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亀岡ゆかりの芸術家の作品やアトリエの様子などを紹介する「かめおか霧の芸術祭 霧の芸術館2021」が、2022年1月15日(土)から30日(日)まで、京都府亀岡市内4つの会場で開催されました。かめおか霧の芸術祭実行委員会と亀岡市が主催するもので、かめおか霧の芸術祭の総合プロデューサーを本学教員の松井利夫先生が務めており、卒業生や在学生の皆さんも当日の運営などに携わっていました。
周囲を山に囲まれ、田園風景が広がり、自然豊かな環境の京都府亀岡市。亀岡といえば霧。「丹波霧」と呼ばれる亀岡盆地を覆う濃霧が有名で「かめおか霧の芸術祭」は、この霧を象徴に亀岡市一帯でアートを耕し、人と地域の魅力を育てることを趣旨とした芸術祭。松井利夫先生いわく「たくましい “野良” の芸術を育てます」。

霧は大地の呼吸である。
亀岡を包むその霧を深く吸い込み、大気の一粒一粒を身体に循環させ、人も野菜も野山も川も育ってきました。
明智光秀の鼻息、円山応挙のため息、町人や農家の寝息、いろんな吐息もまた、亀岡の盆地に消えては湧き立ち再び霧となって、私たちの体内を循環します。
「かめおか霧の芸術祭」では、この「霧」を象徴として捉え、たくましい「野良」の芸術を育てます。
「野良」とは有機的連関つまりオーガニックであるということです。
芸術家たちとの出会いが、霧の中に佇んでみないと見えない世界を見せ、ここではないどこかに連れて行ってくれ、亀岡一帯を驚きにあふれた芸術祭へと変容させる。
作品だけが芸術ではありません、生命や魂をより一層輝かす「技術」のことをそう呼びましょう。
美味しい野菜を育てることができる人、渓流を綱渡りのように舟を操ることができる人、悲しい人に寄り添える人、鳥と話せる人、へそで茶を沸かせる人、そんな芸術家がいっぱい暮らす霧の盆地で「かめおか霧の芸術祭」が始まります。
かめおか霧の芸術祭 総合プロデューサー
松井利夫
芸術祭は2019年から毎年開催され、今年で4回目。展示企画として、亀岡ゆかりの芸術家の作品やアトリエなどを紹介する「霧の芸術館2021」が4つの会場で開催されました。
亀岡市文化資料館
線を引き続けるためのアーカイブ
大本本部(みろく会館・春陽閣など)
亀岡ゆかりの芸術家展
開かれたアトリエ
展示1 街と巡、展示2 霧のまち
みずのき美術館
HOME PARTY 08 – なんたうん2022 –
線を引き続けるためのアーカイブ
亀岡市文化資料館では、芸術家の魔法のレシピや道具をアーカイブ展示する「線を引き続けるためのアーカイブ」が開催されました。「亀岡ゆかりの芸術家の作品そのものでなく、アトリエの空間や使い古した道具、加工される前の素材、窓からの景色や散歩道、本棚に並ぶ本など、その芸術家を構成するさまざまな要素をリサーチによって紐解き、その実像に迫る試み」です。
リサーチ担当は「副産物産店」の矢津吉隆先生と山田毅先生のお二人。円山応挙からつながる亀岡ゆかりのある作家の歴史に触れる展覧会で、亀岡にアトリエを構える本学教員のヤノベケンジ先生のコーナーもあり、ガラスケースの中にはアトリエの風景が切り取られて展示されていました。また、実際に手に取ってじっくり観察することができる資料閲覧コーナーも。
アーカイブとあるように、今回の展覧会のための企画というわけではなく、亀岡の風土や環境に身を置き、作品と向き合い続けてきた芸術家の営みそのものが亀岡市にとって貴重な “文化資料” であると捉え、今回の展覧会を機に数年かけてアーカイブ(記録・保存)していくのだと言います。
街と巡・霧のまち
