REPORT2021.01.29

染織

手ぬぐいが変身?新オープンのホテルに飾るアートパネルを染織テキスタイルコースの学生たちが制作!

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  • 京都芸術大学 広報課

2020年12月1日に京都駅南側にグランドオープンした「ホテル ブリエ 京都南」。その客室や廊下に飾るアートパネルを、美術工芸学科 染織テキスタイルコースの学生たちが手掛けました。32名の学生による全48作品がホテルを彩ります。

 

実はこちらのアートパネル。もともとは「手ぬぐい」としてデザインされたもの。染織テキスタイルコースでは、3年次の授業で SOU・SOU とコラボレーションした「手ぬぐい」を制作するという課題があります。デザインや染色、縫製、そして販売やプロモーション、コスト計算など、ものづくりの立案から販売までの一連の流れを学ぶというもの。例年であれば、祇園祭のお囃子とともに四条河原町で店頭販売をしていましたが、今年はオンラインでの販売となりました。


私たちがひらく、あたらしい道筋 ― SOU・SOU×京都芸術大学「季節と出会うてぬぐい」オンラインショップオープン!
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/676

 

そんな「手ぬぐい」を、ホテル内のロビーや廊下、客室を彩るアートパネルとしてリ・デザインしたのが、今回の取り組みです。アートパネルとは、額装せずに作品の素地をそのまま展示する手法のアート作品のこと。キャンバスや印画紙、ファブリック、和紙などにアートを描き、プリントされたものを、木製パネル等に貼り付け、制作します。


こちらの産学連携プロジェクトは、新型コロナウイルス感染拡大の影響等で落ち込んでいる京都の観光業界を「地元の企業と大学とが力を合わせて盛り上げていこう」と企画されたもの。そこで、本学の染織テキスタイルコースの学生たちが参加することになりました。

「ホテル ブリエ 京都南」は、京都駅から南へ歩いて約5分。京都中心部にありながら、ホテルに一歩足を踏み入れ、光の竹林をイメージした通路を抜けると、そこからは都会の喧噪を離れた落ち着きの空間が広がります。

ホテルのオープンに向けて、依頼されたアートパネルのコンセプトは「京都の“いき”を感じる」というもの。学生たちは、3年次に「マイ フェイバリット 京都」あるいは「二十四節気 七十二候」というテーマのもと制作した手ぬぐいのデザインをベースに、そのコンセプトを踏まえつつ、30×30センチのパネルにリ・デザインしていきます。

現4年生が昨年制作した「マイ フェイバリット 京都」
3年生が今年制作した「二十四節気 七十二候」(デジタル)
「二十四節気 七十二候」(注染)


長方形の手ぬぐいを正方形のアートパネルとしてリ・デザインするのは、一見すると簡単なことのようですが、実は難しいもの。トリミングをするといっても「どの部分を生かし、どの部分を外すのか」、そして「京都の “いき”」をどう表現するのか。半年間かけて一度完成させたデザインだけに、それを新たに生まれ変わらせるということで、各自こだわりのデザインの取捨選択に頭を悩ませていました。


迎えたプレゼンでは、プロジェクトに関わる4つの企業にお越しいただき、自身の手ぬぐいのデザインを手にしながら変更箇所やコンセプトの説明を行いました。

学生たちは緊張しながらも、自身のこだわりや今回のテーマに落とし込んで行くために施した工夫などを伝えます。企業の方々へ問いかけをしながらプレゼンする学生も。

プレゼン後、企業の方々からは「学生たちの瑞々しい感性と斬新な京都の捉え方に大いに感心した」との感想が。また、もともとのデザインを30×30cmのパネルに落とし込むために、さまざまな創意工夫を凝らしアレンジをした学生たちへの感謝の言葉も述べられました。

各作品に「学生による解説」も付けた方がより魅力が伝わるのでは?というアドバイスもあり、各アートパネルの傍にコンセプトシートを一緒に設置することになりました。


そしてアートパネル搬入後、オープン直前のホテルにて、制作をした学生たちに内覧会を開催していただきました。


自身の手掛けた作品が、どのように活用されているか、また自身の実績として写真に残せる大切な機会ですので、学生たちもカメラを片手に参戦です。

各フロアや廊下には、色合いや相性を考えられた多様な組み合わせのアートパネルが飾られ、各部屋を見学した学生たちからは歓声が上がります。

各アートパネルの傍に設置されたコンセプトシートがこちら。制作した学生の顔写真も掲載してあります。宿泊された方がこのアートパネルやコンセプトシートを見て、「明日はここに行ってみようか」なんていう会話が生まれてほしいという願いが込められています。

先生からコメントをいただきながら回ったり、自身の作品の前で写真を撮ったりと、自身が制作した手ぬぐいがアートパネルになり、ホテルに飾られるという思いがけないご縁にご満悦の学生たちでした。

ホテルブリエ京都駅南では地域最安値でお部屋をご提供されているそう。京都駅の近くでホテルを予約する方は、ぜひご利用されてみてはいかがでしょうか。

 

「ホテル客室を彩るアートパネルをテキスタイルで制作する」というお話を受け、にわかにコースで取組むことになりました。幸いにも、コースの毎年のプロジェクト ― 手ぬぐい ― のデザインが手元にあり、これをベースにして、リ・デザインすることになりました。

とはいうものの、「京都感」と「季節感」などをデザインコンセプトとして盛り込むことや、長方形で完結する手ぬぐいデザインの雰囲気を変えずに正方形パネルに落とし込むという工夫も必要でした。学生たちそれぞれのブラッシュアップ作業が始まりました。

今回のお仕事のベースには、学生の経験知があります。手ぬぐいを制作した際「自分たちで作り、販売し、購入者に喜んでいただき、利益もあげる」という一連の経験は、学生たちの大きな自信につながっています。今年は、学生たち自らの発案でオンラインショップを立ち上げ、予想を越えた大きな成果を残しました。

ホテルの宿泊者に「素敵だね。誰が作ったんだろう」と思っていただけるようなものになっていたなら幸いです。


担当教員:染織テキスタイルコース 八幡はるみ

 

ホテルブリエ京都駅南
公式サイト:https://hotel-briller.jp/

 

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