森美術館副館長兼チーフ・キュレーターで大学院芸術研究科の片岡真実教授キュレーションによる企画展「KUAD ANNUAL」。2020年2月の開催にむけて、出展作家の募集がはじまりました。東京で作品を展示できる、片岡教授の指導を受けられる、首都圏の美術関係者に向けてアピールできる・・・と貴重なチャンスとなるこの展覧会、参加したアーティストにとってはどんな経験となったのでしょうか?2019年2月開催の「KUAD ANNUAL 2019 宇宙船地球号」出展アーティストの一人で、その後スターバックス京都BAL店での作品常設や「アートアワードトーキョー丸の内2019」選出、現在は本学ギャルリ・オーブでもグループ展を開くなど活躍の幅を広げている米村優人さんに聞きました。
自分のキャパシティーを越えていく
KUAD ANNUAL2019(東京展)に参加するまでは、キュレーターと展覧会を作っていくというイメージがあまり持てていませんでした。そんな中、片岡先生がキュレーターとして所属されていたサーペンタイン・ギャラリーでの展覧会を見る機会があって、そこでキュレーションを受けるとはどういうことか、東京展で求められるリサーチとはどういうことかが体感できたように思います。準備期間には常に自分の作品やプランについて話せる必要があったので、プロに向けたプレゼンの組み立て方やスケジュール管理など授業では経験できないようなことも多くて勉強になりました。
実際に参加してみて、思っていた以上に自由にやらせてもらえたと思っています。片岡先生やヤノベ先生など先生方、設営のHIGUREさんなどいろいろな方に手厚く指導頂いて、自分ひとりの作品ではなくてみんなで作り上げたという感じがします。同じ出展作家の桑原ひな乃さんが「人に迷惑をかける作品が作りたかった」と言っていたのが今でも印象に残っているんですが、それって自分のキャパシティーを越えていかないことにはできないっていうことだと思うんです。いろんな人と関わることで、自分の見方や考え方が変わっていったと思います。
「KUAD ANNUAL2019 宇宙船地球号」より《ビウティギーン&アガルマンズ》撮影:顧剣亨
アーティストとしての自覚
片岡先生は24組の作品の解説も書いてくださって、それを読んで自分でも初めてわかることも多かったように思います。自分以上に作品をわかってくださっていて、自分では言語化できていなかった部分を言語化してくださったことであらためて作品に向き合えたし、彫刻そのものの見方も変わりました。
学生の間に東京都美術館のような大規模な会場で展示ができるのは本当に貴重です。京都の卒展と二回展示できたというのも大きかったですね。卒展では見せられなかったことを東京展で見せたりできたのがよかったです。搬入のときには、配置に関して片岡先生からいろいろな提案を頂いたことで東京都美術館のような高さのある空間の生かし方や、タテとヨコの空間の使い方を学びました。 これだけ大規模な展示ができるだけの人と環境を整えてもらえることってなかなかないです。
ギャラリー関係者やアーティストの方が多く観に来てくださって話す機会があったのも東京でやるからこそだったと思います。そのときにできたつながりが次の活動につながった作家もいましたね。僕自身も、この展覧会の経験がアーティストであるという自覚を強くするきっかけになったと思います。
アートアワードトーキョー2019 丸の内では丸ビルの中に作品が展示

2019年度前期 ギャルリ・オーブ在学生・卒業生
公募展
会期 | 2019年06月19日(水)〜 06月28日(金) |
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時間 | 10:00 〜 18:00 |
場所 | 人間館1階 ギャルリ・オーブ |
出展作家 | 片山達貴、黄冠釣、存馝園、米村優人、竹浦曽爾、長谷川大祐、藤本流位 |
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