方々の役に立つならば、すべて捧げようという気持ちでやらせてもらいます」と熱い意気込みを述べました。

エガワヒロシは音楽コースの特徴について説明し、「入学資格は情熱です」と、未経験者でも体系的にDTMを学ぶことができることを強調しました。

エガワヒロシに「音楽業界の第一線で活躍する、イケてる講師陣」のひとりとして紹介された工藤大輝は「そんな風に紹介していただいて恐縮です」と話しつつ、音楽コースで講師を務めることについて「ぼく自身、高校時代から音楽制作に携わるようになりました。音楽をはじめたころとは、作り方も変わってきていると思うので、ぼくの知識を学生のみなさんにしっかりと伝えながら、逆にぼくも学生の方々のフレッシュなアイディアを吸収していきたいなと思っています」と率直な思いを語りました。

最後に、講師の3人がそれぞれ、会場の参加者や視聴者に向けてのメッセージを述べました。

 

SWAYは「ぼくは音楽番組『Tune』というホームがあるので、才能があるなという学生が『Tune』でのイベントでオープニングアクトをやるようなことも実現できたらいいなと思っています。学生が社会で音楽を発表できるように導くことができたらうれしいです」とこれから実現したい野望を語り、工藤大輝は自身が作詞・作曲を独学ではじめたことに触れ、「音楽は自由なもので、正解も不正解もないと思うので、さまざまな入り口から音楽を作ってみたいという人が増えたら音楽業界がとても盛り上がると思っています。気軽な気持ちではじめてみてほしいです」とこれから音楽をはじめる方々にエールを送りました。

エガワヒロシが会場の参加者、そして全国の視聴者に向けて「新しい才能との出会いを待ってます!」と呼びかけると、大きな拍手が巻き起こりました。


音楽制作の新たなスタートライン

記者発表とイベントを通して、講師の方々の想いがみなさんにも伝わったのではないでしょうか。

「音楽は自由なもので、正解も不正解もない」という工藤大輝の言葉や、「自分の経験をすべて捧げようという気持ちでやらせてもらいます」というSWAYのメッセージは、音楽制作に一歩踏み出すことをためらっている人の背中を優しく押してくれるでしょう。

エガワヒロシの「楽器が弾けなくても、楽譜が読めなくても大丈夫」「入学資格は情熱です」という言葉からは、音楽に興味があるすべての人を受け入れる温かさが伝わってきました。
音楽をはじめてみたい、業界のトップランナーから音楽を学んでみたい、音楽で人生を豊かにしてみたいという方、新しいコースで全国の仲間とともに学んでみませんか?

興味を持った方は、ぜひ特設サイトを覗いてみてください▼
音楽コース特設サイト

また、京都芸術大学通信教育課程では、オンラインでの全体・コース別入学説明会を定期的に開催しています。音楽コースについての説明会についても、ウェブサイトでお知らせしますのでご確認ください。

通信教育課程サイトの説明会・相談会ページ

 

プロフィール

工藤大輝(Da-iCE)
5人組男性アーティスト「Da-iCE」のパフォーマー兼リーダー。作家としても作詞・作曲を手掛け、「Da-iCE」やその他アーティストへの提供も多数行う。作詞した『CITRUS』では「第63回日本レコード大賞」を受賞。作詞・作曲した『スターマイン』は「第64回日本レコード大賞 優秀作品賞」を受賞。作詞した『I wonder』では「第66回日本レコード大賞 優秀作品賞」を受賞した。

SWAY(DOBERMAN INFINITY)
2014年6月に結成された4MC+1Vocalの男性5人で構成されるグループ「DOBERMAN INFINITY」のメンバーとしてMCを担当。グループ以外にも「HONESTBOYZ®」にも参加、ソロとしても世界的HIP HOPレーベルのDef Jam Recordingsと契約、さらには俳優・モデル・デザイナーなど多岐に渡り活躍の場を広げている。

 

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  • 上村 裕香Yuuka Kamimura

    2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。

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