この星の未来、私たち次第。― 情報デザイン学科の学生たちが登壇!農林水産省主催「食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES. 大阪」
- 京都芸術大学 広報課
農林水産省が主催し、日本の食が抱える課題や目指す未来について考えるきっかけとなるイベント「食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES.」が、昨年の東京に続いて大阪でも開催され、情報デザイン学科の2年生たちが「みどりの食料システム戦略」をテーマに取り組んだ「"00:01" この星の未来、私たち次第。」を展示するとともに、各チームが発表を行いました。
また、京都・大原での野菜づくりや西陣で町屋の保全・改修などの活動をしている iroiro aguritecture の皆さんも「京都大原地区の耕作放棄地再生」と題しプレゼンテーション。合わせて、聖護院かぶらの販売も行いました。
「食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES.」とは、持続的な食料の確保が世界的な共通課題となる中で、これからの日本の、自分たちの食を確かなものとしていくために、農林漁業者・食品事業者と消費者が出会い、日本の食について一緒に考えようという企画。未来を担う大学生たちと食や農に関わるさまざまな立場の人が意見交換するトークセッションや、さまざまな「フードシフト」を実践する⽣産者がマーケット「FANTASTIC MARKET」が出店していました。
https://nippon-food-shift.maff.go.jp/fes/osaka/
昨年、情報デザイン学科は農林水産省近畿農政局と包括的連携協力に関する協定を締結。相互の人的・知的交流によって、広範囲な教育・研究面の向上や、食・農業に関する理解と発信、地域社会への貢献を目的とした包括的な連携協力協定です。全国の農政局で芸術大学と連携協定を締結するのは初めてのことになります。そのような協定締結を踏まえ、「食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES.」へ参加することになりました。日本の食や地球環境について考えた半年間の取り組みをもとに、生きる力そのものに直結する「食」や「環境保全」について、様々な角度から解決策を探っています。
00:01
終わりか、始まりか。
現在、世界規模で様々な環境問題が引き起こっている。
地球温暖化、食料問題、森林破壊、海洋汚染 …
数え始めたらキリがない。
私たちに何か出来ることはあるのだろうか。
地球存続に関わる重要な問題であるが、表面的に
満たされた日々の生活の中では、
関係のない話に聞こえるかもしれない。
ただ一つ理解していただきたいのは、
それらの環境問題の元凶は私たち人間であるということ。
同時に、解決できるのも人間だけだということ。
地球の限界が近づいている。
00:01
これは、崩壊へのカウントダウンか、
解決への第一歩か。
私たちは今、行動しなければならない。
展示のほか、学生たちは「これからの時代を担う学生たちによる「食」にまつわる取組発表!」というセッションに登壇。「みどりの食料システム戦略」をテーマに全9組の学生たちが順番にその取組をプレゼンテーションしました。
Aチーム
メタンガスによる環境問題
"Visualize Invisible Future" ― 見えない未来のカタチの話 ―
「CH4」1個の炭素原子と4個の水素原子から成り、無色無臭の空気よりも軽い物質「メタン」。この目に見えない小さな物質が、地球の未来を脅かす存在であることを知っているだろうか。「メタン」とは、何が危険なのか。現状はどうなっているのか。そもそもどうやって発生するのか。また、その発生を止める方法はあるのか。リサーチを通して我々が気付いたのは、「一人一人の選択」に地球の未来が左右されるということ。そしてその選択をする為には知識が必要だということ。
この展示を通して「メタン」について学び、知識を得た今、あなたの選択のその先にどのような未来が待っているのだろうか。
Bチーム
富栄養化による地球温暖化
富栄養化から考える ― 循環型コンポスト社会 ―
有機栽培とは、「化学肥料や農薬に頼らず、家畜小屋の糞尿・敷きわらや堆肥など、動植物質の(=有機)肥料で、安全かつ美味の食糧を作る栽培方法。
オーガニックともいう。」と定義されている。通常の慣行農業では「化学合成農薬」が使用されることが多い。農薬は直接体に害を与える可能性があるため危険視されがちだが、収穫量を安定させるためには農作物などに発生する害虫や病気、雑草を効率的に除去する必要があり、長く使われ続けている。
それに比べ、回り回って地球環境や私たちに悪影響を及ぼす「化学肥料」に対しては、私たちの行動次第で改善できると考える。食品から堆肥をつくり、広げていくことで間接的に環境保護につなげていきたい。
Cチーム
有機農業の土、業業従事者減少
soilution ― 土まかせ農業 ―
農業従事者の減少について心当たりはあるだろうか。現在農業には大変そうなイメージや難しそうなイメージ、土に苦手意識を抱いている人が多いのではないだろうか。しかし私たちの生活には農業が必要不可欠なのだ。私たちにとって「農業」とは「土」である。本来あるべき土とは、堆肥や微生物が含まれた、有機肥料を分解しやすい生きた土だ。生きた土は根を伸ばし、微生物を育て土に栄養を届ける。よく育つ野菜の隣には生きた土が必要である。
本展示で土の本質を伝え、食の源である土に目を向けて欲しい。それは同時に地球環境についても目を向けること。土を知ることは食をしることであり、地球環境について考えることに繋がるのだ。
Dチーム
家庭内食品ロスと地産地消、有機栽培の推進
地球生存食計画 ― 2022 ―
