REPORT2021.01.26

アートプロデュース

ことばたちを紡ぎなおし、新たな情景を生み出す。 ― アートプロデュース学科「詩を展示する展」

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  • 京都芸術大学 広報課

「詩を展示する」という、なんとも意欲的な展覧会が学内ギャルリ・オーブ前にて始まりました。主催は、アートプロデュース学科のまだ1年生だというから驚きます。

こちらの展示は「青空文庫」にて公開されている著作権の消滅した、あるいは所有者が公開に同意した「詩」を選び、各々が詩と向き合い、身近にある素材を使用して、文字や映像、音声など、さまざまな展示方法を模索し、展覧会場を作り上げるというもの。

設営中の学生たち。

 

詩を展⽰する展

この度、本学アートプロデュース学科では、「アートプロデュース基礎演習Ⅱ」受講生による企画展を開催致します。

人の思いや考えに、より多くの人が、より自由にふれられるようにと願い運営される「青空文庫」では、多くの詩が収録作品としてインターネット上にアーカイブされ、公開されています。
いずれも、自由に複製・再配布・共有することや、収録作品を実演・口述・翻案など自由に活用することができる著作権のなくなった「詩」であり、作家により未来への活用を承諾された作品たちです。

本展は、この開かれた文庫からひとりひとりが丁寧に「詩」をえらび、そのことばたちを紹介する展示空間を編成し、新たな鑑賞機会を生み出す試みです。

いつか誰かの所有から手放されたことばたちを紡ぎなおすことにより、時代や世代を超え、再びその情景とともに <現代のわたしたち> に「詩」が語りかける様子をじっくりとお楽しみください。


指導教員|山城大督、緒方江美


1年次の授業「アートプロデュース基礎演習Ⅱ」では、「プロジェクトマネジメント基礎」をテーマに、企画構想を実現するために必要となる組織編成や予算計画、スケジューリングなど、実施・運営・評価に至るまでのプロセスを理解し、プロジェクトをマネジメントする手法を学びます。

アーティストとして活動し、山口情報芸術センター[YCAM]エデュケーターとしての勤務経験を持つ山城大督教員と、おおさか創造千島財団に勤務し、アートマネジメントの現場経験を多く持つ緒方江美教員が、プロジェクトマネジメントの基礎的な手法について指導。公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化発信プロジェクト室発行の「アートプロジェクト運営ガイドライン運用版 ※」も参考にするなど、理論と実践を融合した授業になっています。

※プロジェクト運営の全体像を、流れに沿って把握できる運営ガイドラインマップ。
https://tarl.jp/library/output/2012/art_project_guideline/


その実践として、先日瓜生通信でもご紹介した「記憶と記録とエピソード展 『茶碗』」を11月に開催。普段使っている “茶碗” を切り口に、自分の記憶をたどり、展示制作につなげました。そして2つ目が「詩を展示する」という企画。著作権の消滅した「詩」をテーマに、学生一人ひとりが詩と向き合い、展示空間を作り上げています。

プロレタリア詩をLINEトークで現代風に表現したり、際限なく降る雨の様を漢字を分解することで表したり、やかんと鍋とフライパンの喧嘩がコンロの上で囁かれていたり、しんしんと雪が降る静謐な情景を立体的に表現したりと、瑞々しい感性が光ります。

では、15組31名の展示を見ていきましょう。

 

中原中也「汚れつちまつた悲しみに」 (展示:入吉瑠智亜、辻笙)

 

李箱「異常ナ可逆反応」 (展示:北岡明子、曽根原佳乃)

 

萩原朔太郎「白の共同椅子」 (展示:松本一ロメル、鈴木愛深)

 

小川未明「私は姉さん思い出す」 (展示:片岡澄美礼、米野稀美)

 

山村暮鳥「雪」 (展示:國村優、高田果鈴)

 

槇村浩「ハイカラさんとムカシさん」 (展示:内堀桂輔、坂藤千咲、佐竹奏)

 

竹内浩三「雨」 (展示:岡部仁星、向江夢)

 

櫻間中庸「お月さまとお星さま」 (展示:傳田結香、花島果椰)

 

森川義信「風」 (展示:川崎彩可、島宗太郎)

キャプションが入ります。

 

小川未明「闇」 (展示:植田峻介、遠藤佳彩)

 

村山籌子「オヤカント オナベト フライパンノ ケンクワ」 (展示:河野あすか、松岡英智)

 

室生犀星「星簇」 (展示:石坂楓、渡部なつめ)

 

萩原朔太郎「爪」 (展示:坂部潤、杉浦茅尭)

 

三好達治「雪」 (展示:今村雪音、藤原小雪)

 

大手拓次「二人静」 (展示:浜野瑞生、岡田佳歩)

 

いかがでしたか?著作権が消滅した詩を選び、その世界観を空間に表現する試み。文字や音声、映像、アプリケーションなど、さまざまな素材でことばたちを紡ぎなおし、新たな情景が生み出されています。

まだ1年生ということで驚きましたが、企画を実現するためのプロジェクトのプロセスを理解し、チームで協働してプロジェクトを成功させるためのマネジメント手法を実践的に学ぶことで、2年次以上での社会実装科目やプロジェクト実践の土台となるのです。

彼らが今後、どのようなアートプロデュースを見せてくれるのか、飛躍を期待したいと思います。

詩を展示する展

アートプロデュース学科 1年生

会期 2021年1月20日(水)~29日(金)
場所 ギャルリ・オーブ前

11月に開催した「記憶と記録とエピソード展 『茶碗』」の様子はこちらをご覧ください。


何気ない “モノ” が大切な何かに変わる ― アートプロデュース学科「記憶と記録とエピソード展」
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/726

 

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    連絡先: 075-791-9112
    E-mail: kouhou@office.kyoto-art.ac.jp

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