亀岡市役所内「開かれたアトリエ」では、2つの展覧会が開催されました。こちらは2021年春、市役所の地下一階に完成した施設で、旧食堂をリノベーションし、カフェやレストランのほか、市民を交えたワークショップやコワーキング、作品展示、亀岡の農産物の販売、各種イベントなどにも使えるスペースとして生まれ変わりました。多様な使われ方をする中で、多くの人々が出会い、イノベーションを創出することが狙いです。その設計を本学が担い、学生や卒業生たちと共同で整備しています。
2021.04.19
遊び、食べ、学び、仕事もできる市役所カフェ。― 亀岡市役所「開かれたアトリエ」空間プロデュース
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/827
「街と巡」は、市民参加型の展覧会。マンガ『こち亀』で著名な秋本治さんは、かめおか観光PR大使を努めており、亀岡市を舞台とした秋本さんのマンガ『ファインダー -京都女学院物語 -』をもとに、ファインダーから覗いた「霧」をSNSを通じて集め、投稿された霧が透明なボードに展示され、徐々に霧が広がっていきます。
もう一つの展示「霧のまち」は、こどもたちとつくった想像の街。会期中、本学非常勤教員も務める森太三先生によるワークショップ「木片で霧のまちをつくろう」が開催され、アトリエから出た木片を使って「こんなまちあったらいいな。こんな遊び場あったらいいな」と思うままの街を作ったそう。
HOME PARTY 08 – なんたうん2022 –
アール・ブリュットの考察を基本に据えた「みずのき美術館」では、ホームパーティーのように作品やアイデアを持ち寄る展覧会シリーズを開催。「みんなで使えるオープンアトリエ」をテーマに、自由に創作に参加できるプログラムが用意され、市役所に設置した「古布ポスト」に集まった布で作った座布団やイラストなど、こどもたちの作品が館内いっぱいに広がっていました。
亀岡ゆかりの芸術家展
大本本部(みろく会館・春陽閣など)で開催されたのは「亀岡ゆかりの芸術家展」。広い敷地内に絵画や彫刻、陶芸、インスタレーションなど多彩なジャンルの作品が展示されました。
春陽閣の空中回廊には、松井利夫先生による青い小舟のような作品《ISOLA 1988/2022》が。作品名の「ISOLA」とは、イタリア語で「小島」や「孤立」の意味。1988年に制作したものを再制作したのだそう。イタリア留学中に見た夢から生まれた作品で、当時と今の状況とを重ねた作品です。建物の2階にある大きな窓が連なる回廊で、庭園を見下ろすことができ、優しい光が差し込みます。
同じく春陽閣の一室には、本学でマンデイプロジェクトをご担当いただいている森太三先生の作品《はてては はじまり》が展示されていました。端材を用いて作られた作品で、社会で不要とされたもの、価値のないとされているものに魅力を感じ、制作されたもの。「世界の確かなる法則」がそこにささやかに現れているのかもしれないと言います。障子も締め切られ、やや薄暗い部屋に展示されており、床に敷かれた白い布の陰影が美しい作品でした。
亀岡特有の「霧」を象徴に亀岡市一帯でアートを耕し、人や地域の魅力を育てることを趣旨とした「かめおか霧の芸術祭」。亀岡ゆかりの作品や、生み出された背景などを知ることで、亀岡という土地の豊かさを感じさせる芸術祭でした。ご紹介した4ヶ所の展示に加え、関連企画としてさまざまなワークショップや有機野菜等のマルシェ、演奏会などが予定されていましたが、社会状況を踏まえ、一部中止となった企画もあったそう。残念ですが、次の機会に無事に開催されることを願います。

かめおか霧の芸術祭「霧の芸術館2021」
会期 | 2022年1月15日(土)〜30日(日) |
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場所 | 亀岡市文化資料館、大本本部(みろく会館・春陽閣など)、開かれたアトリエ、みずのき美術館 |
主催 | かめおか霧の芸術祭実行委員会、亀岡市 |
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