INTERVIEW2024.08.30

文芸教育

遠足in京都芸術大学!南チーム編――大学生が本学を遠足気分で巡ってみた-文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信

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  • 京都芸術大学 広報課

「遠足」と聞いて、あなたはなにを思い出しますか?

小学生のとき、友達と外でお弁当を食べたこと。
家族が読んでくれた絵本の「えんそく」という言葉に胸が踊ったことなど。
私たちは、遠足というものに「懐かしさ」を覚えました。
しかし、あれから数年、十数年たち、私たちは遠足の言葉も忘れかけ、日々大学に通っています。

ある日、メンバーの一人が「大学の〇〇の場所ってわかる?」とたずね、他のメンバーは場所も名前も知らないということがありました。
「あれ、私たち、意外と自分の大学のなかを知らないぞ......?」と。
そこから、大学を周ってみたい! それって遠足みたい! と大学生ながら盛り上がりました。
あの頃みたいに、わくわくしながら遠足がしたいなと……。

そこで今回、私たち京都芸術大学文芸表現学科の学生4人が、大学校内を遠足気分で巡るという企画を考えました。それが「遠足in京都芸術大学」です。

といっても大学は広いので、瓜生山キャンパスに限定し、北側・南側の2チームに分けて巡ります(本記事では2024年5月22日に行ったものを執筆しています)。
最終地点はマップの一番上にある瓜生山農園。ここで他チームと合流し、みんなでご飯を食べたら終了です。

この記事は南チーム(越山・山﨑)の2人がお届け。前半は山﨑が担当します。
北チームの記事はこちら。
遠足in京都芸術大学!北チーム編〜大学生が本学を遠足気分で巡ってみた-文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1274

いざ出発!

出発

北チームとは再会を誓ってのお別れ。さっそく目の前に立ちはだかる階段を上ります。
後半に疲労で苦しむことになるとは露知らず、余裕のピースと笑顔です。

大階段を上りきると、右手に巨大な傘を発見。佐藤卓さんの「猫の傘」という作品です。
存在は知っていましたが、近くで見るとやはり大きい。
ふと顔を上げると、建物に水光が映っていました。水の揺らぎと三角形という異色の組み合わせ。「きらきらしてる」。思わず見惚れてしまいました。

大階段の頂上に戻り、さらに階段を上ります。

階段に木が生えている!ではなく、木を囲むように階段がつくられています。「山を拓くさいは最小限にして自然を大切に」という創設者の思いがあったそうです。
上り下りするときは、ぶつからないよう気をつけましょう。

上りきると、再び出現した階段。日陰に覆われている、日陰階段です。まだ余力があるので、軽快に歩き出します。

縁起と天気

望天館の屋上に着きました。

空にはダブル飛行機雲が。
目新しいものを見つけた観光客のように、ついスマホを取り出して連写してしまいました。
なんだか縁起が良さそうです。
「恵まれてるで、私たちは」。気分が良くなり、誇らしげ。

屋上は赤色に彩られた木材が特徴的です。

見てください、光と影の境界線を。
ここは昼食をとる学生が座る場所。直射日光を避け、影を求めます。早いもの勝ちのため、生死をわける境界線なのです。

滝のような噴水がありました。
目を閉じると、美しい水のせせらぎが。体温が下がっていくようです。

匂いにつられて

さきほどの道に戻ります……みなさん、お気づきでしょうか? 階段、階段、階段。
さすが、山に佇む大学。在学中に階段の段数を数えるゲームでもやろうかな。

「うわ〜、だしのいい匂いがする」
無心で上っていると、嗅覚を刺激されました。
ここはちょうど食堂の換気扇があり、美味しそうな匂いが充満しています。
「学食寄り道したら、さすがにあっちチームに怒られるよな……」「そうやな」
食べるのは北チームと合流してからという決まりを守り、誘惑に負けじと足を動かします。

吉田松陰像が、私たちを出迎えてくれました。
ベンチで一度休憩します。

さっきまでいた望天館の屋上が小さく見えます。木にサンドされているみたい。

山登り?

