SPECIAL TOPIC2024.07.10

教育

修了展に向けて、学生が実験できる場 ― SPURT2024 芸術専攻(修士課程)2年生作品展

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  • 上村 裕香

7月3日(水)から、京都・瓜生山キャンパスのギャルリ・オーブにて、大学院修士2年生による作品展「SPURT2024 ― 京都芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(修士課程)2年生作品展」が開催されています。

この展覧会には、芸術専攻修士課程に所属する49名のうち、制作物と論文の両方によって学位申請を予定している33名が作品を出展しています。

7月3日(水)〜7月12日(金)までの前半の会期には美術工芸領域とグローバル・ゼミの学生が、7月15日(月)〜7月24日(水)までの後半の会期には情報デザイン・プロダクトデザイン領域や文化デザイン・芸術教育領域を専攻する学生が出展します。

「2024 SPURT展(芸術専攻)ビジュアルデザイン・李坤豪(油画)」

 

今回のデザインは「着陸中」をテーマにしています。SPURT展は修士1年次に開催したHOP展から修了展への通過点としての展覧会です。

「2023 HOP展(芸術専攻)ビジュアルデザイン・劉疏桐(写真・映像)」

HOP展のメインビジュアルに用いた空に浮かぶ風船は、学生となることで自由を手に入れたことを表現しています。前衛的な実験を行うことができるだけでなく、自身の表現への探求し続けるなど、未来への憧れをも象徴しています。修了展は社会人として第一歩を踏み出す直前の各自の集大成の展覧会です。SPURT展はその過程、着陸準備をしている状態だと考えました。

緊張と期待、ふたつの複雑な気持ちを今回のポスターデザインに反映させました。着陸直前に見る光景一一飛行機が着陸する滑走路と雲の画像をCMYKのレイヤーごとに分解して編集したことで、視覚的にもやもやとした不安な状態をつくりながらも、未来への憧れの色を表現しています。全体のデザインは背景のビジュアルを中心としたシンプルなレイアウトに仕上げました。

作品を開く場

会期中の7月8日(月)には、大学院の各領域を担当する教員による作品講評会が行われました。
講評会というと、ほかの受講生とともに、1名ずつ順々に担当教員からの講評を受けるイメージがありますが、本展は少し違います。

講評会中、学生は自身の作品の前に待機し、教員はそれぞれ自由に作品を回覧。その場で学生と対話しながら、一対一の講評を行います。
今回の講評会には、本学の教員だけでなく、外部のキュレーターや画家、ギャラリスト、アートプロデューサーなど、さまざまな分野の専門家が参加し、学生の作品にコメントを行いました。
普段は指導を受ける機会のない、他分野所属の先生からも講評を受けることができるまたとない機会に、講評を聞く学生の顔も真剣でした。

講評会では、教員から学生に作品の制作過程についての質問が投げかけられたり、教員が作品をよりよくしていくための提案をしたりと、盛んにコミュニケーションをとっている様子が印象的でした。
講評を受けた学生に話を聞いてみると、「外部のキュレーターに意見をもらう機会はなかなかないので、言ってもらったアドバイスから新しい考えが浮かんだ」といった声や、「自分では気づかなかった、展示の方法や照明の位置などについてもアドバイスがもらえて、修了展での作品展示に活かそうと思った」という感想がありました。

学生が実験できる場

このSPURT展は、修士課程1年後期に行われる「HOP展」と修士課程修了時の「修了展」をつなぐ展覧会です。学生にとっては、半年後に提出する修士論文のための制作物の中間発表の場となっています。

今回からは、出展者の学生からもリーダーを選出して、修士課程のグローバルゼミの田英凡さんがキュレーションとSNS広報を担当し、油画分野の李坤豪さんがデザインを担当し、学生主体で展覧会を作り上げてきました。
各リーダーは展覧会のメインピジュアルやゾーニング、広報などについて、自分たちの領域の声を伝え、教員のアドバイスを受けて議論を重ねました。

リーダーを務めた長沢楓さん(大学院芸術専攻2年生)は、「学生が実験できる場」としてSPURT展があると語ります。
「今回はキュレーションを担当したグローバルゼミの田英凡さん(大学院芸術専攻2年生)のおかげで、いろいろと実験できる展覧会になったと思います。個人の作品をただ展示するだけでなく、展覧会の動線を考えたり、広報としてSNSを運営したりということも学生が行いました。半年後の修了展でも同じメンバーで修士課程の集大成となる展示を行うわけなので、このSPURT展で修了展に向けたチャレンジができてよかったです」

実際に、多くの学生が個人の制作においても「SPURT展でチャレンジしたことを、修了展でブラッシュアップして発表したい」と話していました。
修了制作までのスパートでもあるSPURT展、それぞれの作品に修士2年生の意気込みが感じられます。気合いの入った作品たちを、ぜひご覧ください!

SPURT 2024 ー 京都芸術大学大学院芸術研究科 芸術専攻(修士課程)2年生作品展

会期:2024年7月3日(水)〜2024年7月12日(金)会期中無休
時間:10:00〜18:00
会場:ギャルリ・オーブ(京都芸術大学人間館1階)
主催:京都芸術大学大学院芸術研究科

EXIHIBITION PLANNER
FIELD LEADER:長沢楓(油画)、小坂美玲(染織)、劉疏桐(写真)、中嶋純花(日本画)、高安琪(版画)
「CURATOR & PR:田英凡(グローバル・ゼミ)」
「VISUAL DESIGNER:李坤豪(油画)」

 

 

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  • 上村 裕香Yuuka Kamimura

    2000年佐賀県生まれ。京都芸術大学 文芸表現学科卒業。2024年 京都芸術大学大学院入学。

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