2050年、世界の人口が90億人を超え、食料が足りなくなる未来が予想される。地球の環境を守り、食料問題に立ち向かうために、我々は食の未来を賭けたある計画を立ち上げた。今の問題を解決するには、以下の2つのミッションをクリアしなくてはいけない。1つ目は家庭内での食品ロス問題。食品ロスとは、本来食べられるものを廃棄している状態のこと。スーパーや飲食店で発生する大量の「事業系食品ロス」と同じくらい、家庭でも食べ残しや賞味期限切れにより大量の食品が廃棄されている。2つ目は、慣行農業による地球環境の悪化。慣行農業とは反対の、農薬や化学肥料を一切使用しない有機農業の作物は、全体の0.3% にしか満たない。いずれの問題も、私たち消費者の意識や選択が変わることで改善できること。未来の地球と私たちの子孫の食べ物を守るために今、食料について考えることが必要だ。
Eチーム
価値観の破壊と提示
受け入れよう。
私たちが長く快適に地球で生きるために考えられたクローンの牛や昆虫食などのいわゆる「未来食」。これはいくら安全の保証が提示されていても抵抗感があるのが現状である。そこで私達はそういった抵抗感を少しでも減らせるようなレジディエンス(壊れる)を起こさせる「受け入れる」という価値観の提供を行いたい。現在食品ロス問題の1 つとして上げられる「見た目」に囚われた価値。見た目に囚われずそのものの価値と向き合うことが出来れば少しは緩和されるように、これから先環境に配慮した食品は沢山出てくると考えられる。今、世界に合わせる必要がある。何故なら、刻一刻と迫る地球破壊を止めなければならないからだ。一人ひとりが変わらなければ食問題は改善されないのが今の現状。「リスクコミュニケーション」リスクを受け入れることが大切になる。そこで、生まれ持った価値観を変える展示を行う。
Fチーム
食べられる量の把握
食への心ばかり。
世界が抱える食品ロス問題。
日本では一日一人当たり124g、つまりお茶碗一杯分の食品が「まだ食べられる」のにも関わらず廃棄されている。その原因としては、作りすぎや買いすぎによる食べ残し、期限切れなどが多く挙げられている。その解決には、自分の「食べられる量」の把握が必要なのではないだろうか。
そこで私達は量の可視化によって買いすぎを防ぐ風呂敷「つとむ」を提案する。この「つとむ」を通して、自分の食べられる量をはかり、把握する事によって食の未来をおしはかる。そしてそれを、食への「心ばかり」としよう。
Gチーム
害獣の認識を変える取り組み
害獣と森林の本来のカタチ ― 害獣は本当に害なのか?―
近年、シカやイノシシによる農作物への被害が増加している。彼らは人間の育てた作物や食べ物を荒らしていることから、「害獣」と呼ばれるようになった。シカやイノシシといった動物が人間社会に危害を与えるようになった背景には、個体数の増加に加え猟師が減少していることや、天敵であるオオカミが全て絶滅したこと、また、建設を目的としたスギ・ヒノキを大量に山に植えたことにより、エサとなる木の実が足りなくなったことがあげられる。こうした現状を打破し、「害獣」と認識されるようになったシカやイノシシなどの動物たちを救うために、私たちは「インターネット上でのジビエ販売」を提唱する。自然・猟師・消費者の全てにとってメリットのあるこのサービスによって、山の生態系を適切な状態に維持し、人々がシカやイノシシに抱いている「害獣」のイメージを変えていきたい。
Hチーム
カーボンニュートラルの実現に向けて
地産地消型エネルギーへの転換
現在、エネルギーは中央集中的に作られそれが地方に分配される構造を採っている。中央で作られるエネルギーは火力や原子力が中心である。中央集中型のエネルギーのデメリットとして、災害への脆弱性や送電ロスなどがある。対して、地域分散型エネルギーでは局地的に必要なエネルギーを作る。大規模な電力を必要としないため、風力や水力、太陽光、バイオマスなどを利用できる。
本展示では、ユニット単位でのエネルギー生産から大規模な都市までの展開を提案する。
Iチーム
耕作放棄地の利活用
RE:ACTIVITY ― 耕作放棄地の利活用を考える ―
現在日本では、およそ東京都ニつ分にもなる耕作の放棄された土地(耕作放棄地)が存在する。特に山間部では高齢化による人手不足が深刻化し、さらなる耕作放棄地の増加が懸念される。これをそのままにしておくことは、ゴミの不法投棄や災害時の危険性が高まるなどの大きな問題を引き起こす原因にもなるので改善する必要がある。
そこで、私たちはキャンプ×農業、アウトドア企業×農業などのアクティビティを通した農業体験を考えた。そうすることで、キャンプなどのアクティビティな楽しい体験をしながら同時に新鮮な採れたて野菜や簡易的な農業体験を楽しむことが可能になる。日本の食料自給率を向上させるためにも、いま一度「農」に触れてもらう機会の増加、耕作放棄地の減少が必要なのではないだろうか。
食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES. 大阪
日時 | 2022年1月15日(土) 11時~19時、1月16日(日) 11時~18時 |
---|---|
場所 | グランフロント大阪 北館1Fナレッジプラザ |
主催 | 農林水産省 |
https://nippon-food-shift.maff.go.jp/fes/osaka/
京都芸術大学 Newsletter
京都芸術大学の教員が執筆するコラムと、クリエイター・研究者が選ぶ、世界を学ぶ最新トピックスを無料でお届けします。ご希望の方は、メールアドレスをご入力するだけで、来週水曜日より配信を開始します。以下よりお申し込みください。
-
京都芸術大学 広報課Office of Public Relations, Kyoto University of the Arts
所在地: 京都芸術大学 瓜生山キャンパス
連絡先: 075-791-9112
E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp