COLUMN2024.12.20

文芸教育

【ボーっと部。in 円山公園】 自然の色に魅せられて――文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信

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  • 京都芸術大学 広報課

京都芸術大学 文芸表現学科 社会実装科目「文芸と社会II」は、学生が視て経験した活動や作品をWebマガジン「瓜生通信」に大学広報記事として執筆するエディター・ライターの授業です。

本授業を受講した学生による記事を「文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信」と題し、みなさまにお届けします。

やらないといけないことがあるのに、なぜかうまくいかない。
いいアイデアが浮かばなくて、気分が塞いでしまう。
そんなとき、私たち【ボーっと部】は気持ちの赴くままにのんびりとフィールドワークへ出かけます。本記事では、フィールドワーク先での情景を一部、言葉でスケッチしてみました。

ボーっと部、円山公園へ!

「ボーっと部。」とは、散歩が好きな京都芸術大学 文芸表現学科の学生5人が集まってできたグループです。主に制作に行き詰まったときにアイデアを探しに、ボーっと探索に出かけています。同じ場所に立ち寄っても、それぞれ見る視点が違う。そんな芸大生らしい、フィールドワークを「ボーっと部。」では取り上げていきます。 
他のメンバーの記事はここから

【ボーっと部。in 円山公園】秋めく公園で、香りを探してボーっと散策!!――文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信

【ボーっと部。in 円山公園】公園に残る足跡――文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信

 

今回のテーマは、自然に触れられる『公園』です。京都府には、風致公園*が3つ存在します。なかでも今回の舞台である、『円山公園』は京都芸術大学からも通える範囲にあります。

 

※風致公園とは、良好な自然的環境を形成する土地を選定し、配置された公園です。京都には、円山公園のほかに「天橋立公園」と「宇治公園」があります。

 

円山公園マップ

★マークが、本記事に登場する場所です

空のキャンバス、風の筆

10月某日、メンバーと共に円山公園を訪れました。
京都河原町から徒歩およそ15分の所にあります。京都にある神社の中でも歴史が古く、重要とされている22社の1社である八坂神社が正面で迎えてくれます。
年間を通して、様々な季節の植物が開花し、日々多くの人が訪れます。

数日前まで、天気予報では降水確率80%の大雨予報でした。けれど、当日は鮮やかで明るい快晴の空を見ることができました。風は強く、空を見上げると雲がコロコロと形を変化させていきます。

円山公園の上空には、異なる3つの形の雲が浮かび上がっていました。
薄く広がった1つの雲は、太陽を覆いほのかに虹色に染まっているようです。
一番下に浮かぶ雲は、どんよりと重い色をしています。
真ん中に浮かぶ薄めの雲は、まるで北風小僧がふぅ~っと右側から息を吹いたように見えます。
虹色に染まっている雲は、彩雲といいます。もし見ることが出来たら、幸運が訪れるかもしれません。

最後に空を見上げたのは、いつでしょう?
風が描いたこの雲が、みなさんは何に見えますか?

さよなら三角、またきて四角

「祇園しだれ桜」の木の向こうには、ひょうたん池があります。少し暗めな鼠色の鯉が何匹も泳いでいました。その中で、たった1匹だけ黄金色の鯉がいます!
さて、見つけられるでしょうか?
※この写真には残念ながら、鯉は写っていません。ぜひ、円山公園のひょうたん池へ探しに行ってみてくださいね。

ひょうたん池のすぐそばで、ひと際目を引く柳の木を発見! 風に揺れる様子は、まるで「恨めしや~」と長い髪の幽霊が現れたようです。
柳の木を見ると、楽しそうに“あのわらべ歌”を歌う子どもの声が聞こえる気がします。

♪さよならさんかく またきてしかく
しかくはとうふ とうふはしろい
しろいはうさぎ うさぎははねる
はねるはカエル カエルはあおい(みどり)
あおい(みどり)はやなぎ やなぎはゆれる
ゆれるはゆうれい ゆうれいはきえる
きえるはでんき でんきはひかる
ひかるはおやじのハゲあたま

お寝坊さんのもみじ

夏の厳しい暑さも終わりをつげ、肌寒い風が吹く秋がやってきました。けれど、もみじはまだ起きてないようです。真っ赤に染まる秋の紅葉を見られる日が待ち遠しいです。不完全だけど、もみじの葉が京都の秋に彩りを添えてくれています。

木の上だけ紅葉したもみじの木、上から下までグラデーションのようです。
大きくてカラフルな綿あめのように見えてきました。
この木を何かにたとえるならば、みなさんは何にたとえますか?

松の葉相撲

滝口付近に松の木を発見!とげとげしく見える葉がのびのびと育っています。二本の葉が根本でつながっている特徴をいかして、子どものころ松の葉相撲をした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
松の木の下に落ちた葉の中から、強そうなものを選ぶ。どの葉が一番強いのか?!
そんな遊びが、遠い昔から木のそばで繰り広げられていたのでしょう。

木漏れ日に誘われて

公園内から知恩院に向かう道中のお手洗い裏で、木々の間を抜ける階段が目に止まりました。昼間のあたたかな日差しに照らされて、木々が輝いています。果たして、この先には何があるのか。木漏れ日に魅かれて、一歩また一歩と先に進みたくなります。すっと奥に引き込まれそうな、そんな不思議な魅力がこの森には詰まっているようです。

今回は、あえてこの階段の先にはいきませんでした。木漏れ日に照らされた階段の光景に魅了され、その先にある未知の世界に魅力を感じたからです。みなさんは、この先にどんな世界が広がっていると思いますか?

遠い国から願いを叶えに。

国を問わず様々な地域から大勢の人が、円山公園を訪れています。家族写真を撮る人や、紅葉や鯉を楽しそうに見つめる人。日本の文化や雰囲気を楽しむ観光客の幸せそうな笑顔で溢れていました。
なかでも、公園ですれ違ったある女性がとても印象に残っています。記憶に焼き付いて消えない、そんな当時の情景を文芸表現学科の学生らしく言葉でスケッチしてみました。

舞妓の涙

顔や襟足、首が綺麗に白塗りされた女性たち
丁寧に結われた日本髪には、可憐な花簪が飾られている
カメラに向かってポーズをとるたび、簪は太陽に照らされ輝く
Thank you そう手を合わせて感謝する舞子さんの瞳は涙で溢れていた
写真に写る自身の姿を、手を震わせながら嬉しそうに眺める
かた、こと、慣れない下駄でゆっくりと歩く
帰りゆくその後ろ姿は、日本人形ように凛として麗しかった
通りすがりに零した舞妓さんの涙は、紅葉の葉をほんのりと赤く染めた。

夕暮れとともに。

「祇園しだれ桜」前にて

午後5時ごろ、西の空に沈みゆく太陽に照らされながら、長い一日を終えようとしていました。シンボルである「祇園しだれ桜」の側を通って、一人また一人と帰路につきます。
円山公園は、自然豊かで心落ち着く空間です。木々のみどりや、花々の麗しく可愛らしい色、藻が広がり渋い味わいのある川。カメラを手に公園を探索すると、無意識にそれらを写真に収めていました。
自然が生み出すその景色が、どんな絶景よりも心に残りました。これからも自然のなかを探索する【ボーっと部】は続いていきます。
忙しい毎日を送るみなさんも1度、気持ちの赴くままに「ぼ~っと」散歩に出かけてみてはいかがですか。


(構成・執筆:文芸表現学科 二年生 武井摩耶)

 

 

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