さあ、水分補給を終えたので、歩きます。
すこし山登り感が出てきました(一応言っておきますが、ここは大学です)。

風に揺れる木々、足裏全体で感じる土のやわらかさ。自然に囲まれ、背中の汗が引いていきました。

 

おっ、瓜生山農園の看板。そして、千秋堂。大学で唯一お茶室のある建物です。

 

矢印どおりに行けば、すぐに着くかもしれません。しかし、私たち南チームは大学の南側にある建物をまわるのが使命。来た道を戻ります。

鳥の鳴き声が聞こえ、「なんの鳥だろう」と話していたら、対抗するように講義を行う声が聞こえてきました。そう、先生の声です! こんな自然豊かな景色に、はきはきとした講義の声、不思議な感覚です。

松蔭さん、ただいま。

猫さん

 再び食堂から漂う匂いに翻弄されながら、歩いていくと、松麟館に到着しました。

「あっ猫!」。私たちを導いてくれるかのように、突然現れた猫さん。

カメラをかまえると、さっと逃げていきました。私が大きな声で呼んだものだから、びっくりしたのでしょう。もう一度お目にかかりたい一心で、走ります(写真が荒ぶっており、申し訳ありません)。

猫さん、いませんでした。残念。驚かせてごめんね。

かわりに、珍しいものを見つけました。古銭の石です。
吾唯足知(われ ただ たることを しる)と書かれています。
直訳すると、「私は満ち足りているということだけを知っている」。
「満足することを知っている人は、貧しくとも幸せであり、満足することを知らない人は、たとえお金持ちであったとしても不幸である」という意味だそうです。※
猫さんに教えを受けるとは。私たちは幸せ者です。

とここで、後半へバトンタッチ!

テラスから山へ……

さて、いよいよ後半戦。ここからは私、越山が担当します。

松鱗館の急な階段を登れば、京都芸術大学の名物の一つである、(と、私が勝手に思っている)テラスにたどり着きます。

標高が高い。スタート位置である大階段前からビル5階分以上の高さがあるのだとか。心地よい風が疲れた体を癒してくれます。ここからは京都市内を一望できます。こうしてみると思った以上に京都市ってちっちゃいな……。

テラスの横には楽心荘。隣にある野外能舞台の鏡の間となる建物です。この和風な感じがいいんですよね……。

さて、後ろを見れば

どんどん山の中に入っていく道が……。でもまあ、階段があるだけましかな。迷子にはならなそうですしね。

「あ、もう階段は手伝ってくれない」
「まじか〜……」

本格的に道が登山道になってきました。

「スズメバチ注意って書いてある」
「へぇ!?」

流石に怖いので遠くから眺めていると、目の端を黄色いものが通りました。
あ、おるわ、スズメバチ……。
彼女(彼?)を刺激しないよう、その場をすごすごと立ち去ります。

スズメバチに気をつけて、進みます。
ザクザクと地面を踏み締める音、鳥の声、虫たち、いよいよ登山じみてきました。
ちなみに、地図上で言うと、今、私たちがいるのはこの辺り。

見ての通り、地図にはもう、道なんか書いてません。私たちは道なき道を歩いているのです。

でも、ここからひたすらに登っていけば農園にたどり着くはず。

まさかの分かれ道

「二手に分かれてる」
まさかのここで分かれ道。方角的には左の道が農園につながっているはずです。ただ、ここまできて、右の道の先を見ないという選択肢はありません。
「行ってみよう」
「そうやね」
こういう人達が山で遭難するんでしょうね。

 分かれ道の先を歩いていくと、開けた場所に出ました。すぐ近くには住宅街らしきものが。
「どこ?ここ……」

さらに進もうとして、あることに気が付きました。
あ、もう、降りれちゃう、これ。間違いなく住宅街に降りる道につながってる。
流石の私もそこで足を止めました。

と、ここで思いがけない出会いがありました。
(虫注意!)

私の帽子には、いつついたのかクモが。そして、山﨑さんのリュックにはブーンと派手な音を立ててよくわからんおっきな虫が。
申し訳ないけど、ここで振り落とさせてもらいますね。

さて、分かれ道の先を見てみたいという好奇心は満たされたので、再び瓜生山農園を目指します。
といっても、それなりに登ってきたからでしょうか。

すぐに着いちゃいました。

当初の計画ならば、ここで北回りのチームを待つことになっているのですが、私たちは思ったより早く着いてしまった様です。

未知の場所へ

「あれ、そういえば、ここ行ったっけ」
そう言われ地図を見ると、確かに見覚えのない名前が三つほど。
「私ら、どっから登ってきた?」

「(地図をなぞって)ここ、こういかないと行けなかったんじゃない?」
「楽心荘ついた時は上に登っちゃったからなあ」
 どうやら、向こうのチームはもう少しかかる様子。なら、行ってみますか。
 さて、未知の場所目指して、再出発です。

ある程度戻ってきた私たち。
この場所から松鱗館を突っ切って道なりに行けば、未知の場所の一つ、『地心館』に辿り着けるはず。道が、道なりになっていれば、の話ですが。
地図との睨めっこの始まりです。

松鱗館を突っ切り、道を探します。

「この階段はどの階段だと思う……?」
「わからん……」

ついたか!?と思いましたが、どうやら、ここはまだ松鱗館のようです。
と、なんと!ここで救いの手が!

