京都芸術大学内にある本格的な展示施設、ギャルリ・オーブ。本年度もこの空間で、公募により選ばれた本学在学生による展覧会を行います。
ギャルリ・オーブは、本学の教員・学生、また、国内外のすぐれたアーティストたちの作品展示を通じて、伝統を現代に活かす創作活動に挑戦するため、2005年に開設されました。生の豊かさとは何かを問い、美を感じる心を育むための契機創出となることを企画・運営の方針としています。
日野隼輔
現代社会においてコロナ禍以降、これまでの常識が覆された。我々が日常生活の中で当たり前にしてきた「人と会う」という事に対して疑念を持たなければいけない世の中。私はテクノロジーの発展や産業文明の中で目まぐるしく進む世界で盲目的になっていた本質的に大事なアナログ的な「繋がり」に気づかされた。
これから向かう世界の先に、変革によって今迄置き去りにされていた問題を直視する起爆剤となり良き方向へ向かう事を願い、今回は「人の繋がり」をテーマに2つのインスタレーション作品と造形作品(新作)を展示する。
日野隼輔(空間演出デザイン学科 空間デザインコース)
ディスプレイやインスタレーションアートなどの空間演出に興味を持ち、京都芸術大学に入学。自主制作やプロジェクトに力を入れており、株式会社電気蜻蛉の唯一のインターン生として実際に現場で経験を積んでいる。実家の鉄工所で溶接技術を学び、2019年に小物や家具をオーダーメイドで制作する「Maru-Inherit」を設立。 関西圏の店舗で多くの取扱い実績がある。
張子宜/山神美琴
自分の手や指を⾒たり、耳で自分の声を聞いたり、鼻で匂いを嗅いだり、舌で味を味わったり、そして頭で考えたりする「私」は誰なのか。
たくさんの記憶運動の中で、私たちが実在しているという妄想をしているのは誰なのか。そんな風に私たちは、少しのノスタルジックな過去と時間軸の絶対的な意思の中で戸惑う。
私の中に1人の確信的なテロリストがいたとしても。
展示物の配置で有機的な動線を作り、展覧会を記憶や存在を辿るように構成し、虚像と実像の存在について問う。
張⼦宜(美術工芸学科 写真・映像コース)
2001年台湾生まれ。2019年来日。写真・映像という媒体を通して、この世の虚実について問いかけるという創作テーマに関心を持つ。人間の記憶、家族、光の流れに着目して制作に取り組み、身体的、空間的、五感に関わることを超えてアートの可能性を探求している。
⼭神美琴(美術工芸学科 写真・映像コース)
自身の精神を整理するために制作を始める。現在は肉体イメージの再構築と更新、セクシャルとジェンダーについての性差的視線をリサーチし、制作中。精神と肉体、個と大衆の関係性について自らの肉体を用いることでコネクションを試み、あらゆる境界線に対してセルフポートレートでアプローチしている。
銭安妮/向珮瑜
情報が飛ばされている時代に私は、何を食べているか。爆発する情報は、中心にいる人々に多くの誘導を与えた。我々はその当事者として、このようなシステムの中にある与える者と受け取る者の関係を表現する。
今回のパフォーマンスはテープを貼ったり、弁当を食べたりといった機械的な行動を通して、情報や知識を受け取る側の自意識の問題について考える2人の姿を展示空間に提示する。
銭安妮(大学院美術工芸領域 映像メディア分野)
中国四川生まれ。写真と映像を中心に、身体行為、文字、言葉とイメージとの関係性に着目して制作している。現在は故郷の山をモチーフに、それに関する記憶の再構成に取り組んでいる。
向珮瑜(大学院美術工芸領域 映像メディア分野)
中国重慶生まれ。見る者に軽快な視覚感覚を与えるために、カラフルな色彩を駆使して制作している。それらの表現と内容のギャップを利用して、作品にユーモアと風刺を加えることを特徴としている。これまでのストレートフォトを用いた表現に加えて、「テープ」という素材の着脱性・保護性・連続性などに着目した制作表現を試みている。
(撮影:山神美琴)
「境界」をめぐる三つの展覧会 ― 2021年度 Galerie Aube 公募展
日時 | 2021年6月19日(土)~29日(火) 10:30~18:30 |
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場所 | 京都芸術大学 ギャルリ・オーブ |
主催 | 京都芸術大学 ギャルリ・オーブ運営委員会 |
広報物デザイン | 伊藤智子 |
出展作家 | 日野隼輔、張子宜、山神美琴、銭安妮、向珮瑜 |
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一般の方は瓜生山キャンパスに入構いただくことができません。何卒ご了承ください。
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