REPORT2017.06.25

京都歴史

大関、豪栄道豪太郎が相撲を語る。―日本芸能史 第10回「相撲の世界」

edited by
  • 藤田 祥平

 「立ち会いのときは、相手と視線を合わせます。一度合わせたら、絶対に外さない。先に外してしまうと、そこで負けなんです」――伝統芸能と相撲の関わりを探る「日本芸能史」第6回に、2016年の9月場所で幕内全勝優勝を収めた大関、豪栄道が登壇した。インタビュアーは本シリーズの企画・コーディネートを務める田口章子教授(創造学習センター)。
 これまでの授業で、深くするどい洞察とともに相撲を語ってきた田口教授も、豪栄道関を講師として迎えることができた喜びを抑えきれない様子だった。
 まずは録画映像にて、昨年の全勝優勝の全取り組みを振り返った。決まり手が寄り切りであることが多いという質問には、「自分の相撲はまわしを取る形が基本なので、そうすると寄り切りが多くなる」という答え。「完璧な相撲ばかりではなかった」と自身は振り返るものの、映像が終わると、会場からはおおきな拍手が起こった。
 大関が相撲をはじめたのは、小学校一年生のとき。「市の相撲大会があって、そこでスカウトされた」という。五年生のとき、わんぱく相撲で横綱のタイトルを獲得。相撲の名門校である埼玉栄高等学校に進学し、在学中にプロ入りを決心。「もちろん高校生のときは、ふつうのお勉強もしていましたよね」という質問には、「もちろん、勉強はしたフリをしていました」と切り返し、会場を笑いに沸かせた。
 高校三年生で境川部屋に入門。境川部屋での稽古風景の映像も特別に上映されたが、境川親方の指導と人となりについて、「恐いですね」と一言。師匠は「情が深く、熱くて思いやりのある方。そのぶん、叱るときはすごい」という。後輩たちが稽古を重ねる様子を見ながら、「強くなる力士は、先輩の言っていることを素直に受けとめられる。相手も憎くて言っているわけではなく、良くしたくて言っている。そのことが分かる力士が、強くなれるんです」と語った。
 そんな大関自身の強さの秘訣は、「精神面で、強い『フリ』をすること」。「見ている方々が、こいつ何かやるんじゃないか、と思うような力士でいたい。相撲を取っている間は、人に弱みを見せないようにしている」と語った。この精神が、立ち会いのにらみ合いに繋がっているのかもしれない。
 大関が肌で感じる、相撲の神事としての側面は、聞いていて興味深いものばかり。五穀豊穣を祈って、土俵の中心に米や勝栗や昆布といった縁起物を埋めること。伊勢神宮で奉納相撲を行うこと。場所毎に行う神送りの儀式では、行司さんを胴上げして祝う。そんなとき、相撲は単なるスポーツとして行われるだけのものではない、と感じるという。
 「十月に行われる京都場所も、楽しみですね。ちなみに、お好きな巡業先はどちらですか?」という質問には、「もちろん京都です」と即応し、またまた会場は笑いに包まれた。土俵上だけでなく、会話の切り返しまで巧みなのは、やはり関西出身だからだろうか。
 次の豪栄道関の出場は、七月に行われる名古屋場所。ひとりのファンとして、ますます大関を応援したくなる講演だった。

「日本芸能史」の企画・コーディネートを務める田口章子教授(創造学習センター)

2017年度 公開連続講座 日本芸能史 開学40周年記念

2017年度テーマ「相撲と芸能」「神仏と芸能・芸道」
芸能・芸道は、超越存在、広義の神霊と人とが、一体となって、新しく生命を更新する場である。多様な生命更新の方法の一つに超越存在の意志を問う占いがある。超越存在の種類と変化につれて、占いの方法は多様となったが、人、動物などの勝負による占いは世界各地にみることができる。相撲は、その勝負占いに起源がある。

相撲に代表される日本の芸能・芸道が対象とする超越存在は、日本人が信仰する神と仏である。日本の神仏は、広義の大地の神々である。固有の神道はもとより、外来の仏教も日本人に浸透してくるにつれて大地の神々の性格を強めた。前期講座の相撲を通して、後期講座の神と仏の芸能・芸道の特質もあざやかに浮かびあがってくる。

[企画・コーディネーター 京都造形芸術大学 教授 田口章子]

日程 前期(全14回)4月10日(月)~7月17日(月)
後期(全14回)9月25日(月)~2018年1月22日(月)
毎回:月曜日 16:30~17:50
受講料 各期 1万5千円
会場 京都芸術劇場春秋座(京都造形芸術大学内)
10月2日の回のみ学内他会場で行います
受講資格 学習意欲のある方なら、どなたでも受講いただけます。
お問い合わせ・資料請求先 京都造形芸術大学 京都藝術学舎
〒606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116人間館中2階
TEL.075-791-9124 FAX.075-791-9021
受付:月~土曜日/午前10時~午後4時
休日:日曜日・祝日・入学試験実施日・年末・年始
申込方法 まずは京都藝術学舎へお電話、または窓口にて受講予約をお願いします。受講料の納入は「窓口」、「郵便振替」がご利用いただけます。「郵便振替」をご利用の方は、郵便局に備付の郵便振替用紙にて、下記振込先に、受講料をお振込みください。(手数料は各自ご負担頂きます)

【口座番号】01060-8-60610
【加入者名】瓜生山エクステンションコース

受講に際してのお願い

一旦納入いただいた受講料は返還いたしかねますので、予めご了承ください。台風や交通機関の不備等によりやむを得ず休講になった場合、補講ができない場合があります。またその際の休講分の受講料は返還いたしかねますので、予めご了承ください。天候による休講や、講師の変更が生じる際は、春秋座ホームページまたは、京都藝術学舎ホームページのニュース欄でお知らせいたします。

http://k-pac.org/?page_id=3191

 

  • 藤田 祥平Shohei Fujita

    1991年大阪府生まれ。京都造形芸術大学文芸表現学科卒。http://shoheifujita.smvi.co/

お気に入り登録しました

既に登録済みです。

お気に入り記事を削除します。
よろしいですか?