地心館への案内板が!見たところ一本道ですし、これで一安心、とりあえず地心館には辿り着けそうです。

さっき、数人の学生とすれ違ったので、見たところ、普通に授業で使うみたいですね。
と、自販機が。こんなところまで自販機の補給にきてくれるなんて、ご苦労様です。

謎の建物

さて、来た道を戻り、再び松鱗館へ。……この学校の道をややこしくしてる原因、松鱗館にあるのでは?
そろそろ、体力も限界に。階段を上がる足取りも重くなってきました。
普段椅子に座って作業している私たちには、この運動は、かなりきついものがあります。
ありがたいことに、また案内板を見つけることができました。

よし、あとはこれに従って残りの二つ、明倫館と陽陽館を目指すのみ……ん!?

指月館????どなたです??
「指月館なんてないよ……?」
「なくなったんかな。見にいこ」
遠足の目的がまた一つ増えました。

とりあえず、案内板の情報と地図の情報を照らし合わせながら陽陽館、明倫館を目指します。

と、木々の間に建物を見つけました。

どうやらここが陽陽館のようですね。こんなところにある建物、何に使うんだろう。

さあ、残すは明倫館のみになりました。また地図と睨めっこしながら散策していると、また案内板らしきものが。今日は何度も案内板に助けられていますね。

「え、降りろっていってる?」
なんと、明倫館への矢印が指していたのは下り道。けれどここまできたからには仕方ありません。行きましょう。

「明倫館ってどこにあるの??」

「これかあ!」
陽陽館よりも分かりずらい場所、柵の向こう、木々の隙間に、とうとう明倫館を見つけました。

こんなところに立っている建物を、何に使うんでしょう……。でも、下駄箱があったり、自転車があったりするので、人の使っている気配があります。

これで地図に載っている建物には辿り着けました。では、指月館は一体なんなのでしょう。その答えは、明倫館を探す途中にありました。

明倫館に向かう途中の一角、何もない、妙に開けた場所がありました。どうやら、かつてここには指月館という建物が立っていた様です。今はもう、取り壊されたようで、その名残だけが残っていました。

さて、すべての疑問点、心残りが解消され、あとは再び瓜生山農園を目指すのみです。ただ、私たちの体力はもうかなりカツカツで、きた道を通ってまたあそこを登るのか思うと、ドッと疲れが襲ってきます。

その後の道のりは、特に新鮮めいたものもなく、(私たちも疲れ切っていたので会話もなく、)ただひたすら農園を目指しました。

 

そして、農園の手前の少し開けた場所で、とうとう、北チームと合流。

みんなでおにぎりを食べて、今回の遠足は終了です。足が棒の様なので、降りる時は気をつけないといけませんね。

まとめ

さすが私立の大学。広く、ややこしい校内は、思った以上に見たことのない景色ばかりでした。何気に、地図を見ながら目的の場所を探すってのも楽しいですね。迷子にならない程度にまたしたいです。
さて、遠足in京都芸術大学、南チーム編はこれにて終わりです。
北チームの記事はこちらから。
遠足in京都芸術大学!北チーム編〜大学生が本学を遠足気分で巡ってみた-文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信
https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/detail/1274

 

京都芸術大学 文芸表現学科 社会実装科目「文芸と社会Ⅴ」は、学生が視て経験した活動や作品をWebマガジン「瓜生通信」に大学広報記事として執筆するエディター・ライターの授業です。

本授業を受講した学生による記事を「文芸表現学科の学生が届ける瓜生通信」と題し、みなさまにお届けします。

(構成・執筆:文芸表現学科3年 越山奏海 山﨑蒼依)

※“いま胸に響いてくる「吾唯足知」という言葉”.創業明治元年 濵田酒造.2022年4月22日.https://www.hamadasyuzou.co.jp/kinzan/column/post_128.html (引用2024年8月9日)

 

 

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