こども芸術大学では、認可保育園となる前から行われてきたワークショップ形式の「創作の時間」を保育園でも受け継ぎ、子育て講座として幼児クラス(3歳児、4歳児、5歳児)の親子を対象に開催しています。こども芸術大学の「創作の時間」は、芸術表現を通じて親子が対話を深め、また同時に想像すること、創造することの楽しさを体験する、そして子どもとお母さんが協力しあい、調和する心をゆっくりと育てることを目的としていました。
今回は大学院教授の松井利夫教授とゼミに所属する大学院生たちがワークショップを実施しました。
段ボールを使って自分だけのペットを作る
今回は段ボールで好きな動物を作成して、みんなで散歩をさせよう!という内容です。「段ボールのペット」はコロナ禍に中国でブームになり、ゼミに所属する中国や台湾出身の大学院生たちが提案してくれたそうです。
「動物が好きな人~?」と松井教授が聞くと、みんな手を元気に上げてくれました。作り方の簡単なレクチャーを受けて、早速親子で好きな動物づくりにチャレンジします。
「何を作ろうかな」「どんな動物が好き?」というお母さんやお父さんからの問いかけに、はじめは戸惑い気味だった子どもたちも、手を動かしだすと「こうしたい!」という活発な意見が出てくるようになりました。
大まかな形が作れたら、耳や角、しっぽなどのパーツを取り付けて完成に近づいてきました。中には作業が早く終わって友だちに作品を見せに行く子や、動物以外のパーツを作り始める子もいました。
全員の作品が出来上がったところで一列に並べ、学生が扮する「命の精」と「愛のかみさま」によって動物に命を吹き込む儀式が行われました。他の子が作った動物を見る機会にもなりましたね。手拍子で儀式に参加し、拍手でお互いの頑張りを称えあいました。
大人の“気づきの時間”
今回の創作の時間は、「段ボール」という素材と「動物を作る」というお題が決まっている上で、創作をするというものでした。参加した保護者の方は今日のワークショップを通じて、何を感じてどんな気づきがあったのでしょうか。お話のあった一部をご紹介します。
・亀みたいに前に突き出た首のリスを娘が作って学生さんに見せたら「すごくいいね!」って褒めてくれて心が暖かくなりました。
・うさぎだけでなく、リボンやニンジンも作っていました。アクセサリーやお化粧に興味がある子なので、装飾の部分にこだわりを持っているんだということがわかり、すごくいい気づきになりました。
・わたしも夫も創作活動というのが苦手ということもあって、夫は「今日が嫌だ」と言っていましたが、やりだすとすごく楽しくて。子どもが途中で飽きてしまいましたが、夫婦で最後まで作業ができて楽しかったです。
・周りの子がかわいい動物にすると言っていたら、じゃあ私もかわいいのと言っていて、この子はこんな感じで、周りの子に影響されて興味を持つんだということがわかりました。新たな一面を見せてもらえたなと思いました。
・二人で「これだったらできそう」って考えて形ができていく過程を楽しみながら作ることができたと思います。作品を家に持って帰ってほかの家族に見せたいです。
学生からも「自分では思いつかない発想で制作している姿を見て、凝り固まった固定概念が自分の中にはあるんだと気づいた」などの意見があり、子どもたちから与えられる新たな発見があったようです。
大人たちの「気づきの時間」の間、子どもたちは友だちと、そして先ほど作った自分だけのペットとともに瓜生山に散策へ行ってきました。友だちが作った作品を見て「かっこいいね」「かわいい」などの言葉が飛び交い、お互いの感性を刺激する機会になったのではないでしょうか。
一緒に創作活動をしたお母さんやお父さんも、色々なことを感じておられることがわかりました。親子で創作するという貴重な時間を通じて、子育てや子どもの教育において本当に大事なことにあらためて気づく機会となりました。
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