REPORT2019.06.22

アートデザイン

KUAD ANNUAL 2020①―テーマは「フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート」に決定

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  • 山月 智浩

森美術館副館長兼チーフ・キュレーターで京都造形芸術大学大学院の片岡真実教授が学生の作品をキュレーションするプロジェクト、「KUAD ANNUAL」(以下、東京展)。2019年度の開催に向け、出展者募集説明会が行われた。

2017年度「シュレディンガーの猫」、2018年度「宇宙船地球号」に続く2019年度のテーマは「フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート」に決定。過去2回のKUAD ANNUALが卒業・修了制作のみを対象としていたところ、今年度からは通学部3~4年次生、大学院修士1~2年次生、博士1~2年次生と募集範囲が拡大された。

フィールドワークとは、自ら対象となる場所に赴き、参加、観察、記述する研究方法のこと。人類学や建築、民俗学など現在でも様々な研究分野に活用されており、片岡教授は現代アートの制作プロセスにもこの身体的な体験が必要だと話す。これまでも、成果物だけでなくそこに至るまでの道のりも作品の一部として重視してきた東京展。今回のテーマが、その独自性をより強固なものにしている。片岡教授は「画面や文献の中だけでリサーチを完結させることなく、広く世界に飛び込むことで得られる純度の高い情報に基づいた制作を心がけてほしい」とテーマに込めた思いを語った。

今年のベネチアビエンナーレの受賞作品を参考にしながら、リサーチプロセスの重要性を説く

いまや「図画工作」にとどまらず、学校で習う科目すべてと接続可能といえる現代アートは、同時に社会の文脈を汲み取る媒体としても機能し始めている。この展覧会で求められているのは、一表現のフィールドとしてだけではなく、総合的に世界を捉えることのできる手がかり、「教科書」としての現代アートだ。本を読み、どこかに赴き、人に会い、その場から得られるものをオリジナルな情報として作品に反映させていくこと、また見聞きした二次情報をミックスしただけではないオリジナルな体験から生まれてくる作品たちは、私たちが今生きている世界をより深く知覚する手助けとなるだろう。

「KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート」のエントリーは、7月1日(月)締め切り。展覧会は東京都美術館にて、2020年2月23日から26日まで。

 

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  • 山月 智浩 Tomohiro Yamatsuki

    1998年大阪府生まれ。京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科2017年度入学。いろんな世界に飛び込んでみたいとの思いから瓜生通信編集部に参加。企画の立て方や編集を学んでいる。

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